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ボランチのプレーをパターン化する(前編)

概要

今回のテーマは「ボランチのプレーをパターン化する」。

ボランチの選手には試合中、前後左右あらゆる角度から相手が迫ってくる状況の中で、常に周囲の状況を把握しながらプレーを選択するという難しいタスクが課される。そのようなボランチの選手のプレーを成功させるためのポイントの一つが「認知」であるが、時間もスペースも限られるボランチの選手が、全ての状況を「認知」することは不可能に近い。

本記事では、ボランチの選手が試合中に「認知」すべきものを整理し、それと関連付ける形でプレーの選択をパターン化することを目的とする。今回の記事が、指導者の皆様のボランチの選手に対するコーチングのヒントになるだけでなく、現役でプレーしているボランチの選手のプレーの改善に繋がれば幸いである。

ボランチの選手が立つべき4種類の「間」のポジション

具体的なプレーパターンの解説に入る前に、まずはボランチの選手が試合中に立つべきポジションを整理するために、4種類の「間(あいだ)」のポジションを定義する。

①4人の間、②3人の間、③3人の間(逆三角形)、④2人の間

ボランチの選手が立つべき4種類の「間」

以下、図式化したものと合わせてそれぞれ説明していく。

▼前回の記事も合わせて読んでいただくとより理解が深まります▼
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①4人の間

まずは「4人の間」というポジションを解説する。よくあるのは、守備を行う相手チームが1-4-4-2のフォーメーションである時の「CB-SB-SH-Vo」や、「Vo-Vo-FW-FW」で形成される四角形である。この四角形の重心に立つことにより、ポジション優位を獲得することが出来る。

図1 「4人の間」の例

②3人の間

次に「3人の間」というポジションを解説する。このポジションがよく現れるのは、アンカーのポジションをケアするために守備チームが1枚、マンツーマン気味に捕まえに来るときである。2トップのシステムを採用する際には、2トップ同士のチャレンジ&カバーでアンカーのポジションをケアすることも多いが、よりマークをはっきりさせるためにこのような形をとることもある。

図2 「3人の間」の例

③3人の間(逆三角形)

次に「3人の間(逆三角形)」というポジションを解説する。これは先ほど解説した「3人の間」を上下ひっくり返したような形で、「1トップ+2シャドー」で形成されることが最も多い。

図3 「3人の間(逆三角形)」の例

④2人の間

最後に「2人の間」というポジションを解説する。このポジションは相手チームのフォーメーションに関わらず、あらゆる場面で出現しうる。

図4 「2人の間」の例

4種類の「間」のポジションを定義できたところで、ここから具体的にプレーパターンの解説に入る。重要になるのは、

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