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コロナ禍で結婚式を挙げた話

2020年、新型コロナの影響でブライダル業界が大打撃を受けている。老若男女多くの人が集まり、飲食と歓談を楽しむ結婚式。たくさんのカップルが、感染のリスクを考えて、延期や中止を選んでいる。その数は17万組を超えるらしい。

そんな中でわたしたちは結婚式を実施した。挙げられなかったエピソードはSNSで多く見かけるが、挙げた人のエピソードもあっていいのではないかと思い、このnoteを書くことにした。当日来場するゲストにどう安心を提供するか、どうしても会場に来られないゲストをどう巻き込むかという二つの面で、工夫した点を記載する。

参列者にどうやって安心してもらうか

①高齢者と若者を分ける:親族向け挙式と友人向け披露宴を別日開催する
②開催規模を縮小する:会場キャパシティに対して招待客を減らす
③出欠を複数回確認する:キャンセルしやすい状況を作る

①高齢者と若者を分ける

1年前に式場を探しはじめた時点で、親族のみの挙式と友人向けのお披露目パーティーを別日で行うことを決めていた。「親族に成長した姿を見せて安心してもらう」「友人たちとカジュアルに交流して楽しく過ごす」というふたつの目的を果たすにあたって、催しそのものを分けたほうが、それぞれのゲストにふさわしい場にできると考えたためだ。

この判断が、結婚式決行という決断を後押しすることになった。感染した場合に重症化リスクの高い人たち(=親族たち)と、外出頻度が高く他人に感染させてしまうリスクの高い人たち(=同年代の友人たち)を混ぜないことが、結果的にコロナ対策となったのだ。事実、コロナ禍でソーシャルディスタンスを確保するために2部制ウェディングが増えているらしい。

②開催規模を縮小する

少しでもソーシャルディスタンスを確保するために、式場側からの提案で、参加者数を会場キャパシティの2/3程度に抑えることにした。

コスト目線で言えば、衣装や会場などの固定費の償却母数が少なくなると、自己負担が多くなる。しかし当日ひとりひとりとの交流の時間を、少しでも長く確保できるメリットもあった。

③出欠を複数回確認する

コロナ流行の状況が刻々と変化していたため、一度参列する意思を表明してくれた人でもあとで不安を感じることもある。そのため結婚式用に作成していたLINE公式アカウントにて、複数回の出欠確認を行った。「対策はできる範囲でしっかりやる」「少しでも不安だったら無理して参列しなくてよいし、それを申し訳ないと思わなくてよい」ことを丁寧に伝えるようにした。

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会場に来られない人をどうやって巻き込むか

①準備を手伝ってもらう:会場に持込むアイテムの作成・手配を依頼する
②Zoomで参加してもらう:式のコンテンツとして組み入れる
③ホログラムで参加してもらう:席で投影する

①準備を手伝ってもらう

・ペーパーアイテムの作成
体調面で不安があり当日会場に来られない友人から「何か手伝いたい」とありがたい申し出があり、デザインができる方だったので、席次表の作成をお願いさせてもらった。

デザインに加え、入稿までのスケジューリングや式場に確認しなければならないことの洗い出しなど、プロジェクトマネジメントも含めてお任せできてとても頼りになった。業者に頼むよりも自由度が高く、仕上がりもめちゃ素敵で最高だった。

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・ソフトドリンクの手配
安曇野在住のグルメな友人には、ご当地の美味しいジュースの手配をお願いした。飲食物の持込が可能な会場だったので、当日のドリンクとして振舞った。アルコールに比べてソフトドリンクの選択肢は限られがちなので、お酒が飲めないゲストへのおもてなしとして喜ばれた。

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・引出物の手配
瀬戸内海の島在住の友人には、引出物として海苔の手配をお願いした。ちなみにこの海苔、本当に美味しいので、自分たちにも10個くらい別で手配した。

②Zoomで参加してもらう

海外や遠方に住んでいてどうしても来られない友人の一部に、Zoomで参加してもらった。式中のコンテンツとして、司会者から画面の向こうの友人たちへ、新郎新婦との関係やエピソードについてインタビューしてもらう時間を設けた。

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やってみてわかったZoom参列のポイントは2つある。

一つめは間延びさせないこと。当日は新郎新婦10分ずつの尺で、それぞれ3名に参加してもらった。本当はもっとたくさん参加してもらいたい人はいたのだが、会場側の参加者が途中で飽きたり、置いてきぼりになってしまう可能性が高く、司会者やプランナーのアドバイスをふまえて絞り込んだ。遠方の友人向けに、式をずっと生配信することも考えたが、それはそれで歓談中などはずっと視聴者が放置される形になってしまう。

もう一つは、音響面の確認をしっかり行うこと。「新郎新婦がマイクで話した音声を会場に聴かせつつ、Zoom接続先の友人にも伝え、さらにPCスピーカーから出る友人の声を会場に聴かせ、ハウリングはさせない」というのが結構ややこしい。事前に音響の方と打合せして、入力と出力を分けるPC接続用の端子を用意した。

当日のリハーサルも入念に行った。

▼新婦のヘアメイク中に通信と音響の確認リハをする新郎

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③ホログラムで参加してもらう

そのままこの記事を読んでもらえればと思うが、エンタメライターの友人が、共通の友人をホログラムで参列させるために動画・スクリーン・台座を作ってくれた。コンテンツとして面白く、他の参列者にもウケた。

おわりに

自分たちの結婚式でクラスターが発生したらと思うと怖かったし、開催することが正しいのかわからなかった。やると決めたあとも、自分たちが直前に感染したり濃厚接触者となり、高額のキャンセル料を払うリスクに怯え続けた。100%楽しみな気持ちで当日を迎えられないことも悲しかった。

結果的に、無事に当日を迎えられ、参列者から感染は出なかった。大切な友人の一部に参列してもらえなかったのは心残りだけど、延期や中止にしたカップルの心情を思うと本当にやりきれないし、自分たちはたまたま運が良かったと思う。

2020年に結婚式を挙げたということ自体、堂々と話すことがはばかられる。それでも心から「挙げてよかった」と思うので、この記録がいま迷っている人の検討の一助になればと思う。

▼式場選びのためにブライダル業界を分析したり、出欠確認やご祝儀支払いをDXした話もよかったら読んでください


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