「プロダクトマネージャーのしごと 第2版」要約・読書メモ 前編
こんにちは。
本日はこちらの一冊をご紹介させてください。
最近読んだプロダクトマネジメント関連の書籍では一番のお気にいりです。
よくあるフレームワークやベストプラクティス集ということではなく、まさに組織のプロダクトマネジメントで直面する「厄介な」現実を表現しつつ、それに奔走するプロダクトマネージャを鼓舞するような内容で、みなさまにも強くおすすめしたい一冊です。
ここでは、全16章からなる本誌のうち、前編1章〜5章までの簡単なサマリと私自身の考察も踏まえて共有させていただきます。
第1章 プロダクトマネジメントの実践
要約
必読のポイントと考察
不安に苛まれると悪いプロダクトマネージャーになる
プロダクトマネージャーの役割は、たくさんの人が憧れる 「愛されるプロダクトをつくる」 ということよりも、それと離れた役割であるファシリテーションや支援の仕事の方が多く、役割も多種多様で価値も見えにくい。
そんな現実から不安に苛まれてしまうと ”悪いプロダクトマネージャー” になってしまう。
優れたプロダクトマネージャーのプロフィールは1つに当てはまらないが、悪いプロダクトマネージャーはほぼどんな組織でもみかける。
考察
私もプロダクトマネジメントの役割の曖昧さや、価値が見えにくいことで不安に感じることは幾度もありました。
「プロダクトマネジメントとは何か」
が多くの書籍や記事で語られるのは、ある意味でそれが多様であり、画一的ではないこと、そしてそれを明確にしたいという不安があることが背景にあるのかもしれません。
組織としてもパフォーマンス・スキルを評価・管理しようとするとどうしてもタスクベースでの役割を定義したくなることもあります。その取り組み自体は必要な流れではありますが、本質的には曖昧性が残り、むしろ曖昧性をもったまま状況に応じてその役割を変えられることがプロダクトマネジメントに求められることなのではないでしょうか。
第2章 プロダクトマネジメントのCOREスキル
要約
良いコミュニケーションとはイケてる言葉や印象的な発言ではない
コミュニケーションスキルはプロダクトマネージャーの最も大切なスキルである。
「心地よさよりも明確さ」
を行動指針に自分自身とチームの透明性を高めるために心地の悪い会話をこなさなければならない。
考察
プロダクトマネジメントのCOREスキルはソフトスキルに対する比重が大きいものです。
関係者の連携を促進し、調整を行っていく上では齟齬を生み出す要因となるような曖昧な点に敏感になり、
いき過ぎた省略、歪曲、または一般化を防ぎ、ときには都合の悪い実態を明確することが必要になります。
私も「念の為の確認」を関係者の前であえて行いますが、これを防ぐための振る舞いでもあります。
そして、実際の課題や問題が明確になるということはある種の心地悪さを孕んでいるということは想像に難くありません。
第3章 好奇心をあらわにする
要約
必読のポイントと考察
「なぜ」を使わずに理由を尋ねる
本来「なぜ」を常に理解するのがプロダクトマネージャーの仕事である。
ただ、「なぜ」と尋ねることは、脊髄反射的に不安な気持ちや守りの姿勢を引き起こすきっかけともなる。
代わりに
「やり方を見せてもらえますか?」
「いい感じですね。チームがどうやってそのアイディアを思いついたのか教えてくれますか?」
というように尋ねるようにするとよい。
こうすると、 質問された側が、真摯に余裕をもって回答を考えることができるようになる。
考察
根拠や理由、目的を明確にすることは何事においても重要です。
「Whyから始める」
ということは、プロダクトマネジメントでも基本のセオリーであり私も常にこれを明確にしようと努めています。
ただ、本書で述べられているようにこの問いによって防御的な反応を引き起こしてしまったり、私自身がそのような感情を抱いたりということも実際に多くありました。
核心に触れる問いである以上、回答者が明確にその回答を持っていない時や、持っていても確信がない場合には
「ぎくり」としてしまうでしょう。
