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『運命の恋をかなえるスタンダール』

おはようございますkalikaliです。

都内の感染者数が落ち着かなくてひやひやしている毎日です。
無症状の感染者が20.30代に多いと言われるとやっぱりどうしても大丈夫なんだろうか?と意識してしまいます。
アルコール消毒と手洗いは徹底してやっているつもりですが、見えない敵って本当に厄介だと日々感じています。

私は今年は帰省をしないことにしました。
機械音痴の両親にはたしてSkypeデビューが出来るかかなり不安なのですが、オンライン帰省をすべく計画進行中です。笑


今回読んでみたのは、水野敬也さんの「運命の恋をかなえるスタンダール」です。

同じく水野さん著書の「夢をかなえるゾウ」を昨年に私は読んだのですが(テレビ離れしすぎてとっくの昔に話題になってドラマ化されていたとはかけらも知りませんでした笑)、それが凄く面白くって、またまた他の作品も読んでみたい熱が高まり手に取ったのがきっかけです。



1.登場人物

万平 聡子(まんだいら さとこ)

図書館で司書をしている本オタクの主人公。本名は万平だが、事情があって岡本の姓を名乗って働いている。黒髪ロングで髪は伸ばしたままのナチュラルヘアー。前髪重め。分厚い眼鏡をかけていて暗い印象を受けさせることが多い。宮城県出身の30代。
図書館であこがれのマリウス(『レ・ミゼラブル』に登場)にイメージぴったりの男性に会い、恋に落ちる。

スタンダール

19世紀のフランス人小説家。聡子が家にあった彼の著書「恋愛論」を開いたとたん中から突如現れる。実は当時はモテなかったらしい。
白髪交じりの灰色の髪に、あごにも灰色のひげを生やした初老の外見。
なぜか日本語がペラペラだが、ちょくちょくフランス語を織り交ぜた会話をする上にオヤジギャグを忘れない精神を持つ。
聡子の恋が実るように色々と助言をすべく、彼女の前に姿を現した。

鈴木涼介(マリウス)

聡子の働く図書館にお客として現れた。ミステリー小説家でペンネームは鶫涼介。参考にする書籍などを探しに図書館を利用している。作品はあっと驚くような展開というよりは、リアリティの緻密さが特徴。作中の表現による臨場感が凄い。
白いパンツを履きこなすタイプの男性。更にはストールも巻きこなすタイプ。
実はある別の理由があって図書館には通っていた。

2.あらすじ

主人公の万平聡子が勤務先の図書館で、自分の理想の男性像であるマリウスにピッタリの男性を見かけ、恋に落ちるところから物語は始まる。
聡子の幼少期に、地元の宮城県で化石捏造の”万平事件”を引き起こした父親を持つ。万平事件はその後発展し、その真意について本が出版されたり、芸人の笑いのネタに使われるなど世間一般に広がってしまっていた。マスコミや周囲の人間による関係者家族への必要な聞き込みや嫌がらせに遭った聡子は、広場恐怖症の症状を持っていた。

父親とは断絶し、地元を離れて親戚の家で生活するようになる。姓も万平から親戚の岡本を名乗り、自分は万平の人間であるという事実をひた隠している。
定期的に精神科にも通い、発作が出はじめると処方薬(聡子はパックンと名付け、薬との疑似会話をしつつ症状をかわしている)も飲んでいる。そういった事情もあり、恋愛はおろか人と接すること自体が苦手で自分の存在を薄く薄~くさせて生きて来ていた。

しかし聡子は理想の男性と出会ってしまった。

精神的な症状と闘いながら、このまま生きていくと思っていた人生で突如現れた運命の出会い。
聡子は本の中ではなく、初めての実物の男性への胸のときめきに舞い上がる。
だが実際の自分はこれまでのそういった経験の少なさももちろんとして、万平事件というものを一生自分も背負って生きていくもの。
自分が普通の恋愛、さらにはあんな理想の人と結ばれることが実際にはありえない。でもやっぱり彼のことが好きな気持ちに変わりはない。

そんなもんもんとした聡子が家にあった「恋愛論」をふと開くと、突如目の前に黒服白髪交じりの初老男性が現れる。

「ボンソワール、マドモアゼル」

びっくりしすぎて声にならない聡子。
その初老男性は自らを「恋愛論」の著者であるかの”スタンダール”だと名乗り、聡子が今恋に悩んでいることを言い当てる。

「私がこうして姿を現したということは、君が、理想の世界ではなく現実において、理想の恋愛を成就させる力を手に入れたことを意味する!」

スタンダールが声高らかに宣言。

ここから聡子の恋愛の達人”スタンダール”監修「マリウスとの恋愛成就作戦」が始まる。。。

3.感想

面白い。
そして最後はしっかり感動させられる。

「夢をかなえるゾウ」もそうでしたが、登場人物の掛け合いが本当に面白くて好きです。笑いの要素をふんだんに盛り込んでくれるので、重い内容にならず、且つコンプレックスや悩みをぶわっと一気に昇華させてくれる力があると読んでいて思います。

生まれ落ちた環境や容姿によって、人の人生は左右されてしまう部分も少なからずあるのかと私は思っています。
でも、大事なことってそれだけでは決して無いし、捉え方だったり努力によって大事な”個性”としてその人を輝かせることがきっと出来る。

主人公の聡子が、場面場面できちんと問題と向き合う力のある女性だったので、とても好感が持てました。
こんな時、逃げ出したくなるよなぁー...
でも、今までの自分とさよならする為にはこの瞬間頑張らなければ行けない。
そういった心の強さを沢山感じることが出来ました。

恋愛って一種の病気というか(笑)、のめり込み具合によってはその人によって善にも悪にもなるくらい強烈なパワーを持つものという認識でいます。
聡子が、”スタンダール”に叱咤され、ボロクソにけなされ、それでも愛のムチを受け続けて自分の気持ちと相手の気持ちに向き合い続け、最後には作中の彼女が幸せを掴む内容となっていました。
表に出せない感情や表現力を、彼女が自分の力で少しづつ表に出し昇華させる事が出来るようになったのが、一番心には響きました。

家庭環境による問題とか、身近な人との確執は簡単には解消されないものだと思います。近ければ近いほど気持ちは強くなりがちで、根深くなるというか、、、
本当のことを知らないでいる方が幸せなこともあると思います。


聡子が恐怖を抱えながらも一歩踏み出したことが、彼女にとって今までとこれからと両方に大きな変革をもたらす結果に繋がって本当に良かったです。

強さには色々な種類があると思いますが、”自分と向き合う”、”恐怖を感じたときにも行動を起こす”、”現状を見つめる”そういった類の強さをわたしはこの本から感じました。

笑える要素満載なので、テンポよく読みたい人にはかなりおすすめです。笑
スタンダールが現れた日から日数のカウントが始まっていることに気付いたときは、なるほど!という感じです。


ここまで読んで頂き、ありがとうございました!


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