地名と思い出。

 業平橋が東京スカイツリー駅になった時もそこにいた。

「東武伊勢崎線が東京スカイツリーラインになるらしい。」

 その知らせを聞いたのはもう10年以上前で、もう今では車内の乗り換え案内が「TOKYO Sky Tree Line」と言っているのも日常のことになった。

 子どもの頃、東武線で浅草に行くだけでも小旅行の気分だった。同じ道を走ってるのに何で途中で乗り換えるの? いやそもそも乗り換えをしていたのか、待ち合わせ電車を待っていたのか記憶はあいまいだ。でもわたしの幼少期には確かにそこは「業平橋」だった。

 「東京スカイツリー駅になっても、あの隙間の広いホームは変わっていないんだな。気を付けて降りないと。」

 としまえんが魔法学校になるのも、こんな風に日常の中で体験するなんて。なんだか寂しいな、なぜだろう。さて、頼んでもないのに毎日魔法電車に乗ることになった。この通勤の満員電車は魔法でもどうにもならないようだ。

 としまえんの思い出は、とにかく暑かったこと。園までの長い一本道は陽炎でゆらゆらしてた。友達と遠出なんてしたことがなかったから、園までの道のりが一番記憶に残っている。ストーリーはないわたしの小さな思い出。でも大事な思い出。

 魔法学校に行く道のりも、これから誰かの大事な思い出になるのかな。場所も地名も道のりも、誰かの大事な思い出。替え難い思い出。

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