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いい物語にはいい脇役がいる|『42~世界を変えた男~』

土曜日ですね、今日の映画は『42~世界を変えた男~』です。

感想としては「なんていい映画に出会えたんだろう」と思いました。最後はやられたって感じです。


札束の色

メジャーリーグが舞台なんですが、観始めたときに「理不尽な差別」がテーマだと分かったので「『グリーンブック』再来?」と思ったんですけど、最初の20分で「もしかしたら俺この映画、感情移入できなくて終わるかも」って真剣に思いました。

設定が1947年の映画なんですけど「その時代は俺、あんまり得意じゃないかも」と。そこを「ん?これってなんだ?」と思わせて、続きを観たくなっちゃうような引きがありました。

まず舞台はLAです。これまでLAに行くことが多くて、ドジャースの試合も観戦したことがあったのでここは馴染みやすかったんですが、、、メジャーリーグとは格式を相当重んじる世界であり、隔離政策や人種差別が起きているなかでそれが最もキツイ場所だということが分かってきます。

そこへブルックリン・ドジャース(ロサンゼルス・ドジャースの前身)のゼネラルマネージャーであるリッキー会長が「黒人をいれる」と宣言します。そこでちょっと「ん?」となりました。

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会議の席で黒人の入団について「問題じゃないですか?」という発言があったんですが、リッキー会長は「違法ではないだろう?」と答えます。

かっこいい。

さらに「慣習があってみんな許してくれないんじゃないですか?」と言われても、リッキー会長は「お前、LAの人たちは黒人のスターを待っているぞ」と言い切るんです。そして「お前たちが稼ぐ金の色は白色か?黒色か?」「違うだろ?」と聞き返した上で言うんです。

「札束は緑だ」

かっけえ!! 刺さりました。ここでバシッときました。

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勇気で応える

他にもリッキー会長のセリフが光るシーンがありました。

「勝つためには結果しかないんだよ」「勇気で応えるんだ」「勇気ってなんだと思う?」「野球選手にとっての勇気は暴力じゃない」とジャッキー・ロビンソンに語りかけるところです。これ、めちゃくちゃ共感できました。

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仕事に置き換えるとぼくらが求められているのって、ぼくらのフィールドで結果を出すことですよね。野球選手の場合は、走って打って守って、点を取るっていうのが、彼らのやることです。

そしてぼくも暴力に屈すること。それはなんだろう。逃げたというか。やっぱ負けだと思うんですよね。それを改めて、野球に例えていわれたのが面白かったです。ここでまたこの物語を好きになりましたね。


「差別」

もともとジャッキーは黒人専門の野球チームであるカンザスシティ・モナークスの所属でした。そこからリッキー会長のスカウトを受け、マイナーリーグであるモントリオール・ロイヤルズに移籍します。ですが、そのために移り住んだ街で夜に襲撃を受けてしまい、引っ越さなければならないことに。

このことをぼくが言葉でいうとすごいチープになってしまうけど、ここには「差別」っていうものが明確にあって。ぼくはたまたま日本に生まれて、そういう「差別」を受けた経験がないです。

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でも映画でぼくが観ているものって、どれだけ史実に基づいていてもフィクションだなと思います。実際に、本当に、自分がそうだったら耐えられないじゃないかなって思っていて。

飛行機に乗れなかったり、トイレの使用も制限される。それって「なにか」じゃないですよね、その一緒の場所に居られないということが重すぎます。そんな状況で野球をやれなんてよくこの会長言ったなって思いました。

途中で、なに考えてんのかな?って素直に思っちゃいましたよね。金儲けのためなのか、なんなのかなっていうのを、めちゃくちゃ思っていたんですが、最後にその理由が分かります。

会長も大学時代に「野球」をやっていたんです。

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そのとき、同じチームのキャッチャーは黒人でした。そこでいろんな差別を受けてしまっているのを見て「野球」を嫌いになります。そこから会長はずっと、自分が好きな「野球」というものには「差別」が存在していることを知りながら、それを見ないフリをしてきました。

でもやっぱり「なんとかしたかった」という気持ちがあったんですね。

グリーンブックの再来
その後も、ジャッキーは襲撃を受けるなど困難な状況が続きます。でも「俺はあんたのことを応援してるよ」「才能ある奴にはチャンスを与えられるべきだ」と声をかける白人がたまに登場したりするんですよ。ここで『グリーンブック』の最後「パンクしてるよ」って教えてくれた警官のことを思い出しました。


2つのテーマ

この映画に対してぼくは何個かいい映画だなと思っているポイントがあります。物語が進むとジャッキーはマイナーリーグで結果を出し、メジャーリーグに上がっていくかというところまで到達するんです。

