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『文化系のためのヒップホップ入門3』刊行記念トークイベント雑感

『文化系のためのヒップホップ入門3』刊行記念トークイベントを観にHMVBOOKS SHIBUYAに。(2020年2月3日)

 長谷川町蔵さん×大和田俊之さんとゲストにハーバード大学アフリカ系アメリカ研究科でアジア人初の博士号を取得した有光道生さんの3人。
話題の「文化の盗用」の話からドラマ『ウォッチメン』での実際にあったタルサ暴動への言及、映画『ホワイトボイス』での白人社会での黒人の処世術、そしてハリエット・タブマンなどリアルヒーローの再評価などアメリカにおけるマイノリティのカルチャーの受容についてなどとても面白かった。

文化の盗用ではケイティ・ペリーのunconditionally american music awardsのライブを例に、


東(南)アジアを一緒くたにしてしまうことについて、アメリカでマイノリティであるアジア系がメディアに登場することも少ない中で、稀に出てくるアジアのイメージが(しかもケイティ・ペリーで)こんないい加減なステレオタイプであることにアメリカに住むアジア系はがっかりし文化盗用として怒るのも無理もないという。
 しかし日本に住んでいれば自分たちの文化が日常で見られるので、このライブを見ても笑って「しょうがないなぁ」くらいで済んでしまう。
といったマイノリティの立場における文化的疎外感から文化の盗用までの話は今回話を聞いてとても腑に落ちたし、スーパーボールのハーフタイムはヒスパニック祭りになっていたことや、ビルボードで英語以外の言語がトップチャートを賑わすなど今のアメリカのショービジネスの現状を知ることができて良かった。

 また有光さんのアフリカ系アメリカ人の再建期が南北戦争後と公民権運動からオバマ就任までアメリカ史で二度あったこと、そして今三度目の再建期が訪れているのでは。という俯瞰した話も面白かった。

『ヒップホップ入門3』を読んでいて普段まったくヒップホップの知識がないので本書で登場する曲をYouTubeで聴きながら読んだのですが、チャイルディッシュ・ガンビーノの『This Is America 』のPVは凄かった。消費されるブラックカルチャーの後方で目を塞がれている暴力という現状を皮肉っている。凄い。

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文化系のためのヒップホップ入門 3
長谷川町蔵/著 大和田俊之/著
アルテスパブリッシング
1,980円 ISBN:978-4-86559-214-6

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