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ビジネスと芸術の狭間

実は25歳ながらにして、本物の宝石を身に付ける事を、趣味というか、習慣というか、自分の一部として来ました。宝石を身に付け始めて、もう3年近く。

宝石の世界はとても面白く、多くの人が名を知っているダイヤモンドやルビー、エメラルド以外にも、沢山の素敵な色石があります。
巷では1番メジャーなダイヤモンドも、質にバラつきはあるにせよ、流通量が多い為、宝石界では、そこまで高額な部類には入りません。(ピンクダイヤモンドなど、色付きダイヤは高いんですけどね。)

そう、ポイントは「流通量」!!

良い物でも流通量が多い宝石は、価格はそこまで上がりません。逆に、「この地域のこの時代にしか取れなかった」というような宝石もあります。そういう種類の宝石は、多く流通出来ない為、希少価値の高い宝石として、価格も高くなります。

「この地域でしか取れない」はまだしも、特に「この時代にしか取れなかった」という宝石は、これ以上世に出回る事が無い為、時が経つ程に、希少価値が高くなります。
では、流通量が少なければ少ないほど良いのか。

これが、そういう訳でも無いのです。
流通量が少ないほど、希少価値が高まるのは事実ですが、余りに少な過ぎると、そもそも「流通」というレベルに達さない為、価格がつけられない、商品として、ビジネスとしては成り立たない、という事になります。
では、そんな、余りに希少価値の高い宝石には、価値が無いのでしょうか。
というかそもそも、「価値」とは価格だけで決まるのでしょうか。

この問題を考える上で非常に参考になる分野が、「アート」です。

以前、こんな本を読みました。

『巨大化する現代アートビジネス』ダニエル・クラネ&カトリーヌ・ラムール

アートこそ、この世で最も芸術的で、ビジネス的と言えるでしょう。
リーマンショックをものともせず、4日間の見本市で数百億円の売り上げ規模を誇っている急成長市場、現代アート業界。
中国とアメリカが80%近くを占めている現代アートの競売市場では、世界中の億万長者が、ありえない金額で、作品を落札しています。
例えば、2011~15年において、現存するアーティストの「競売落札額」を見た時、日本人のトップは、草間彌生さんで「約1億2290万ドル」。1ドル=100円と考えて、100億は超えている計算です。
100億もあったら、この世の欲しいもの、何だって手に入ります。(愛と健康以外。笑)

ではここで、ある作品Aが1億円で落札されたとします。そして同じ会場で別のアーティストの作品Bが、5000万円で落札されたとします。
この時、Aの価値は、Bの価値のピッタリ2倍なのでしょうか。
見ての通り、価格は2倍です。ですが、Aの作品は明らかに、Bの作品の2倍良いと言えるのでしょうか。

この世で最も価値が分かりづらい分野において、眩暈がするほど大きな金額が動いているとは、不思議なものです。
いや、価値が分からないからこそ、色んな人が色んな値段をつけ、最終的に値段が吊り上がっていくのでしょうか。

芸術や文化が息づくには、ビジネスが欠かせない。
だけどビジネスだけでは、芸術の本当の価値は分からない。

宝石も美術作品も、不思議で、でもワクワクする、魅惑の世界です。

皆さんは、芸術とビジネスのあり方について、どう考えますか?

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