大人はどこか共感してしまうと思います|『雪女と蟹を食う』
水曜日ということで、マンガなんですが。毎週読んでいるヤンマガから「あ、なんか絵が綺麗だな」と思っていた作品を紹介します。
『雪女は蟹を食う』です。
過激なシーンもありますが、それだけじゃない。ミステリーのような展開と描写の美しさが目を引きます。
物語の始まりは主人公が自ら命を断つシーンです。
ここで「『鍵泥棒のメソッド』じゃん」って思ったりして(笑)。
最近はコンテンツをみると、すぐ似ているシーンを思い出してしまって、そこから集中できなくなるのが悩みだったりもします。
そうやっていろいろな知識を得るようになってから、これは前兆だと分かるようになりました。あとで絶対にいいことがあるんです。
このあと主人公はテレビを付けます。
そして偶然目にする、北海道の蟹。
いま考えると「この描写、強引だな」と思うんですけど(笑)主人公は北海道行きを決めます。でも予算が足りないんです。
そこで、偶然出逢ってしまうのが
ーーーーーここからは性暴力の描写を含みます。
人妻です。これは共感する人も多いと思うんですが、そうだと分かると「人のものだ」という感覚になるんですよね。さらにこのあと、突発的に後を付けちゃうんです。
ここも、「なんなんだ」という感じですが、
さらにですよ。
と、すごいセリフが続くんです。
これもあるあるだと思うんですけど、セックスが終わると急に冷静になるんですよ。でもこの女性にもどこか違和感があって
とか、ぽんぽん話が進んでいくんですよ。ここでもう1度、蟹を食べに行く話になります。
ここでたぶん、主人公は犯罪を犯したことに対して面倒になっていると思うんです。というのも、ぼくは解決していないことがあると絶対に眠れません。そういう性格の人間からすると
ってなると、消えたくなると思うんです。「ゼロクリアされたい」と。
なので、ぼくはこの「面倒くさい」という言葉がめちゃくちゃよく分かります。とにかく消え失せたいんだろうなと。
それなのに、
という、ツアーが始まりました。
すごいストーリーですよね。
── ミステリー小説を読みはじめたときのような没入感があります。(聞き手:Erina)
そうですよね。あっさりと始まっていく過程が、めちゃくちゃ良いです。そして道中の運転、買い物、全てこの女性が負担します。
ここでも「よくできた女性だな」と思わされるシーンがあって。
水もくれる。あと、このシートベルトがおっぱいの間に挟まっている感じ。
男性的にはですね、「お母さん」から扱われていると感じるのは嫌なんですよ。やっぱり男として見てもらえるかどうかは、自分が生きているかどうかの瀬戸際だと思うんです。
変な話、高校生みたいな若い人からモテたいかというとまた違うんですけど。でもですね、36歳という年齢は「おじさんなのか」と。認めたくはないけど体は疲れてくる、そんないろんなことを感じながらも、男でいたいけど、おじさんにはなりたくない。
例えば、子どもがいて孫がいるのであれば、おじいちゃんになりますよね。
そこまでくれば立場を認めると思うんです。でもそこまでは男性でいたいし、男でいたい。
はずなのに、ぼくは最近自分の年齢が分からなくなっていて、Twitterのプロフィールには37歳と書いてあるんですけど
冷静に考えたら1983年生まれなので、2020年の12月に37歳になるんです。
なのに、なぜかフライングして書いてしまっていて。だから「人間って歳をとってくると、自分がいま何歳か分からなくなるときってあるんだな」と(笑)。
それで最近、ぼくの数少ない友達と「俺って何歳だっけ」「普通に知らないよ」「だよね、でも俺の同級生でしょ?」と話していました。結局、なぜぼくがTwitterに37歳と前のめりに書いているのかは分からないんですけどね(笑)。
話をマンガに戻しますと、ついに主人公は名前を聞かれます。
さらに
男って申し訳ないですけど、こんな生き物なんですよ(笑)
また返事がすごいんですよ。
でも、お腹も減るしってことで
結局のところ、ラブホに入るんですよね。
そこで急に、悪いことしてるくせに旦那さんのことを聞き始めちゃうんですよ。
ここもまたすごいなって思うんですけど、ホテルでシャワーを浴びていると一緒に入って来たり。
マンガの1巻はなにかしらの引きが必要だと思います。それもあってのエロだと思うんですよね。これ、いま4巻まで出ているんですけど、そこまでいくとエロ要素がほぼ無くなってくるんですよ。
「どうして死のうとしたのか」「どうしてこの女性は、この男性に付き合っているのか」というあたりに踏み込んでいくんですよ。
さらに、ここで
と聞いちゃうわけですよ。で、ここです。
この目、ちゃんと1巻で影を落としていくんですよね。
── これまでは掴みだったんですね。
そうっす。結局のところ。で、旦那さんから電話が掛かってくると。
冷めた目。
このマンガを読んでいたら
たまたま昨日、旅猿をみていたんです。
ぼくはクリエイターになりたいとは微塵も思っていないですし、経営者です。ただ、もし旅をして飯が食えて、それが仕事になるってすごくいいなとは思うんですよ。
