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『世界を変える日に』


16歳の少女ジェシーの一人語りでなかなか辛い読書だった。

 妊娠すると母親が死んでしまう感染症に全人類の女性が感染した近未来。子どもが生まれなくなった世界で主人公ジェシーは人類最後の世代。
16歳という自ら考え行動できるという自信を持ったときに、行動するなら何かの役に立ちたい、地球環境や人類を救いたいと思う。そんな究極の正論に頭が一杯になるときは誰にでもある。ただその夢は大人になるにつれて醒めていく。しかしこの小説世界では醒めるまでの時間を与えてくれない。人類絶滅の危機をジェシーが救うには出来るだけ若いほうがいいのだから。

 純真無垢な考えで突き進むジェシーと、「正論だけど間違っている」という大人の事情をうまく説明出来ない大人。
自ら考えて行動できた子どもを大人は成長として喜び褒める。
しかしその行動によって周囲に与える影響や変化に想像力が及ばなかったら?
10代で読むのと大人になってから読むのでは真逆の感想になりそう。
大人でジェシーに共感できたらその人とは距離を置きたいと思ってしまった。


世界を変える日に
ジェイン・ロジャーズ/著 佐田千織/訳
ハヤカワ文庫SF 972円
ISBN:978-4-15-011909-6

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