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「泣け!ミック」2022 rd.10 イギリスGP F1問わず語り #10(無料)

 F1の母国グランプリである。
 この国の住民はとにかく熱い。ぐるりとトラックを取り囲むようにしてスタンドが設けられ、40万人を超える観衆が詰めかける。

 2022年のこのグランプリは、ピットストラテジーをめぐって論争を呼ぶ結果となった。論争のもととなったチームは、もちろんあのチームである。

予選

・水を得たマックス

 濡れた路面を走らせたら右に出る者のいない男マックス。Q1から生き生きとトラックを駆け巡る。

・うれしい出来事①

 Q2は、路面が悪化していく生憎のコンディションとなった。そこでうれしい出来事が起こる。

 初代ウォールの似合う男、ラティフィのQ3進出だ。ポイント獲得よりも難しい偉業を成し遂げた。
 Q2中盤でまずまずのタイムを記録したラティフィは天候を味方につけ、トップ10圏内でQ2が終了。おめでとう!

・初ポール獲得

 フェルスタッペンの独壇場と思われた予選。だが、ポールポジションを獲得したのは、最後にベストラップを記録したサインツだった。

 F1通算104人目のポールシッターとなる。
 後から振り返れば、この予選が勝負を分けた。

決勝

・うれしくない出来事

 決勝のスタート直後、大クラッシュが発生する。
 マシンが浮いてしまい、グラベルも勢いをとどめる術なく、裏返しになった周のマシンが、タイヤバリアに飛んでいく。最悪の事態も想像される激しいクラッシュに、ラッセルがマシンを降りて、周のマシンのもとへ駆けていく。
 リプレイが再生されないまま時間だけが過ぎていく。やがてアルファロメオチームのツイートにより、周の意識があることが知らされ、自然と拍手が湧きおこった。

 良かった。
 リプレイを見ると、周のマシンはタイヤバリアを超え、観客席の前のフェンスに当たって止まった。浮きながら反対向きになってフロア側からフェンスに当たったことで、衝撃が吸収され、奇跡的に大事に至らなかった。あまりに衝撃的なリプレイ映像であり、無事が確認される前に再生しなかった判断は正しかった。

最新情報:クラッシュ後、メディカルセンターにて周はチェックを受けた。大怪我はなし。現在も、メディカルセンターで確認中だ。

・存在感を見せたハミルトン

 見違えるようなハミルトンの走り。滑らかでスムーズ、タイヤも力強く見事なペースで先行するフェラーリの2台を追い詰めていく。

・レースが大きく動く

 39週目、レースが大きく動く。いや、結果論的に言えば勝負が決まる。
 オコンのトラブルによりセーフティカー。この機に先頭のルクレールを残し、サインツとハミルトンがピットイン。作業にミスが無ければフリーピットストップとなるタイミングだ。
 フェラーリは、2台が近い位置を走行していたためダブルストップをするならハミルトンに一つポジションを譲ることになる。それを嫌ったフェラーリはダブルストップを回避し、サインツだけをピットに入れた。
 チャンピオンシップを争っているルクレールをなぜ優先しなかったのか議論となっている。当然だろう。ジャン・トッドとロス・ブラウンであれば同じ判断をしただろうか。考えるまでもない。
 しかし私が思うに、「サインツに勝たせたかった」のだろう。速さではルクレールにやや劣るものの、ひたむき(想像)であり、真面目(想像)で、アロンソに憧れ(事実)ながらも、F1デビュー後に知ったアロンソのあまりに政治的なやり方に幻滅し(想像)、遂に優勝を狙えるマシンを手に入れ、トップチェッカーのチャンスが訪れた。そして何より、彼はポールシッターである。間違っているのだろうか。

 レース再開後、タイヤに苦しむルクレールは予想通りポジションを落としていく。期待されたハミルトンも、ソフトタイヤをうまく活かせない。ここで存在感を表したのは、トラブルで一時最後尾にポジションを落としていたペレスである。

 今シーズン屈指の名勝負を演じ、ペレスが2位にポジションを上げる。

・初優勝

 予選はやっぱり大切だ。いくらチーム内優先度の低さを嘆いても、予選で後塵を拝せば、だれも相手にしない。サインツは見事、自らの手で優勝をものにした。

・うれしい出来事②

 この笑顔を待っていた。

 バクーからいい流れを得ていたミック。しかしながら、なかなか流れを生かせないでいたミックが、ついにトップ10フィニッシュを果たした。

 よくやったよ。今が泣く時だ。


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