いつか車で日本横断とかしたいなって、そういうのありますよね。移動も好きなんですよね。なるべく広い車がいいですけど(笑)。
新幹線は全然いいんです。でも飛行機は電波がないこと、行くまでの過程が気になりますね。ロサンゼルスぐらいの長距離フライトならいいんです。道中が3時間あれば、絶対スイッチを持っていくと思うので。
それが北海道だと1時間20分くらいで着いちゃうから、スマホゲームになると思います。これだと普段とあまり変わらない。それが車で3時間移動となれば、フルフラットにして足を伸ばしてスイッチとか、寝るのもありだと思うんですよ。
しかも地方に行くというモードが設定されていれば、楽しめるじゃないですか。そして、、このマンガでもですね、その土地ならではの観光地が出てくるんですよ。
ここでも「こんな女性がいたらいいよね」というくらい、完璧です。お金に余裕があって、人妻かどうかはおいておいて、エロいことができて、気遣いができると。
そして北さんにフラッシュバックが起きたりして。
ガイドブックをお店に忘れてきてしまうんですが、それが、なんと
女子高生のところにあったんですね。これをきっかけに過去の記憶が。
ここも、なかなかすごくって。
この神経も、また。「1万円はしないでしょ」と思ったりしたんですけど。
こんなことを言えてしまう女性。このあともですね。
なんか綺麗なんですよ、描写が。それに人間らしいなと思うんですよね。
── 面白い。それだけに、どう魅力を伝えたらいいのか悩ましい作品だと感じました。友人にすすめするとしたら、鎌田さんはどうされますか?
ある程度の大人の人は共感してくれると思うんです。でもそのポイントを答え合わせはしたくないですね、お互いに。ただ、こういうのを読みたいテンションってあると思うんですよ。
例えば「ARMS」を読んでいても、決して幸せな気持ちにはなることはない。「花より男子」を読んでも、男女のライバルが出てくるところでは微妙な気持ちになったりすることもある。
それをあえて、微妙な気持ちも含めて「最終的にはこういう作品だったんだな」という着地に持っていけるときに、ぼくは読みたくなるんですよね。
その点『雪女と蟹を食う』はまだその道中なので、消化できないものをずっと見させれている感じはします。
万人におすすめできるかっていうと...つまらないとかそういう意味ではなく「読みたいときに読んで」と伝えたいぐらいですかね。
── この読後感はすごいですよね。
すごいです。
道中で起こることは、どこか「ラストレター 」と似ていると思います。この映画では前提として、初恋の相手が亡くなっていましたよね。
そして『雪女は蟹を食う』は主人公の北さんが死ぬという前提があります。だからこそ、終わりがあるから楽しめるんだと思うんです。
作中でも常々、死を連想させる発言がありますよね。これは「アホな男がただ人妻とセックスしながらうまいものを食っている旅行」ではなくて、終着地点に向かっていくための道中なんです。
だから「楽しい」よりも「儚い」という表現の方が、正しいかもしれないですね。
しかも、雪女さんは北さんを止めないんですよ。
先にネタバラシをしちゃいますと、ヤンマガ本誌ではですね、北海道には到着しているんです。でもですね、北さんが希望を持とうとしようとしてもなんか違うんです。
死ぬということだけは決まっているんですよ、雪女さんのなかでは。
だから北海道まで連れて来たんだろうし。これがもしかして「北海道に行ったら元気が出て、死ななくて済むかもしれないから連れて行って欲しい」という表現をしていたら、どうなっていたか分からないですよね。連載中のマンガなので結論は分からないですけど。
ぼくが読んでいる限りでは、雪女さんは北さんの「死にたい」という気持ちを変えたいとも思っていない。
4巻のなかで出てくる情報ですが、雪女さんの夫は小説家なんです。しかも、文庫のタイトルが彼女に因んだものだったりします。
そして、ここです。
しかも、2人はテレビで同じシーンを見ていたんですね。
ここから先はどうなるか...
20代以上の人に、ぜひ読んでもらいたいですね。
(ヘッダー画像引用元:作者Twitter Gino0808@雪蟹5巻!)
こんなかんじなマンガです。
非常に大人向けだし、これでもエロい描写を控えたレビューになってますが、note的には大丈夫なのだろうか。。笑
今日はこんなところで!
最後に。(やっぱり毎回言おうと思います)
読んで頂きありがとうございます!そして読んだということで「ハート」をポチってください。人間リアクションは大切です。
あと(追加!)、人生相談というnoteを書きました。ちゃんと回答していきたいと思うのでぜひあれば書き込んでみてください。
またnote内にサークルがあります。こちらもよければ。
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いままで書いてた漫画についてのレビューをスタートさせます。(2021年11月より) 漫画をレビューした後、良かった、コメントしたいという…
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