ティール組織とマインドフルネスをつなぐ「目的」とは?



今、話題になっているティール組織。

 非管理型の組織のあり方で、これまで主流であったヒエラルキー型組織とは全く違う世界。
昨年本が発売されるやいなや、国会で取り上げられたり、最近では霞ヶ関の官僚の間でも勉強会が開かれるなど急速に認識が広がっています。

そんな中、先日「ティール組織」の本の著者、フレデリック・ラルーさんが来日しSNS上でも話題に上っていましたが、ラルーさんの発言には禅やマインドフルネスに繋がる世界観を改めて感じました。

ティール組織では、管理されない中で、一人一人が”目的” をしっかり捉えて自律的に動くことが求められます。

さて、その”目的” とは?

世界的なコンサルティングファーム、マッキンゼーで活躍されたフレデリック・ラルーさんがお話されているのは、戦略的に未来を予測して分析的に目的を見いだすのではなく、ある意味、禅的な「一所懸命」な今この瞬間にフォーカスしたあり方でした。


「人生の目的は見つけるものじゃない。いま、やるべきことにベストを尽くすだけ」

そして、ある意味”目的”を生命や人間を超越した、神のような存在だと思わせる表現を使って、他力本願的なメッセージを発信しています。

「目的は見つけるものではない。目的が自分を見つけてくれる」


翻って、私たちはどうでしょうか?生きる目的、働く目的といった”目的”が自分で見出せず、先行きを不安に思う方も多いのではないかと思います。

そんな中、ラルーさんのお話は目的に対して新たな視点で捉える可能性を示唆しています。

「わたしがすべきことは、人生の目的がわたしを通して実現されるように、できる限り自分の人生をオープンにし、目的が入ってくるためのスペースを用意すること」


「手放す」あるいは「委ねる」ことの可能性。
自分の囚われている感情や恐れを手放し、オープンになること。それがもたらしてくれる世界は思っている以上に大きいのではないでしょうか。

自分という個人の認識の枠組みの境界を外し、あるがままに全体性に委ねることに可能性を見出していく。

上記の記事の続編で、ティール的な組織を作りあげられている
サイボウズ代表取締役社長の青野慶久さんと株式会社ガイアックス代表執行役社長の上田祐司さんとの対談も面白いです。


青野さんの以下のコメントからも、個人の立場を切り離し、まずは意識的にでもメタ的な視点で物事を観る事から可能性が拡がっていくことがわかります。

「神様だったら今の社会の状況を見て、どんな判断を下すのかな」と想像する


また、意識的にメタ認知する事とあわせて大事だと思うのが、直感力です。

昨年のZen2.0に登壇頂いたATカーニーの日本法人会長、梅澤さんが毎朝晩30年以上瞑想をされている中で、直感力を高めているところがあると発言されていました。ロジックの世界だと思いがちなコンサルティングの世界で、合理的に個人の頭でロジカルに考えるだけではなく、直感的に感じる中で可能性を見出していることともつながりを感じます。
ビジネスやスポーツで「禅」がなぜ役立つのか。 :Zen2.0 梅澤さん為末さん対談)

そして、フレデリック・ラルーさんは以下のようなお話もされています。

「わたし自身のことを言えば、セクシー路線ではありませんが(笑)、達成されるべき重要な仕事やアイデアが、こちらに降りて来たいと思えるように、自分を「美しい」存在に磨いておくことは大切だな、と考えています。この世界の中には成し遂げられるべき重要な仕事があります。そして、その仕事はわたしたちが受け止める準備ができるのを待っています。準備が整ったら、仕事たちはこちらに降りてきてくれます。でも、わたしたちがオープンで受け止める準備をしない限り、降りては来られないのです。」

心の「美しい」存在への鍛錬として、禅やマインドフルネスの日々の実践が寄与してくるのではないでしょうか。


ちなみに、目的に関しては、Zen2.0に登壇して頂いているスタンフォード大学のスティーヴン・マーフィー重松先生も今年のZen2.0オープニングで同じような表現をされていました。


「mystery」、即ち自分ではコントロール出来ない神秘的な存在に身を委ねてみる。「surrender」、ある種の諦観とも言えるでしょう。
 そのように身を委ねることで、自分の命を捉まえて、人生の目的を見つけていく。
 それは、自分の力や考えでは出来ないことです。大いなる存在との繋がりを信じることが大切です。
 宇宙からのメッセージ、大いなる存在に目的を聞くためにはマインドフルネスが必要なのです。
 座禅をしていると、心が静かになり、自分が何かを受けていることを感じ、大いなる存在からのメッセージが聞こえるようになってきます。
 I am here.
 私たちは一人の人間として身体、顔があり生きている事実があります。しかし、自分はひとりぼっちという妄想を続けていると、不安を感じて、限られたことしか認めない、見えない状態になってしまいます。
 そうではなく、自分を全てあるがままに受け入れて癒やされるために「all」になるのです。そうすれば「I」と「all」との繋がりが分かり、自分のユニークな目的に気づき、個人として成長することが出来るのです。

             (参照:Zen2.0に参加しました


様々な変化が感じられ、社会の価値観が大きく変わろうとしている現在。

個人個人と組織が新たな可能性を見いだすためにも、今やるべきことにベストを尽くしつつ、内なる声”目的”を感じるマインドフルネスがより一層重要になっているのではないでしょうか。



※9月にスティーヴン・マーフィー重松先生と一緒に登壇させて頂いた時の記事にも今回のテーマに繋がる話が記載されています。参考までにぜひご覧ください。


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