自分の世界を変えていくことは大切だけど、意外と不可逆だったりする。
あたらしいことを知ると、じぶんの世界はどんどん変わっていく。
たとえば、一度イラストを書いてみると、世の中のゲームやアニメの見え方が変わる。
ちいさいころパーフェクトヒューマンだと思っていた先生も、ただの不惑のおじさんだったと気づく。
「演劇的」なことを知ると、ただの飲み会でも演劇を探してしまう。
世界は、自分が解釈可能な姿でしか現れないし、自分の視野を広げて世界を更新していくことは、とても大切だと思っている。
だけど、ときどき、考える。
あの頃、ぼくの目に見えていた世界は、どんなだっただろう。
アニメやゲームにひたすらワクワクしていたころ。
先生という、すごいおとなの人に心酔していたころ。
行間を読んだり動作の意味を考えたりせず、友だちとの遊びをただ楽しんでいたころ。
世界変容は案外かんたんだけど、一度変わった世界をもとに戻すのはむずかしい。
だけど世の中には、ブラウン管のテレビで見るからこそ、おもしろいものもいっぱいあるのかもしれない。
さみしいとは思わない。
変わっていくことはいいことだと、ぼくは思う。
ただ、たまにノスタルジックに、思い出したくなるだけ。
野球帰りの坂道から見えたきれいな夕陽は、CMYKじゃ表せなかった。
オレンジ色の空に、バーミヤンの桃が浮かんでいたのが、なんだかおかしかった。
おとなになって、いろんなことを知って、世界のいろいろが解釈可能になったけど、
言葉にできない感動、みたいなものを、いまでも探している。
いま見えている世界を、この世界の感動を、たいせつにしようと思う。
購入&サポート、いつもありがとうございます!すごく励みになります。 サポートいただいた分で、楽しいことをつくったり、他の人のよかった記事をサポートしたりしていきます!