逆に、持論に対して絶対の自信をもっている人は、「なんでわざわざそんな当たり前のことを聞くのだろう」という反応になる場合もあります。
単純な質問や、背景の言語化を企図としての「なぜ、これをするのですか?」という問いであっても
「なぜ、これをするのですか?(これをする理由がわからない>やる意義がないと思うがどうだ)」
と否定されているように、誤った連想をされてしまうシーンもよく見受けられます。
人は自らの意思を構成する理由について、常に客観的・批判的ということでもなく、一貫性が取れていないことがむしろ自然です。
「自分のアイディアを愛しすぎるな」という言葉を常に体現することは難しいものです。
明確さを目指すために明確に尋ねてしまうと、逆に回答が得られにくくなることもありそうです。
第4章 過剰コミュニケーションの技術
要約
必読のポイントと考察
「よさそう」からの脱却戦術:Disagree&Commit
多くのステークホルダーを会話し、合意を取らなければならないとき「よさそう」という言葉の重力は逆らい難いほど大きい。
「よさそう」は曖昧で注意を払っていない非明示的な賛意の代表例であり、懸念点に対して注意を払っているということを意味していない。明示的な賛意でないものを「合意」ととらえることは危険である。
Disagree&Commitは参加者全員の「進めて良い」と積極的なコミットメントが必要なテクニックで、この場合には沈黙は不合意として扱われる。
考察
多くの場で、レビューやフィードバックを求めるシーンがあります。
会議参加者も次々に増えていますがそこでも、「よさそう」というような非明示的な賛意や、沈黙を合意として進んでいるケースが多いのではないでしょうか。
Disagree&Commitは直近のプロジェクトでも実践されていたテクニックです。
そこでは明確に各チームの代表者に順番に「問題がないか」を質問してしました。
参加者全員に良い緊張感を育み、積極性を生み出しているように感じました。
第5章 シニアステークホルダーと働く(ポーカーゲームをする)
要約
必読のポイントと考察
気に入らない答えでも答えは答え
機能の背後にある「理由」を探した結果、「マーケティングの要望」だったという人はたくさんいる。
組織が「プロダクト主導」でないことにイライラするプロダクトマネージャーもいれば、この発見を前に進めるための考慮すべき制約や機会をうまく理解するための力とするプロダクトマネージャーもいる。
マーケティングと素直な好奇心をもち会話をして、すでに幹部と交わされた具体的な約束など、制約をより理解することで、ビジネスやユーザーにとって価値のあるものを届けつつ、制約の中で働けるようになる。
考察
この章の内容は、大きな組織で働くプロダクトマネージャの誰もが直面することが述べられています。
それぞれが好むかどうかを問わず、「社内政治」は必ずおこりますし、プロダクトマネージャは自らのアイディアを提案するよりも誰かのアイディアを理解して、補完して、修正して、実現させるために奔走することになります。
現場の細かな状況や技術的制約などプロダクトマネージャが知る制約を、幹部やその他のセクションが知らないのと同じように、プロダクトマネージャー自身にも知らない制約はたくさんあります。
「制約」はいずれの組織にもありますが、これを自分たちに制限をかけて縛るものだと考えるよりも、
物事を前に進めるためのガイドとして考える方がより生産的になるというのが私の考えです。
制約さえている範囲が分かれば、自ずと自分たちで考えて決めることのできる範囲が見えてきます。
また、その制約自体をもし変えることができるならば、おおきなレバレッジとなるかもしれません。
自分たちの知らなかった事実や約束になんらかの行動を強いられるとき、どうしてもイライラして、残念な気持ちになってしまうものですが、「あらたな情報を知ることができた」と気持ちを前向きに切り替えられると良いのかもしれません
前編は以上です
面白かった!という方は是非リアクションをつけてくださいね。続きを書く励みになります
つづく
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