#21「アルコール依存症になって」 父の日のケーキ
アルコール依存症から再起に向けて生きるブルースです
私にはまだ「夢」がある。「アルコール」とは決別し、その夢を叶える為、新らたな人生を歩んでいるアラ還だ
「お父さんどこに行っていたの?何も言わないで行っちゃったから、オレ心配したよ」
自宅に戻った長男からそう声をかけられた
「今日は一緒にご飯食べようよ」
嬉しい一言に、やはり父親として笑みを浮かべ頷いた
妻からも
「今日は父の日だからケーキを用意たわよ」
さらっとしたその言葉に、離婚届はまだ出していないんだ、そう感じほっと安心した
そうか今日は父の日か、良いタイミングで帰ってきたと息子達とケーキを食べようとしたが、ひと口食べただけで長男に残りを食べて貰った
アルコールの弊害だ、飲んでしまうと
食欲がない、体重が落ちる、何もする気になれない、 全てが面倒くさい、もうどうでもいい、
これがアルコール依存症者の堂々巡りの状態だ
折角の家族団欒を楽しむ為に必死で平静を装っていたが、その晩は眠れなかった。明らかに脱水症状だった
こうなるともう点滴を打たないと体調は戻らない事は自覚していたが、真夜中という事もあり水を大量に飲んでその晩は凌いだ
しばらくそんな日が続いたが、アルコールを止める事はできなかった。その反動はすぐ体に現れた
ひどいもんだった。街医者で点滴を打ち体調が戻ると寿司屋でビールを飲み、また体調がおかしくなる。正気じゃないそう思いながらも異常な生活を続けていた
自分でも何をどうしたいのかわからない
限界が来た、真夜中あまりの不調から救急病院に行こうと思い妻にそれを伝えると
「もう他人なんだから自分の事は自分でやって」
ひとりタクシーを呼んで行った病院の処置室で落ちてくる一滴一滴の点滴を見つめながら、その言葉の意味が私の血液の中にゆっくりと入ってくるのを感じていた
「離婚届はもう出した」という事を
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