扉は常に開いていない。

勝手に踏み込んできて、勝手に引っ掻き回していく。

皆、そうだ。

あなた達にはちょっとした好奇心なのかもしれないけれど、バカだから次こそはと期待してしまう。

最初は優しい。

皆、そうだ。

慎重に、少しだけ開けた扉に片足を突っ込んで。優しい言葉でチェーンを外させる。そこに目的の物が無かったらすぐに消える。

用件が無いのに掛かってきていた電話も。次のデートの約束までの数日間を待ちきれないという内容のメールも。

嫌な予感に気がついた時には既に遅く、どんどん熱が引いていくのを黙って待つだけ。

だって。どれだけ駄々を捏ねたって、もう遅いのでしょう?

それでも期待を捨てきれずに、今日もわたしは部屋を暖めて誰かを待つの。



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