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本の装丁

みなさんは本屋さんに本を買いに行く時ってどうやって本を選んでますか?

もちろん欲しい本があって買いに行く時もありますけど、目的の本がない時にも本屋って意外と行きますよね?時間つぶしだったり、ただぶらっとするように寄っていたたり。

その時ってやっぱりカバーが目を引く本はついつい手に取ってしまいますよね?本のカバーはいわばその本の顔。やっぱり本を作るときも一番気を使って作られる部分だと思っています。

今日はそんな本の装丁でついつい手に取って買った本、山田宗樹著『百年法』をご紹介。

この本は自分がフランスから帰国したての時にたまたま本屋で見つけて買った本でした。帰国した手の時は日本語もままならない状態で日本語を勉強する方法として自分は本を読みまくっていた時期でした。最初は既にフランス語で読んでいたシャーロック・ホームズなどを読んだり、映画を見て大体あらすじの知っている小説を中心に読んでいたのですが、この本が初めてまっさらな状態で読んだ本だったためか、今でも心に残る本になっています。

ちなみに山田宗樹先生は『嫌われ松子の一生』など映画化された小説を書かれている作家さんで、『百年法』は初めてのSF小説で、2013年の本屋大賞にもノミネートされていました。残念ながら9位に終わりましたが、日本推理作家協会賞を受賞したりしています。

なぜ自分はこの本を手に取ったのか。もちろんその衝撃的なタイトル『百年法』にまず興味を惹かれました。”法”って漢字を使っているので何かの法律?まず、これは小説なのか?法律本なのか?という疑問が頭に浮かびました。なぜなら装丁が何やら重々しい雰囲気を醸し出していたからです。
タイトルがドーンと真ん中に縦書きで入っていてなんか法律本っぽい…でも”上”って書いてあるし…百年法ってなんだ?という流れで手に取る。

手に取ったらまずその内容を確認しようと本を開きますよね。
そしたらこれですよw

”生存制限法”(通称:百年法)不老化処置を受けた国民は処置後百年後を以て生存権をはじめとする基本的人権はこれを全て放棄しなければならない・・・

???

なんじゃそりゃ!不老化処置ってなんだ?!え?ってかそれだけ??
いやいやいや。それだけじゃわからんって!って思って見返し紙とタイトルページを開くと登場人物のページが出てくる。どうやら小説は小説らしい。

そしてついに本文を読み始めてしまい、それでもわからないから数ページ読んでしまったので、もうこれは買って確認しないとわからんということでご購入w

これですよね。この本の装丁はその役割を存分に発揮して、消費者の興味をちょうどいい具合に刺激して購買意欲を掻き立てる。

まぁ、装丁がすごくよくて中身はそんなによくないってこともあるかもしれませんけど、やっぱりこの本の装丁での力の入れようを見ると編集者も相当力を入れてこの本を売ろうとしているのがなんとなく伝わりました。←勝手に思っているだけかもしれませんがw

『百年法』は期待を裏切らず、今でも読み返す本となりました。同時にSF小説をそこから読むようになるきっかけをくれた本でもあるかもしれません。
ただ、写真でもご覧いただけるとおり、上下巻の長編小説で単行本で何回読むにも持ち運びには不向きでずっと文庫化を待っていました。なので文庫化された日には速攻で買って今では両方本棚に並べています。

文庫を買ったんだから単行本は処分してもいいのでは?と思われる方もいらっしゃるかもしれません。また、私は文庫だけ読む派で文庫化を待っています。という方もいるかもしれません。
でも自分は両方持っていたい。というか単行本も取っておきたい。なぜなら装丁が単行本と文庫本で全然違うからです!

正直言って、もしこの『百年法』を単行本で知らなかったら買ったかは怪しいです。なぜなら単行本にあった魅力的な装丁を文庫では一切なくしてしまっているからです!

まず、縦書きではなくなっている。さらに書体も違う!
縦書きだったからよかった、縦書きだったから背景に使用されている写真の奥行きが活きていたのに!横書きで奥行きは消えてしまっているいっそ違う写真を使用してくれって思ってしまいました。それにこのコートされた表紙。単行本ではマットなのになぜ文庫ではコート?
さらにカバーの返にあった”生存制限法”はなく、山田先生の紹介が入っている。なぜ?

いや、わかっている全て価格を抑えるためであろうことはわかっている。
低迷する出版業界では価格をできるだけ抑えてできるだけ多くの方に買ってもらう。わからなくもないが、その本の魅力を取ってしまったら元も子もないではないですか!

自分ですら、内容を知っていて好きだから買うけど、がっかりした気持ちは今でも忘れられず、単行本をずっと一緒に持っています。
色んな人に勧める本なのでプレゼントでは便利さを重視して文庫本をプレゼントするが、できれば単行本をあげたい。

個人的には文庫は便利なので好きですが、どうしても読みたい小説は単行本で買ってしまうのはその装丁のためかもしれません。そして気に入ったら文庫でも買うってのを繰り返していますw

小説によっては単行本と文庫本で装丁がガラリと変わる場合もあるので両方持ってても2度楽しめる。

本の装丁とは消費者に買ってもらうためにあるかもしれませんが、その本のアイデンティティでもあるので愛着を持つようになるものです。その本のかを作れる装丁家ってなんて素晴らしい仕事なんだろうとこの頃思います。

最近よくいうジャケ買いですが、それでもいいじゃないですか。だってジャケットもその本の一部なのだから。でもあわよくばその本の内容も好きになったらもっと愛着が沸くことを知って欲しいです。

みなさんは思い出にある、大切にしている本の装丁ってありますか?

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