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【プラダを着た悪魔】就活生からみた社会人一年目、理不尽を着飾り理想の姿へ

 「私はここで働きたくて働いているわけではない」「こんなところはすぐにやめる」彼氏との生活のために大学院進学を捨てて社会へ。「ミランダの元で1年間働いたらどの出版社でも通用する」その言葉を信じた主人公は理不尽な待遇、仕事内容、扱いを受け続ける…。激務の中で社会人として成長する主人公は誰もが憧れる存在へと変貌していく。

※この投稿にはプラダを着た悪魔のネタバレを含みます。

 見終わった時の感想は「ん?誰がどうなろうとしてて最終的にどうなっちゃったんだ??」というストーリーの大ドンデン返し。そして主人公を中心に見ていたら理不尽な上司からようやく念願叶って認められたにも関わらず彼氏との生活を取るという、見ようによってはチープなラブストーリー的なエンディング。見終わった直後はなんだこの映画と感じた部分も十二分にありました。

 しかし最初は社会人を舐めていた主人公が最終的には誰もが憧れる「ファッション雑誌『ランウェイ』の編集長ミランダ」の右腕にまで成長していくストーリー、それはまさに劇的であり社会に揉まれる様は現在絶賛就活中の私にとって印象的であった。今回は社会人一年目の主人公の成長譚として物語を就活生視点で見ていきたい。

 映画冒頭主人公は物語の出版社に行きたいにも関わらずそこでは評価を受けられない、だからミランダの元で一年間働くことでどの出版社でも入ることが出来るフリーパスを獲得するためにランウェイ社に入社する、そのように言っていた。これは就活の手段として往々にあることなのだろう、自分が入りたい企業という訳ではないが将来的なキャリアアップを見据えたらここに入ろう、という就活方法。私たちの日常生活でも転職の広告は至るところで目にするし、アメリカは日本以上に能力主義で新卒よりも即戦力という風潮が強いという話も聞く。

 実際に映画の主人公も入社直後に大した研修もなくいきなり激務が始まっていた。否、激務ということすら生ぬるい理不尽の嵐が吹き荒れた。入った企業では上司が何を言っているのかもわからず、先輩からの指示すら理解が出来ない、そしてそれを説明してくれる人がいない。これは今までマニュアルに則ってアルバイトを行ってきた私にとって本当に恐ろしい光景であった。しかしそんなことが現実にないと言えるだろうか?私は社会に出たことがないためなんとも言えない、未知である。故に断言できる、現実にあんな惨状がないとは言い切れない。

 だからこそ学ぶことは多い、主人公は全ての理不尽に適応して対応した。きっかけは上司のおじさんからの言葉だっただろう。「君は何もやっていない、君は何もせずに不満を言っているだけだ。」事実、主人公は何もしていなかった、その上ファッション業界を舐めていた、働くことを舐めていた、電話を取ってコーヒーを出すだけだと舐めていた。社会人一年目が社会に出た時に社会を舐めくさる、そんなことは多々あるだろう。特にキャリアアップが前提であれば尚更なように思う。しかしここから学ぶ教訓としては入社した後も企業を舐めてはいけないということはもちろんとして、入社後に自分の仕事以上のことも会社の仕事について知るということが大事なのだと感じた。

 そして理不尽を耐え続けた主人公は変わった、変わり続けた。着る服が一級品へと変わった、一緒にいる人が一流に変わった、仕事のこなし方が慌ただしくも完璧に変わった。そしてミランダから悪意満載で恥をかかせて首にしてやろうという仕事すら乗り越えた。しかしあれはあの場で乗り越えたわけではなく、今までの完璧な仕事の積み重ねの末に達成し得たものだったのだろう。学ぶべきはデカい仕事成すには普段の仕事の積み重ねなのだということであろう。

 最後の場面としては主人公が出版社に1年持たずにミランダの元を辞めたにも関わらず高い評価を経た。これにはミランダの助言というのもあるのだろう。ミランダにとって主人公は「能力が高く、仕事を一番に優先して、人を蹴落として誰もが憧れるファッション業界で誰もが憧れる存在へとなれる逸材」であったという評価があったのだろう。しかし仕事以上に彼氏、というよりも家庭を優先した主人公の邪魔をしまい、という思いもあったのだろう。それはミランダは選ばなかった道であり、ミランダには選べなかった道だったということもあるのであろう。

 最後は主人公は当初の理想を叶えた、「ミランダの元で修行して出版社に入って彼氏と共に過ごす。」ファッション業界が大衆の憧れの象徴であるとするのであれば、自分の理想は大衆が望む姿ではなく自分で決めるという映画を通してのメッセージだったのだろう。そして理想の実現には様々な理不尽を乗り越えなけれ場いけない、そして社会には理不尽が多くあるということもあるのだろう。私もバイト先の店長に「やりたいこと出来るとこ入らなかったら社会は理不尽ってことを知るだけ」と言われたことを何となく思い出した。

 私は社会を知らない、というよりも社会人になったことがない。だからこそこの映画の主人公は社会人デビューのシミュレーションとして映った、そして学ぶべき教訓があるように感じた。しかしどうだろう、社会とは理不尽なのであろうか?私は映画をもう一度見る、それは就活を終えて社会に出た後になるだろう、今度は主人公と同じ目線でこの映画を見てみたいと思う。

 

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