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  • かくまる倉庫 #ラーメンズ関連批評

    過去に書いた、ラーメンズ関連の批評をまとめています。

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ラーメンズ『TEXT』における「銀河鉄道の夜のような夜」に関するいくつかの考察

まえがき この文章は、ラーメンズの公演『TEXT』を、とりわけ、「銀河鉄道の夜のような夜」に関する考察をするためのものです。 「考察」ではあるために、「銀河鉄道の夜のような夜」を賛美するためのもの、ではありません。 むしろ、筆者が、どのようにこのコントを理解しているか、ということや、 このコントにおけるいくつかの考察点を提示するもの、と思っていただければ、幸いです。 また、コント自体はもちろんのこと、宮沢賢治の『銀河鉄道の夜』のネタバレも含みます。 どのくらいの方々が、こ

    • 理不尽、論理、論破、教育

      ぼくは、理不尽が嫌いだ。 「理不尽」 それは理を尽くしていない、ということ。 理屈がない、理論がないと言ったっていい。 それが横行してしまうこと、それを押し付けられること。 昔から、そういう「理不尽」で嫌な思いをしてきた。 …まあ、理不尽を押し付けられてよい思いをした、という人は稀だろうけど。 さて、巷では「はい論破!」であるとか、「それってあなたの感想ですよね?」というような、いわゆる「ひろゆき」的な言行、あるいは「マウントをとる」ということが流行っているという。 こ

      • 危険な脱稿シャワー

        はじめに 原稿を書き終えて、依頼元に送信する。一息ついて、シャワーを浴びる。 これ、ぼくにとっては危険な行為だと、さきほど気づきました。せっかくなので、そのことについて書いてみることにします。 脱稿とは何か 「脱稿」とは、原稿を書き終えた状態を指します。ぼくの場合は、依頼先に原稿を送信し終わったら、脱稿だー、というかんじになります。中には、書き終えたら脱稿、という人もいるとは思います。このあたりは個人の感覚の違いでしょう。 そして、脱稿というのは一つの区切りです。その原稿

        • TOWER of End

          0.あとがきのような前書きこの文章には、決別の意味がある。 ラーメンズのコントについて、真剣に考えて書くのは、おそらくこれが最後になるだろう。だってもう、新作もないだろうし。 『TOWER』について、考えたのは何度もある。 だけれど、考えて出した結論にはいつもどこか若干の気遣いがあった。 目の前の読者を悲しませたいと思って書くわけではないから、なるべく読んだ人が少しでも、気休めでも、ハッピーな気持ちになってほしい、と考えていた。ただし、この文章では、そうした迎合は一切ない、

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          15本

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          「学歴」ってなあに――それは「学歴」じゃなくて「学閥」

          今日はちょっと気になることがあったので、「学歴」について書いてみようと思います。 みなさま、「学歴」って言うとどんなことを思い浮かべますか?どんな時に、この単語をつかいますか? たとえば、こんな感じでしょうか。 「学歴は?」 「○○大学です」 「わー、すごーい、高学歴〜!」 とか 同じように、 「XX大学です、Fランです」 みたいな。 ぼくからすると、こういう会話は、違和感をおぼえるものなのです。 それは、「学歴で人を判断するなんて!」ということとは、少し違います。

          「学歴」ってなあに――それは「学歴」じゃなくて「学閥」

          彼岸の『鯨』

            「公演」には山がある。  いや、鯨なのだからそこは海だろうと思われるかもしれないが、どちらかと言えば山。波でもいいのだけれど、山の方が説明しやすい。  それは、音楽でいえば「サビ」のようなもので、主調やメッセージ性の強いもの、または一番笑えるもの、だったりするかもしれない。  文章や論文だったら、最初に主張をどーん!と言って頂上から下るようにしていくのか、それとも、一番下から出発して、頂上を目指すのか。  だいたい、そんな二つのパターンが多いが、本来はどんな山登りの仕

          彼岸の『鯨』

          『椿』はオちる

           「ああ、ついに椿がきてしまった」  それは春の訪れでもなくて、公演『椿』を再度書く機会がきてしまった、という、ある種の気の進まなさ。  筆者は、すでに一度、『椿』については書いている。  どれほどの人が、その論考というか、批評を見ているかはわからないけれど、読みたい方はこちらからどうぞ。 (『椿』──開閉の連結 」 https://note.com/kakumaru6/n/nd48d4d5d1a2a )  ざっくりと、前に書いたものの内容を説明すると、公演『椿』は、「時

          『椿』はオちる

          新しくもない『news』

          「私の言葉が見えますか」 文章で書いてしまうと、なんともあっけない。 なんといっても、この文章は、まさしく、視覚的に見えていなければ、おかしいから。 しかし、嘘をついたとしても、たぶん、ばれない。 だけれど、そんなことをしてもしょうがない。 『news』について、見えない言葉で考えたものを見える言葉として、書いていくことにしよう。書くことを前提にした名前でもある、かくまる(@kakumarux)として。 コント、「私の言葉が見えますか」は、簡単に言ってしまえば、「マウン

