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「強さと弱さ」2022 rd.13 ハンガリーGP F1問わず語り #13

勝ちに不思議の勝ちあり
負けに不思議の負けなし

 とはよく言ったものだ。出典は、ノムさんですけど。
 遅くては勝てないのがF1であり、同時に速いだけでも勝てないのがF1だ。

 毎年、楽しみなGPがある。鈴鹿は別として、モナコ、スパ、モンツァ、そして、ハンガロリンクだ。以前の私の認識では、ハンガロリンクはつまらないサーキットの代表格だった。
 トラックの幅は狭く、ツイスティでオーバーテイクがなかなかできない。サーキットも比較的地味で、華に欠ける。

私が間違っていました。

 でも、気づいた。これほど抜きにくいサーキットが、毎年必ず面白いレースの舞台になるのだ。
 チャンピオンシップの争いがつまらない年もある。一チームが圧倒的な力を持っていて、チーム内の争いしか見どころがないような時だ。しかし、不思議とハンガリーGPは、ワクワクする目の離せない展開となる場合が多い。

 そのことに気づくと、いつしか楽しみなGPの仲間入りをしていて、そうなると、ヘアピンコーナーに挟まれたホームストレートも、彩色の施されていない地味な縁石も、コンパクトなレイアウトも、近くのウォータースライダーも、たまらなく好きになってくる。
 特に、最終コーナーを回り込んで、コントロールラインに向かっていくマシンの後ろ姿はたまらない。
 強い日差しに照らされるピットレーンに漂う夏休み直前のワクワク感が、テレビ桟敷まで伝わってくるかのようだ。

 今年も、楽しみなハンガリーGPが始まった。前段はこのあたりにして、予選と決勝を振り返ってみよう。

予選

・翻弄されたペレス

 Q2。ペレスのタイムがトラックリミット違反で抹消される。しかしほどなく、抹消取り消しになる。こんなことがあり得るのか。
 前戦に続いて、FIA側の不手際により影響を受けることになってしまった。しかし、逆境とはいえ自身の力で挽回できない状況に追い込まれたわけでは決してない。
 オープニングラップでの接触によるトラブルの多さ、ちょっとした逆境への対処の仕方を見る限り、まだチャンピオンにふさわしい強さは見られない。

・初めてのポールポジション

 Q3でまず速さを見せたのはサインツ。ルクレールを置き去りにするような見事なラップを披露する。彼の時々見せる速さが、チームの頭痛の種になってしまうのは何とも皮肉なことだ。
 最後のアタック、フェルスタッペンはパワーが出ず、アタックできない。ハミルトンにもトラブル。サインツも大きくタイムを伸ばせない中、ラッセルが会心のラップを見せ、見事初めてのポールシッターを確実にした。

 世代交代への並々ならぬ気迫が大きな果実を結ぶことになった。

決勝

・フェルスタッペン、快調

 昨日のトラブルが嘘のように、10番手スタートのフェルスタッペンが快調に飛ばしていく。

 まず、アロンソ。

 1コーナーの飛び込みでオコン。これで6番手。
 厄介なアルピーヌの曲者二人を序盤でスムーズにパスできたことで、優勝の目が出てきたのかもしれない。

・その頃、上位陣は

 ラッセル、サインツ、ルクレールがそれぞれピットイン。とくにサインツ車の素晴らしいピットストップにより、ルクレールが2番手にポジションを上げる。そして、ラッセルとルクレールのリーダー争いとなる。
 31週目。ルクレールが1コーナーアウトから見事なオーバーテイクを披露して、リーダーに踊りでる。

・勝負が分かれた

 注目すべきタイミングは、ハーフディスタンス走ったこのタイミングだろう。

 サインツがピットで暇つぶしをし、ルクレールがラッセルと競り合う感に快調に飛ばしていたフェルスタッペンがいつしか4番手に駆け上がって、サインツの真後ろまで来ている。
 ここでレッドブル陣営は、アンダーカットを選択。ルクレールとラッセルがすぐに反応し、ピットイン。

 ハードの選択はフェラーリの大誤算。ピット作業後、ルクレールはまったくペースを上げられず、フェラーリのピットウォールはまともなレースさえできない状況にルクレールを追い込んでしまった。

 当然こうなる。

 こんなことが起きても、

 こうなる。

 これほど、チームがドライバーの足を引っ張る姿、それもチャンピオン争いをしているドライバーの足を引っ張る姿を見せられるのは珍しいことだ。しかも哀しいのは、チームも優勝を目指しているにも関わらず、この判断をしてしまっていることだ。救いようがないといえばそれまでだが、ドライバーのポジションのみならず、観客のレースへの興味を失わせる結果となってしまう判断はいただけないだろう。弱すぎる。

 結果、こうなった。

・レース後半

 この後、フェルスタッペンは十分なマージンを得て、ペースをコントールしながらチェッカーへマシンを進めていく。
 そして、レース後半、充実した走りを見せた男がいる。ハミルトンだ。
 予選では、ラッセルに今季チーム初めてのポールポジションを譲ることになったが、終盤、全体比較しても頭一つ抜けたペースでマシンを駆っていき、ファステストラップも獲得。ハミルトンの表情に充実感が戻ってきた。
 結果は以下の通り。

 フェラーリには、猛省を挽回を強く求める。夏休み中に「野村ノート」読んでおくように。あとアルファタウリとユウキもな。


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