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コロナ禍を乗り越えるために世界の知性が提唱する『瞑想』の可能性

新型コロナウィルスによって瞑想の重要性が益々高まっています。

先日放送された、NHKのETV特集「緊急対談 パンデミックが変える世界〜海外の知性が語る展望〜」 は、世界の叡智として、政治学者のイアン・ブレマーさんと、歴史学者のユヴァル・ノア・ハラリさん、また、思想家のジャック・アタリさんによる大変興味深い番組でした。

感染そのものによる人命の被害や経済的な打撃だけではなく、国際的な政治のあり方というより大きな危機の可能性について大変わかりやすく解説してくれています。

※こちらで視聴可能ですので、まだ見ていない方は是非。

人類が初めて直面するほどの危機になる可能性がある一方で、それぞれの叡智から新しい時代の可能性を作り出していくことができるという希望も感じました。

まず印象的だったのが、1人目の政治学者のイアン・ブレマー さんが最後に述べていた人々への提言。

この危機を乗り越え、社会のあり方や生き方を変えていくために必要なこととして「犬を飼うことと、毎朝瞑想すること」とコメントされていました。

一人一人、気持ちを落ち着かせることが重要で、人間性を失ってはならないと。

人間には「つながり」が重要だけれども、それが制限されている今、犬を飼うことができない人でも、人間性を回復していく上で、閉ざされた空間(だからこそ?)できることとして、「毎朝の瞑想」があります。


ETV特集の2人目の登壇者は、世界的なベストセラーとなった『サピエンス全史』、『ホモデウス』、そして、昨年発売され話題になっている『21世紀の人類のための21の思考 21 Lessons』の著者である歴史学者のユヴァル・ノア・ハラリさん。

ハラリさんは、民主主義に対しての危機の可能性を示唆。
感染症予防のために必要な対応を取る中で全体主義的な体制を強める国が出てきており、「権力」についてどの様に扱っていいくが世界的に問われています。

元々、ハラリさんは、『21世紀の人類のための21の思考 21 Lessons』でもコロナ以前からデータ管理型のアルゴリズムが支配する世界への警鐘を鳴らしていました。

今回のコロナウィルスによるパンデミックを抑えるにはデータ管理の必要性も必要だとハラリさんは述べます。ただしそれが全体主義的な管理にならないようにするためには「情報の透明性」と信頼をベースにした「個人的な動機付け」で人々が適切な行動をとれるような「教育」の重要性が大事になってきます。

アフターコロナの世界に対するハラリさんの警告は、下記の日経の記事もぜひ参考にしてください。


ETV特集では、感染症に対峙するための監視のための政治、権力、プライバシーの問題を中心にコメントされていますが、ここで更に取りあげたいのが、ハラリさんが書かれた最新の著書『21世紀の人類のための21の思考 21 Lessons』です。


自分自身以上に自分のことが分かり、アルゴリズムが支配するデータ社会の実現可能性があること。

そうすると、本当の自分はなんなのか?ということがより見えなくなり、それがもたらす弊害は益々大きくなること。

この本では、21世紀の人類のための重要な21の観点を上げていますが、その最後の21番目の項目に掲げているのが、

『21.瞑想〜ひたすら観察せよ〜』

です。ひたすら心の内面を観察せよ、と。

ハラリさんはこの本でも再三に渡り、『科学』の重要性を説いていますが、最後に大事なこととして、瞑想を通して、自分の内面を観察することの重要性を上げている点がとても興味深いです。

ある意味、ハラリさんの様に「科学」や「歴史」そして、「テクロノジーの行きつく先」を見つめ続けたからこそ、『瞑想』の重要性が際立ってくるのではないでしょうか。

ハラリさん自身は、2000年頃に友人の勧めで瞑想を体験し、そこから毎日2時間瞑想をするようになったそうですが、瞑想の実践が提供してくれる集中力と明晰さがなければ『サピエンス全史』、『ホモデウス』も書けなかっただろう、と断言しています。

そして、テクノロジーの進化により、アルゴリズムが私たちに代わって私たちの心を決めるようになる前に、自分の心を理解しておかなくてはならないとも述べています。

コロナ前にこの本が書かれており、以前読んだ時はあまりリアリティを感じなかったところも正直ありました。 ただこのコロナ禍の中、一人一人の健康状態も含め、全体主義的なデータ管理の重要性が感染症を克服し社会的安全性を実現するために現実になりそうな状況を目の当たりにすると、ハラリさんがこの本で述べていた世界が来るのも予想以上に早いのかもしれないと感じてしまいます。


歴史を振り返ると、偉大な物理学者ニュートンは1665年、ペストの流行で大学が一時休校となった時に実家に戻って2年間を過ごし、その時に落ちるリンゴを見て万有引力の法則をひらめきました。

ニュートンはこの期間を“創造的休暇”と呼んでいます。

コロナはある意味、ハラリさんが危機感を感じていたテクノロジーの進化により「自分自身についての現実を観察するのが不可能となる」時が無自覚に訪れる前に、一人一人が自宅に篭る中で、半ば強制的に自分の内面を観察し、「自分が本当は何者なのか」をじっくり吟味する時間を与えてくれたのかもしれません。

今、国連でも、新型コロナウィルスに対峙していくにあたって瞑想ーマインドフルネスーを勧めています。


Stay Homeが必要な今こそ、自宅で瞑想を実践されてみてはいかがでしょうか?






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