          新しくもない『news』

          『FLAT』な道

          『FLAT』。 しかしそれはどういう道か。 あえていうなら、それは不気味なる道。 『FLAT』のはじめ、それは「初男」というコント、ではない。 映像としてのはじまりは、むしろ片桐仁の一人舞台。 奇妙な格好で、様々な表情のもと、彼は舞台照明に照らされていく。 その時は、笑いというよりもむしろ、観客席からは、悲鳴のほうが目立つ。 それは、片桐の造形に対してであり、髭面の、変顔の、得体の知れない格好に対しての、素直な反応と言える。 すなわち、「不気味なもの」としての片桐仁という存

          『FLAT』な道

          サブカルチャーとしての『home』

          ラーメンズ、第五回公演『home』。 これは、DVDや脚本の書籍として、公になってるもののなかで、もっとも初期のもの。 2000年になされたこの公演は、正直言って、表層的には、ずば抜けた作品ではない。 セットが高いわけでもなければ 映像としてのカッティングが素晴らしいわけでもない。 なんなら、演者の技術が素晴らしいわけでもない。 両者ともに、素人くささが目立つし、 どことなく「学園祭」の延長のような雰囲気すらある。 小林が、途中、噛んでしまうさいも、それをごまかす術は、うま

          サブカルチャーとしての『home』

          すきなことはなしたらいいのに

           なにをもって「ノロケ話」とするのだろう。少なくとも、目の前で好きな人のことを話しているこの人には、おそらくノロケている自覚はない。きっと恋愛相談のつもりでいる。内容は、好きな人がいるけれど、その人にはまた別の好きな人が、というありきたりな話だ。それでも聞かされる側にしたら、たまったものではない。ほかの話題にうつったところで、その根底には好きな子の影があるのがよくわかる。この場に実在はしていなくても、その子はずっと二人の間にいる。   恋愛が得意ではない私に、なぜこんな話をす

          すきなことはなしたらいいのに

          『エヴァンゲリヲン新劇場版:Q』の疑問は解決したのか:将棋を「打つ」という表現をめぐって

          『エヴァンゲリヲン新劇場版:Q』(以下『Q』)における、最大の疑問。 それは、冬月コウゾウが発した、「将棋を打つ」という表現である。 詳細は省くが、ともかく、『Q』において冬月は将棋を「打つ」という表現をした。 いや、将棋は本来「指す」ものである。 他にも疑問点は色々あるだろうが、筆者にとって一番引っかかったのはココである。 こういうことを書くと、「日本語警察」のように思われるかもしれない。 たしかに、そうした一面は否定しない。 しかし、ぼくは仮にこの発言をした人物が、碇

          『エヴァンゲリヲン新劇場版:Q』の疑問は解決したのか:将棋を「打つ」という表現をめぐって

          パワプロ栄冠ナイン3年縛りwith藤浪 攻略

          0.はじめに 配信者の加藤純一氏がやっているプレイが面白かったため、春夏連覇含めて過去数十回ほどクリアしています。今回も楽しく視聴させていただきました。 さて、藤浪選手はアップデートでかなり強化されましたので、かなりチャンスが上がっていると思います。(星188の時代はかなりきつかった) リベンジの機会を願って、攻略を少し書いていきます。 ちなみにアップデート後はだいたい8割くらいで優勝できています。 1.厳選について 右投げの天才がいればOKですが、できれば初期で星

          パワプロ栄冠ナイン3年縛りwith藤浪 攻略

          『TOWER』から「カジャラ」へ

          『TOWER』について考えるのは、何回目だろう。 前回の「ラのつくイラスト発表会」でも『TOWER』については、かなり重厚な論考を書いている。 その論考も、過去に書いたものを、まとめたり、加筆したりしている。 ゆえに、過去の論考は、共通性があって、同じような観点から書かれている。 今、読み返してみると、なかなかに面倒なことを、面倒な文体で書いているなあ、とも思う。 もちろん、過去に書いたものは「間違った」論考ではない。 ただ、今回はちょっと違った視点を出してみたい。 も

          『TOWER』から「カジャラ」へ

          しだれ柳

          しだれ柳

          KAJALLA#1『大人たるもの』についての書き物

          1.はじめに ラのつくイラスト発表会  第15回特別テーマ 「KAJALLA#1 大人たるもの」について、ですが。 今回、「ラのつくイラスト発表会は一度お休みをいただきます」とのことでしたので、 はじめに、謝辞を述べさせてください。 これまで、このような発表の場所を提供し続けてくれたこと、 僕のようなイラストを描けない人間に対しても、 「批評/文章」も作品の一部として取り扱っていただいたこと、 まことにありがとうございました。 このような機会と場所があったから、書いて

          KAJALLA#1『大人たるもの』についての書き物