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豪快さも、細やかさも、サービスする人。/ Osteria Kido 城戸 和宏さん【前編】

食事もお酒もあってわいわいできる店を

Osteria Kidoオステリア キドの、城戸 和宏キド カズヒロです。「オステリア」って イタリアの居酒屋みたいなお店を指すんですけど、食事もできてお酒も飲めてわいわいしてる店をずっとやりたかったんでそう付けました。で、名前入れちゃったら絶対失敗できないぞっていうプレッシャーを自分にかけるためそのまま名前を「キド」と。

飲食店をやっているのは、うちの両親がずっと飲食なんでそれ見てたから自分もっていうのもあるかもしれません。親は今も泉町でふぐ捌いたりする居酒屋割烹やってます。あとは高校生のとき洋食屋さんでバイトしてて、なんかいいなって思ってたのもちょっと影響してるかな。僕、工業高校に行ったから卒業後は工場で働く予定だったんだけど、就職前に先生に「やっぱり飲食業界で働きたい」って言って急遽進路変更をして。

中華、創作イタリアン、イタリアン専門店、また別の創作イタリアン…と経験を積みながら渡り歩いたあと、お酒の知識もつけておきたくて宇都宮市街地のダイニングバーへ。そこで料理とお酒の勉強をさせてもらって7年になる頃にコロナの流行が始まって、お客さんの動きが止まった。そんなとき宇都宮の駅東にあるOsteria Anjoオステリア アンジョウのオーナー安生さんに声をかけてもらいまして。それが自分が38歳の頃だったんだけど、40になったら自分の店を出したいって考えてたからそう安生さんにお伝えした。そしたら「それでもいいから来てほしい」って言ってもらえて。それでOsteria Anjoで働いてるうちにこのカクイチビルの空き物件が見つかって、2023年10月にこの店をオープンしました。

カクイチビル最上階にあります

ちょうどいい年齢で店を持てたから、学校行事にも行ける

ーーー40って城戸さんにとって何かの節目だったんですか?

昔はもっと若いうちに自分の店を持ちたいって思ってたんです。けど30のときに雇われの立場で店の立ち上げからやらせてもらう経験をしたら、今やっても絶対失敗すると痛感して。スタッフとのコミュニケーションが思うようにいかなかったりとか、売上が良くないとイライラしちゃったりとか、自分の経験不足だったんだと思う。あとはもう40にもなれば自分が遊びたいとかそういうのも落ち着くだろう、やりたいことは仕事と子どものことぐらいに絞れてるだろう、って想像もしてて、笑。そういう気持ち的な余裕もできたし、結果的に良かったです、今の歳で店を持てて。

営業日にバックヤードにうちの子が来てることもあります。好きなショートパスタがあるんですけど、それで何か作ってくれとか一丁前に言ってきますね、笑。学校でもみんなに「うちはお店やってるんだ」って言ってるんですよ。友だちとか先生とかにショップカード配って宣伝してくれてるみたい、笑。親としては嬉しいですね。家が店やってるって自分はなんか恥ずかしくて嫌だったんですよね、子どもの頃は。授業参観とか運動会も来られないし、夏休みとかも親は店があるからどこも連れてってもらえなかったし。だから僕はそうしたくないと思って、日曜日に休みを取ったりなるべく学校行事も出たりするようにしてます。

奥さまもお店に立つ日には 娘さんも来ていたり

豪快さが好きでイタリアンの道へ

―――いろんなジャンルを経てイタリアンの道に進んだのはどうして?

ちょうどそういう時代だったというのもあると思うんだけど、最初に働いた創作イタリアンの店の活気に憧れたからかなぁ。それで創作イタリアンをやり始めたんだけど、やってくうちに正統派のイタリアンに興味が移っていった。そもそもイタリアンの豪快さがすごく好きなんです。骨付きのお肉ドーンとか、食堂で大皿料理をみんなでシェアして、お酒を一緒に飲んで、わいわい楽しんで、みたいな。だから逆に自分はフレンチみたいな繊細な料理は作れないです、笑。

お肉どーん!

量に関しても、お腹いっぱいでちょっと残しちゃうっていうぐらいがいい。今はフードロスとかっていう視点で難しいところもあるんだけど、嫌いだから残すんじゃなくて、お腹いっぱいでちょっと残しちゃうぐらいはいいじゃない、って思ってて。もう苦しいっていうぐらい食べたいし食べてもらいたいので、そのぐらいを狙って出してます、笑。初めましてのお客さんにはできないけど、何度か来てくれるお客さんには「前回どうだったかな…?」って思い出しながら量の調整したりね。

大皿でたっぷり召し上がれ!

余談だけど、好きな味とか、嫌いな食材とか、食べる癖とか、ちょっと多かったかなとか、そのときに交わした会話と組み合わせてだいたい記憶してます。そうやってだんだんお客さんのことがわかってくると「あの人にはこれを出したら喜んでくれるかな?」とか浮かんでくる。新しいお客さんが常連さんになってくれるとやっぱり嬉しいですね。全く知らない人だったのに、それから月に何度もそれを毎月来続けてくれる方とかもいるんですよ。飽きずに来てくれるっていうのが本当にありがたいなぁ、と。うちの店ってそんな告知してないんで、新しいお客さんがどうやって知って来てくれるのか実はよくわかんないんですけど、笑。

【後編】へ 続く。


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