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地震の発生確率とぼくたちの未来設計図

 未来のことを語る人は多い。SNS、YouTubeを開けばありとあらゆる未来予想図が語られている。やれ、株価暴落など、AI社会の到来など、日本沈没など。なぜか不思議と、未来を語る人々の未来予想図はすこしばかり暗い気持ちになってしまいそうなものが多い。これからはもっとコーヒーが美味しく飲めるようになります!とか、平和でハッピーな未来予想図はないものか。

 しかし、暗い未来予想図を求めているのは、我々消費者であることも事実なのだろう。いや、正しくは、暗い未来こそ、あらかじめに知っておいて、それに備えたいと思っている。だからそのような情報が積極的にメディアで扱われ、消費される。

 ただ当たり前のことだけれど、これまで未来をかんぺきに見据えることができた人はいない。ほとんどの人間があらゆる複雑な事象に邪魔されて、自慢の未来予想図を外してきた。仮にもしも、その未来予想図が当たったとしても、それが自分の生きている間に起こらない出来事であるならば、人は「ふーん」という気持ちにしかならないだろう。何億光年後の地球滅亡も、悲しかどこかでは他人事である。

 一方で、未来設計図を創る人々もいる。未来設計図は、先が不透明な未来のことをあまり盛り込まず、いま現時点で作成できる、最高の計画だ。30歳で宇宙人と結婚して、空飛ぶ車に乗る。なんて未来予想図を創る人はあまりいない。ほとんどがいまの社会的価値観とかを反映したもので、そしてそれは、その人の生が続いている間を想定して作成される。

 自分の未来設計図に暗い未来を書き留める人はいるだろうか。おそらくいない。みんながみんな、自分の未来を少しでも明るいものだと感じることができるような、ハッピーな未来予想図を作成する。45歳で日本が沈没するから、韓国へ移住する。なーんて暗いお話ベースの未来予想図、聞いたことがない。

 どんな未来予想図をいくら知ったところで、自分の人生における未来設計図に、ほとんどそれらは盛り込まれない。というか、盛り込みたくない。

 昨日、台湾で大きな地震があった。これもまた、誰も予想のできなかった未来である。

 専門家によれば、南海トラフ巨大地震や首都直下型地震の発生確率は、ここ何年の間で70%を超えるらしい。

 先の見えない未来。どうしても頭の片隅に残る未来予想図。叶えたい未来設計図。未来について考えるということの意義みたいなものが、自分のなかで困難を極めている。

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