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電気の件

喉元すぎればなんとやら、で、解決した今となっては何事もなかったかのように暮らしているけれど、8月頭から10月末までの3か月間、アパートの部屋に電気がない状態で暮らしていた。あまり面白い話でもないし、誰かの参考になるとも思えないけど、覚書として顛末を書いておく。

「電気がない」というのは、「電力が一切供給されていない」という意味で、エアコン、パンカー(天井扇)、照明、冷蔵庫、PC、ドライヤー、アイロン、湯沸かしポット、とにかくすべてが作動しないわけだ。(そもそもエアコンもパンカーも設置されてないけど)室内でキャンプをやっているようなもの。
なんでこんなことになったのかというと、突発的な故障でも、誰かに騙されたわけでもなく、電気がないことを初めから承知で入居をしたのだった。この物件は知人の所有で長期間空き部屋となっていて、人に売るのも貸すのも難しい状態なので、金銭的に非常にありがたい条件で住ませてもらうことになった。が、空き家状態の期間に電気メーターの交換があり、古いメーターは取り外されたものの、新しいメーターが設置されずに放置されていた。そのため、メーター設置から申請をしなければならなかった。1か月くらいかかるかな、と覚悟はしていたが、結局3か月かかってしまった。他の物件を探せばよかったのかもしれないが、8月の酷暑の中、一人で他の物件を探せる気がしなかったし、知人の物件という安心感に勝るものがなかった。

手続き的には、以下のような流れ。
電力会社(BSES)を訪問して現状確認。
前住人の滞納料金精算。
ウェブサイトから新規申し込み。あれこれ書類をアップロード。
書類が足りないと言われ追加アップロード。
電力会社から居住確認の訪問。写真など撮りに来た。
書類とウェブサイトに入力した内容で、スペルが1個違うと言われてブチ切れる。
まだまだ追加書類があり、裁判所の確認も必要という話になり、お手上げ気味になる。
アパートに出入りのElectritianに追加書類関係を委託。
電力会社から謎の電話が入るが用件がわからず、折り返し不可の番号で、再電話もかかってこない。
申請から約3か月後のある日突然、メーター設置作業員がやって来た。帰宅途中に「いまお宅のアパートにいるんだけど」と電話がかかって来て、非常に焦る。ここで逃したらいつになるかわからない。「10分待って」と大幅にサバを読んで帰宅して立ち会った。
出入りのElectritianに室内のブレーカー等を見てもらって、電気開通。

この間、電力会社を訪問したり、所有者が電力会社の窓口、コールセンター、別部門の知り合いにギャンギャン電話を入れたり、賄賂なら払うと言ってみたりしていたが、とにかくメーター設置までに3か月待たされた。設置作業員がストライキ中だとか、今週中に設置するとか、メーターの在庫がないとか、嘘か本当かわからない言い訳しか返ってこなかった。
隣家にちょっとお金払って電気分けてもらえば、と複数の人から言われた。インドでは盗電が頻繁に行われていて、そういう方法があるのはわかっている。が、自ら新しい問題を増やしたくなかった。

8〜10月は本当に暑くて、苦しくて、なるべく長時間を学校で過ごしたり、時々安宿に避難したりしてしのいでいた。「クーラーのない部屋で過ごしていたら熱中症で死亡」みたいなニュースが日本で時々あるけれど、あれと同じ状態? もしかして命の危機? なとという考えも頭をよぎった。毎日学校でモバイルバッテリー2個とスマホを充電し、充電式の小さなライトで最低限の明かりを確保。USB電源で作動する冷風扇で微風を浴びる。とにかく汗だくでたびたび水浴びをしていた。週末はカフェで充電。冷蔵庫がないので、食材を保存したり飲み物を冷やすことができない。家で食べていたのは果物くらい。

いやー、電気ってありがたいですね。先人たちに感謝。なお、電気があって、一番助かるのは、「蚊を目視で捕捉して刺される前に戦えること」だということを学びました。

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