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"狂言"を見た事、ありますか?

皆さんは、"狂言”を見た事がりますか?

かくいう私も、先月、親しい友人に急に誘われて見に行くまで、一度も行った事はありませんでした。

公演の3日前。

「最前列の席があるから」と言われ、狂言の世界なんて知らないながらも、きっと楽しいんだろうな、なんて予感がして、見に行く事にしました。

会場に足を踏み入れた途端に分かる、世代の違い。

20代と思しき人は、誰もいない(笑)

おまけに、身なりを見れば直ぐに分かる上品さ。

「やっぱり、貴族の遊びか~。」なんて、思っちゃいました。

その日の公演は、「万作の会」。

今や映画などでも活躍している、野村萬斎さんのお父様である万作さんがメインの回となります。

演目は、最初に野村萬斎さんのご挨拶があり、小舞(こまい)と言われる短めの謡曲があり、その後狂言の2つの演目が演じられます。

最初に感動したのは、野村萬斎さんのご挨拶でした。

先ず、始めに出てきた野村萬斎さんのオーラたるや!!

所作の1つ1つが、とても美しい。特に手の動き。

無駄がないというか、指先の動きがとても洗練されているのです。萬斎さんが時折、片手で髪を整える仕草をされるのですが、それが余りに美しく、見とれてしまいました。(脳内で延々リピートされそう、、、笑)

そして、御姿だけでなく、お話までもが、「さすがは伝統芸能の担い手!」だと言わんばかりの、力のこもった内容でした。

コロナの影響で、人が集まるイベントである狂言は、他のエンターテインメントと同様、中止や延期が相次ぐ事態となりました。

エンタメ業界にいる友人がいる方は、音を上げる姿をよく目にしているのではないでしょうか。

そんな中、意外にも、伝統芸能に携わる方々は、冷静に行動している方が多いのだそう。

狂言は、室町時代から続く、庶民のエンターテインメント。

戦国時代に始まり、織田信長が栄華を築いたのも束の間、長い長い徳川の時代から、日本が一変した明治維新。民主化が進んだ大正時代から一転、国家総力戦の時代へと突入しました。戦後の高度経済成長、バブル、その後の長い不況、度重なる自然災害。

幾度となく、苦難を乗り越え、受け継がれてきた狂言。

きっと、歴史が途絶えてしまうような危機もあった事でしょう。

今回のコロナ禍での一連の流れが、大した事ではないとは思いませんが、様々な苦境をくぐり抜けてきた狂言様にとっては、この出来事もまた、長い歴史の中の、ほんの数ページなのかもしれません。

そして、さすがは数々の困難の中から、乗り越えてきただけある!

狂言の演目は、とても面白いものでした。

狂言は、華やかな衣装を身にまとい、お顔もしっかりと白塗りして行う歌舞伎とは違い、演者も数人で、どちらかというと素朴な雰囲気です。

内容も、言葉遊びや、ちょっとした思い違い等、どんな時代の人、どんな世代の人でもくすっと笑えるようなもので、エンターテインメント性たっぷり。

毎年恒例で見に行く方々の気持ちが分かるような気がします。

それに、千利休により茶の湯が完成された室町時代の人々も、どこの誰が発明したか分からないけれど、タピオカミルクティーが流行っている現代の人々が、同じ事で笑っているなんて、ちょっと不思議で、そしてちょっと心が温かくなりますよね。

という事で、昔ながらの伝統芸能が持つエンターテインメント性のエネルギーは凄かった!!

そして、目の前で見る野村萬斎さんは、想像以上に素敵だった!!

特に変化が激しいこのご時世、「変わらない」ものに目を向ける事の重要性も、とても感じました。

後から調べると、野村萬斎さんも今やYouTubeをされていたり、歌舞伎なんかも、オンラインでも上映されているようですね。良い時代になりました。

こんな素晴らしいものがある日本、それがこれからも長く続くよう、私も一助となれれば、、、なんて。笑 これでも結構本気です。

そして、25歳でこんな経験、誘って下さった方に感謝ですね。感性が益々、磨かれました。



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