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パーフェクトブルーを観た日(2023/09/22)

  • 私のバイト先は一緒に働く人の年齢層がバラバラなためか、常に「今日暑いですね〜」「こないだ〜したんですけど○○さんはしたことあります?」「そうなんですね〜」くらいの温度感の、ぬる〜い会話が求められる。今日はかなり久しぶりの出勤だったのだが、ぬる〜い会話をし続けるということが私にとっていかに高いハードルであったかを思い出させられた。バイトを続けるうちに雀の涙ほどのコミュ力経験値が溜まってきていたのに、このブランクで完全にゼロに戻ってしまったようだ。 かねてよりコミュニケーションが苦手であると自称しているが、やはりそれで間違いないように思う。今日は私含め3人での作業だったのだが、私以外の2人が話している間、会話に混ざるべきか、混ざらずともきちんと聞いていて相槌のみ打つべきか、2人の会話を邪魔せずに見守っているべきかで終始悩み、頭をフル回転させていた。いいから作業をしろ。結局「なつおさんはどうですか?」と話を振られるまで待ち続ける、テンプレコミュ障と化していた。コミュニケーションってこんなに難しかったっけ…… 趣味の話を振られたが、映画・アニメ・音楽鑑賞などと答えると私が作品・アーティスト名などをつらつら話すという誰にも得のないスーパーオタクタイムを発動する可能性を察知し、咄嗟に「絵を描くのとか好きですかね〜(実際言うほど描いていない)」と答えたり、私以外の2人が「明日も一応祝日?」「なんの日でしたっけ」「敬老の日は終わったし」などと話し込んでいるそばで「秋分の日じゃないですっけ?」というタイミングをひたすら窺い続けたりなどしていた。コミュニケーション、下手すぎる。だれか助けて………

  • 今敏監督の「パーフェクトブルー」を見てきた。(ここから考察とかはしませんがネタバレに配慮しません)(まだ上映期間延長するようなので念の為…)





  • 結論から言うと、とても、とても良かった。ストーリー、伏線やその回収もだし、演出や作画も、何から何まで素晴らしかった。25年前の映画であるのにそれを全く感じさせなかったのは、ストーカー、アイドルオタクなど、現代にも通用するテーマを描いていてかつ、映像として前衛的な演出が多く用いられているためだろう。流石に最近の作品と比べると画質も少し劣るし、セルアニメ特有の手描き感が感じられるのだが、開始5分でそんなことは全く気にならなくなっていた。

  •  「あなた、誰なの?」に始まる、未麻の出演するドラマや映画の台詞と現実とのリンク、ふとした瞬間に混ざるアイドル時代の過去回想やドアを開ける瞬間のシーンでの急な場面転換など、序盤の、段々と夢と現実の区別がつかなくなっていくまでの表現が、観客に自然に未麻の精神崩壊を追体験させる演出として非常に素晴らしかった。(海外の映画監督が大きく影響を受けた作品らしいが、そりゃあそうだろうな……と思った)

  • 犯人っぽい人の存在を示唆しておいて、その人ではなく実はいちばん身近な人が犯人でした、というパターン、よく見るのに絶対騙されちゃうよな〜〜最高〜〜〜と思った。映画や小説など創作物を嗜んだ経験が豊富な人はメタ的な視点でストーリーを疑うことができるためミスリードに気づけるのかもしれないが、少なくともまだまともにストーリーの理解・考察が出来る脳みそを手に入れてから日の浅い私は簡単に騙された。そうだよね、ルミちゃんアイドルになりきれなかったって言ってたもんね……

  • あとMI-MANIAの声が予想の1オクターブ高くてめちゃくちゃびっくりした。みんなの想像上にある「気持ち悪いオタク」像をかき集めた存在みたいで良かった。

  • 劇中に出てくる萌えキャラのイラストが、太めの主線、ビビットカラーの髪色の「THE・萌えキャラ」(初期のデ・ジ・キャラットみたいな)という感じで作中で一番時代を感じた。


  • 総じて、今監督が天才と呼ばれる所以が十二分に分かった。ファンになっちまうよ……日本は本当に惜しい人を、才能を亡くしたんだなあ……「パプリカ」を3年ほど前に見て当時の私の頭では理解しきれず消化不良だったのを思い出した。近いうちにリベンジしたい。

  • これ書いてるの翌日の昼なのにまだ引きずってる。パーフェクトブルー、余韻がすごいぜ。

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