ひかり幼稚園の食の考え方

 新年度が始まって3週間程が経ちますね。新入園の子ども達も少しずつ慣れながら、どろ・水・砂であそんだり、虫を捕まえに行ったりと好きなあそびを見つけて楽しんでいます。ふとあそびの隙間に「ママ・・・モウアソンダカラカエル」と不安になる事もありますが、そんな気持ちも受けとめながらその子のペースで慣れていけるようにサポートしていきたいと思います。
これが配布される頃にはお弁当が始まり、GW明けには給食がはじまります。幼稚園の生活の中で、食べる事、調理する事、野菜を育てる事など食に関する事がたくさんあります。今回は、子ども達の食について園で大切にしていきたい事をお伝えします。
 まず一つ、食の発達についてですが、これは大人になってからも成長します。子どもの頃は食べられなかったけど、大人になって食べられる。好きになったというのは、どなたも経験があると思います。そういった長いスパンで考えた上で、幼児期に大切にしたい事をまとめました。

これらの事を大切にしながら、園での食に関する豊かな体験を子ども達に保障していきたいと思います。

 ①食事が作業(ただ食べるというもの)でなく、楽しい時間になる事
 ②苦手・はじめて見る食材を、身近で親しい人が美味しそうに食べている場面に出会う事
 ③作る事、育てる事、調達する事、食を通した会話を楽しむ事など食べるに至る過程・手間を楽しむ事
 ④旬のもの、うす味で素材の味が活きたものを食べる、又その味を経験する事
 
上記の4つに関して園での具体的な姿は、
 ①これはまず1番に大事にしたい事で、本来食べる事は楽しみだと思います。給食でエビカツバーガーとポテトが出た時に「今日はマック屋さんです。本日はエビカツバーガーにサイドメニューはポテトです。」と言うと、子ども達もニコニコしながらセットを取りに来てくれました。中には、僕はサイドメニューは、枝豆コーンしか食べれませんという子もいて、私もマックの店員になりきって楽しい会話をしました。また天気のいい日は、外にテーブルを並べて食べたり、レストランごっこのようにしてみんなで食卓を囲む事もありました。こういったあそび心が楽しい食事になるための工夫として大切にしていきたいと思っています。こうした楽しい雰囲気という土台がある事で、②~④がより活きてくると考えています。

 ②先生や友だちが食べている姿を見て、ちょっと食べてみようかなや、仲良し同士食べられるよと競い合ってモリモリ食べる。食事でも人とのつながりが、一人ひとりの世界を広げてくれます。お家でも家族で食卓を囲むと大人の食べ物に興味を持つという事がありますよね。味覚は本当に個性がありますが、出会う・知るきっかけとしてクラスの仲間と一緒に食卓を囲む中で影響を与え合う事を大事にしたいと思っています。そしてこれをあえて書かねばならないような時代の背景があります。子どもだけで食事をして親は後で食べる等それが珍しくありません。サザエさんのようなみんなで食卓を囲んで団欒しながらたべる事も大切な食育です。週に1度でも家族で食卓を囲む事を大切にして下さい。

③食べるだけでは、ただの作業になってしまって勿体無い。食べるまでに至る過程・手間を楽しむ事も大切です。ニワトリを飼育して卵をとったり、畑で野菜を育て、自分達で切ったり、焼いたり、行事の食材を買い出したり、年中組では冬に味噌の仕込みまでします。こういった体験やその中での何気ない会話、食を通じて生活が豊かになる事で、食への興味関心や食べたいという意欲に繫がります。この幼稚園では、毎年栽培の活動を行いますが、この活動も様々な体験を保障してくれます。自然と触れ合う機会に、また上手く出来ずになぜ!?と考える機会にもなります。その昔トウモロコシを野生動物に食べられてしまうという事件まで起こって大騒ぎした事もあり犯人は誰だなんて話になりました。調理する中では、刃物の扱いを学び、焼く事で火の扱いも経験する。この過程の中にたくさんの子ども達の成長の種があるのです。ぜひお家でも食事に至る過程を大事にして下さいね。

④食材には、旬があり、一番旨味や脂ののった美味しい食材を知る、食べる事で食への関心が高まります。うす味でとしたのは、濃い味付けに慣れてしまうと食材本来の味がわからなく、また、味覚が鈍ってしまい濃い味のものしか食べられなくなってしまうのです。これは、給食室の職員がうす味で美味しい給食になるよう努力してくれています。はじめは子ども達も慣れずに食が進まないという事もありますが、日本の塩分摂取量は他国と比べてもかなり多いのでこれは気を付けていきたいと思います。又、この味を経験するとしたのは、子どもの食べない・食べられないを全部受け入れるのではなく、信頼関係が出来てきたら、少し子どもにどう?と促す事も大切にしたいのです。返した上で、やっぱり無理、食べてみた・なめたけど無理だったも受け入れてまずは、そのものの味を知る事からはじめたいと思います。
大人になっても、食べられないもの、苦手なものがあって当たり前なのですが、知らないよりも知った上で判断して欲しいので、促す事も根気強くしていきたいと思います。

ひかり幼稚園では、飼育・栽培の活動を1年通して行います。いろんな食材に触れる中で、食への興味や意欲が育って欲しいと願っているからですし、何より自然が相手なので思うとおりに行かない事があります。この思うとおりに行かない事もまた子どもにとっては不思議な現象だったりします。そこに保育を豊かにするチャンスがあるような気がしています。食が豊かで手軽に手に入る日本だからこそこういった食を通じた物語や手間暇を大事にしていきたいと思います。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?