選べ。そなたは美しい【一話】

「センスのある人間に、なりたい」

のすけは渇望した。きっかけは自分の部屋だった。
心機一転したくて部屋を片付けている時のこと。
片付けても片付けてもなんだか纏まらない。
YouTubeや雑誌越しに見るおしゃれな部屋にはならない…。

店内でときめいたもので溢れているのに。
アイテムは我ながら素敵な物をたくさん持っている。
だが、自分の部屋に持ち帰るとその魅力が半減しているようにも感じる。

バカモーン。せっかく買ったのに。こんなのサゲ○ン部屋ではないか。
ぷんぷん。これはいかんぞ!!アゲてこ、アゲてこ〜↑↑☆

様々なインテリアコーディネータの人のアカウントを見ていく。
ぱっと見の印象から、コーディネーターさんの発する言葉。
そこにある真実はいつも一つ!

「コンセプト作り」

既視感。既聴感。私はこの言葉を既に知っている。

動画をバズらせる基礎も。
コーディネートのコツも。
ブランディングも。

出だしの⓵はいつもコンセプト作り。

はいはいそうですか。
やはりここからは逃れられないのですね。

「コンセプト作り」
私はこの言葉を聞くとうっすら絶望する。

なんせ私はいっっっぱいのものが好きだからだ。
音楽、お芝居、アート、エトセトラ。
さらに細分化しても、
例えばヒップホップ・ロック・ヒーリングミュージックなど。
大小はあれど好きなものが多すぎる。

そんなの、選べないよどらえもーん
助けてぇええええ
そうだ。私の隣にはドラえもんなどいなかったのだ…
脳死。チーン。
【完】

そんな日は珍しくない。

なぁ。ただ好きなものに囲まれているだけではダメなのかい。
ダメではないよ。でも、ごちゃごちゃしているね。のすけくん。
なんか色々なことを詰め込んでさ、変幻自在ってのはどうだい。
ダメではないよ。でも、なんかパッとしないよね。
だって君、自在に操れてないからねぇ。のすけくん。

うっすら絶望の中、声が聞こえる。
おい、のす太!コンセプト決めよーぜ!

私は、腹を括るのであった。





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