そこに至るまでに、最初に在籍していたロイヤルズではこんなことがありました。まず開幕初戦に出場します。そこでホームランを打つんです、それも大量に。さらに子どもが生まれます。

ここで「え?このシーズン、開幕戦だけで終わり?」って思ったんですが、この時点で残りが1時間以上あるんです。てっきりぼくは、ジャッキーがメジャーリーグに上がって終わるストーリーだと勝手に思っていたんですね。

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でもここで「あ、この映画はそこじゃないんだ」と気づきました。ジャッキーのように時には勢いで2軍から1軍へいけちゃったりするんですよね。

でも、そのあとに「メジャーリーグっていう1軍の場所で活躍できるのか」「継続して生きていけるのか」っていうのが本当に難しいことで。

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これは以前も話した「風が吹いているとき」と通じる部分があると思います。UUUMという会社においては上場するまでと、上場してからに当てはめて考えられるポイントでした。

だからこそ、ここで、めちゃくちゃぼくは共感できるんですよね。

なるほどね、勢いから定着するってことまではまた全然別のフェーズだなと。そしてこの映画は「メジャーリーグで活躍するってこと」「人種差別」がポイントだったんだなと思いました。

と同時に「だから、ここでまだ1時間あるのね」と(笑)。

――Netflixの再生時間表示が効果を発揮しましたね(聞き手:Erina)

本当にそうですよ。だって俺、読み間違えて「大丈夫かな、この物語」って一瞬思っちゃいましたもん(笑)。


シンパシー

メジャーリーグの試合中にジャッキーは、観客から選手から、それはもう猛烈なブーイングを受けます。所属しているチームでは、ボイコットや署名活動も起こります。さらに相手チームの監督がめちゃくちゃヤジを飛ばすんですよ。尋常じゃない暴言だったので「これ、人としてどうなの?」って本当に思います。

こういうときジャッキーは打てないんですよ、やっぱり。

ただ、ここで良かったのが暴力じゃなくって野球で負けたというところでした。そして、結果を野球で出していくという姿勢にも美学を感じます。こういった苦難は続きましたが、あるときジャッキーの敵だった相手が守りはじめてくれたんですね。

そこで、「シンパシーを感じたか?」というセリフがありました。

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シンパシーってギリシャ語で「痛みを共感する」ってことらしいんです。思わず、ぼくも調べちゃったんですけど。なるほどね、痛みを共感するのをシンパシーっていうんだなって。

こうして徐々にチームで真の味方ができていきます。

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そして迎えるラスト、ジャッキーにデットボールを当てた因縁のピッチャーとの対決です。さらに、ここで打ったらドジャーズ優勝!という局面。

そこでジャッキーは


ーーーーーーーーーーここからは、ラストのネタバレを含んだ感想です。









「パッカーン」打つわけですよ。
ここの描写がいいんです。

ジャッキーがホームベースを一周しているシーンと、もう半分くらいはリッキー会長のシーンなんです。このときは遠征試合だったので会長は1人ホームグラウンドにいたんですが、その姿が最高でした。

ぼく、この物語のなにがいいかって「いい物語にはいい脇役がいる」ってことだと思うんです。「いい経営者にはいい右腕がいる」ということと同じ。

1人じゃない。誰かがいて引き立つんです。

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ぼくはロビンソンっていう野球選手とリッキー会長という存在がいて、この映画は成り立っていたんだなと。それがよく分かりました。

そこからですよ、気になるじゃないですか。
「リッキー会長役の俳優は誰なんだ」って。

ホームランを打ったシーンで残り8分くらいあるんです。これが5分だったらエンドロールでしょって分かるんですけど、8分もあるのなんなんだろうなって思って観ていたら、、、42番は永久欠番になっていることとか、チームメイト全員で42番のユニフォームを着ていた写真が流れてきます。

ここで「え、これ実話なの?」「なんで教えてくれなったの!」「いい話じゃないですか!!」と、最後もめちゃくちゃいい終わりでした。

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でも結局、俳優が誰だったのか分からなかったんですよね。

それで、観ようと思ったらまた『愛の不時着』がぶーんって入ってきて。「なんなのこれ、毎回」「観ないよ俺、そういう流れで」と。『愛の不時着』の広告って全面に出てくるんですよね。エンドロールが急に変わるんです。「これどうやって消せばいいの?」と間違えてクリックすると、始まっちゃうんですよ。でもそこは、もうぼくは2回目なので!右上のバツボタンをピッて押して回避したあと「誰だったんだっけな?」って思って、「ハリソンフォードか」って思って終わりました(笑)。

よかった、よかった。

(画像引用元:42(2013)-IMDb, GIPHY

今日はこんなところで!

最後に。
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