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08_矢印を見て、選べ(春休み3週目・TRのまとめ)

こんにちは!シアター生の加國です。

いつも記事をご覧いただき、ありがとうございます。

今回は、春休み3週目のまとめとして、組織的攻撃・崩しの局面について書いていこうと思います。

個人の能力に恵まれない選手たちでも、イメージを共有し、相手を見て判断した上でプレー出来れば必ずゴールに迫れる。そんな自信を、選手たちにつけてもらうべく1週間トレーニングを行いました。ぜひ最後までご覧ください!!

08_内容紹介

崩しの局面におけるプレーの原則

まずは、これまでのクールと同様に、週の初めに選手たちに設定する原則の説明をしました。

今回提示した原則はざっくりいうと、「アタッキングサードにおいてはドリブルによる突破よりもパス&ゴーによる侵入を優先する」というもの。

広大Bの選手の特徴として、どんな相手に対しても個人で質的優位を作りだせる選手がいないことが挙げられます。その中で、どうやって相手の最終ラインをブレイクしていくのか、それを考えた時に現状の最善策が上の原則のもと、プレーすることだと判断しました。

具体的に原則の説明をすると、要はボールと人が一緒に移動するドリブルだと、相手守備者がボールと人が同一視野に入れた状態で対応できてしまうので、一度、味方に預けて、その間に動きなおして再度、受け直す形による突破を目指しましょう、ということです。

更に今週は、この原則に則ったプレーパターンをいくつか提示し、選手たちにイメージしてもらう作業に注力しました。

僕自身の考えとしては、崩しの局面は、選手たちに判断してもらう、というよりも、選択してもらう、というようなイメージです。

自分たちの中に、相手の対応の仕方に応じたプレーの選択肢をあらかじめ用意しておき、実際の試合中では相手の対応を見て、その選択肢の中からプレーを選ぶ方がプレースピードは上がります。

そのためにまずは、選手たちにイメージを作ってもらうような作業を一週間かけて行いました。

プレーパターンの整理(出して抜ける・出して寄る・背中を取る・一つ奥)

さて、それでは次に具体的なプレーパターンの内容を説明してきます。

選手たちに提示したプレーパターンは大きく分けて4つ。順番に解説していきます。


①出して抜ける

一つ目は、私が「出して抜ける」と表現しているアクションです。いわゆる「ワンツー」と呼ばれるものです。

例えば以下のように、ウイングの選手がボールを持った状況を考えます。この時、ウイングの選手にアプローチしてくるのは、ほぼ間違いなく相手のサイドバックの選手です。

このサイドバックの選手の寄せてくるアプローチの矢印が大きければ大きいほど、この出して抜けるというアクションが有効になってきます。寄せてきている最中にワンタッチで預けて、その間にサイドバックの選手の背後へ動きなおせば、なかなかサイドバックの選手は対応が難しいでしょう。

08_GIF(出して抜ける)

この時に重要なのが、ウイングの選手のパスの預け先が存在すること。具体的には、相手のDFラインのうち、ボールサイドのサイドバックの選手とセンターバックの選手の間に立つ選手を配置することです。僕はこの選手を「ニアポストに立つ選手」と表現します。

このニアポストに立つ選手が存在することによって、ボールを持ったウイングの選手は相手サイドバックに対して2on1の状況を作ることができます。最初に提示した、「ドリブルよりもパスを優先する」という原則を達成するために、この2on1の状況は非常に有効です。このニアポストに立つ選手と相手サイドバックに対する2on1の状況づくりという集団戦術アクションは、後々ご紹介していくプレーパターンでも共通の重要な概念です。


②出して寄る

2つ目は、「出して寄る」というアクションについて。今度は先ほどとは違い、ニアポストに立つ選手にパスを出してそのまま寄って行くイメージです。

このアクションを選択することのメリットは、先ほどの「出して抜ける」アクションとは違い、より相手ゴールに近い内側に侵入できることです。

例えば以下のように、出して寄った後にそのままシュートを選択することも可能です。

08_GIF(出して寄る・シュート)

他にも、出して寄って行った後に逆サイドへクロスを上げ、折り返しからシュート、という選択も可能です。このように一人一人がボールを持つ時間を短くすることで、ボールの移動により相手の視野を振り回すことができ、視野の死角からゴール前に侵入することができるのです。

08_GIF(出して寄る・サイドチェンジ)


③背中をとる

3つ目は、「背中を取る」というアクションです。

状況としてはこれまで説明してきたものと同様で、ウイングの選手にボールが入り、サイドバックの選手がアプローチしてきた状況を想定します。このアプローチしてきた選手の矢印を利用し、ニアポストに立つ選手がサイドバックの選手の背中側にランニングするアクションが、「背中を取る」です。

このアクションを起こすと、サイドバックの選手は対応が難しくなります。サイドバックの選手からすると自分の死角をランニングされるわけですから、ボールとマークを同一視することは不可能です。よって、大きくここからの状況は大きく2つに分かれます。

1つ目は、守備側がカバーリングをつけて対応する方法。このカバーリングの選手はセンターバックの選手であることが多いと思いますが、他にもチームによってはボランチの選手をついて行かせる場合もあります。

この守備側の対応に対しては、2つ目に紹介した「出して寄る」アクションを織り交ぜて攻略しようと考えています。例えば以下のような例が分かりやすいと思います。

08_GIF(背中を取る)

サイドバックの背中側を走った選手に対して、センターバックの選手がカバーリングでついてきました。この場合、センターバックの矢印が、大きくボールサイドに向かって出ます。この矢印の逆を突くことで侵入を目指します。具体的には、パスを出したウイングの選手が足を止めずに「出して寄る」ことでリターンパスを受け、内側に侵入するイメージです。

このシーンに限らずですが、「背中を取る」アクションの際に重要なのは、ウイングの選手からランニングした選手に出すパスの質です。これですべてが決まります。ランニングした選手の所にまずボールが収まらなければ、侵入自体ができなくなってしまいます。

スペースというよりは足元にボールをつけて、あとはヒールキックでもいいのでついてきたセンターバックの選手の矢印の逆にボールを転がしてあげる。そこに向かってウイングの選手が走りこむ。それができれば、侵入できる可能性が高まります。

2つ目の状況として考えられるのは、背後を走られたことに気付かず、ランニングした選手がフリーになる状況。この状況では、ペナルティエリアの奥深くまで侵入できる可能性が高いので、そのまま折り返しからゴールを狙います。

08_GIF(背中を取る・折り返し)



④一つ奥

最後に紹介するのは、「一つ奥」というアクションです。

これまで紹介してきた「ニアポストに立つ選手」を通り越して一つ奥、「ファーポストに立つ選手」にめがけて斜めの速いボールを差し込み、ニアポストに立つ選手が3人目の動きのアクションでスルーパスを受け突破するというイメージです。

08_GIF(1つ奥)

このアクションで大事なのが、ニアポストに立つ選手とファーポストに立つ選手がきちんとボールホルダーに対して、顔を出せるポジショニングに立っているということです。そしてそのポジションに入ってくるタイミングが良くないと、相手センターバックにインターセプトされてしまいます。

私は、ウイングの選手がトラップしてルックアップした瞬間にスッと落ちてくるタイミングがちょうどいいと考えています。

このタイミングで落ちてくることで、相手のセンターバックは慌てて対応しようと前に出てきますが、斜めのボールが速ければギリギリインターセプトはできず、かつ自分の背後を空けてしまっているので、スペースが生まれてしまいます。そのスペースを利用して侵入していくのが、この「一つ奥」というアクションの狙いです。


TR紹介 2+4on3+GK 

ここまで、私がトレーニングで提示した崩しの局面におけるプレー原則と、その原則に基づく4つのプレーパターンを紹介してきました。

最後に、これらを獲得するために僕が考えたトレーニングを紹介します。

画像7

WGにボールが入り、サイドバックがアプローチしてくる状況を再現したトレーニングです。そこからは4人の攻撃選手がイメージを共有し、ゴールへ迫ります。

このトレーニングを行う上で注意したいのは、攻撃選手の判断が、相手を見た判断になっているかどうかという点です。

僕はこのトレーニングを行う前に、シャドートレーニングで動きのイメージづくりを行いました。その成果として後ほど動画で紹介するように、ワンツーや3人目の動きを利用したスムーズな連携がみられる場面もありました。

一方で、ボールが入った時点でそのイメージした描けていないがゆえに、相手が対応を変えてきても同じ判断をしてしまう場面も見られました。あくまでこちらが提示するのは「選択肢」であって、実際の試合中では相手の対応を見て判断を変える必要があります。そこを選手に理解してもらえなければ、試合で使える技術にはなり得ません。

今回も、自チームで行ったトレーニングの様子を簡単ですが動画にまとめましたので、こちらも参考にしていただければと思います。

(動画はこちら→ https://youtu.be/AupWnXWtLeU)


まとめ

今回の記事はここまで。最後までご覧いただいた方、ありがとうございました!


次回の内容は現時点で少し決めかねていますので、ここでの発表は控えさせていただきます。興味のある方はぜひ次週もご覧ください!

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