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対シーバス戦 3回目 手取川河口

松井秀喜ベースボールミュージアムに、ここで練習する写真があった気がします

季節: 7月
時間帯: 夕マズメ~深夜
天気: 晴れ
気温: 寒い ★★☆ 暑い
風: 弱い ★☆☆ 強い
濁り: 澄んでる ★★★ 濁ってる

キャスティング回数: 40回くらい
アタリ回数: 0回
釣果: 0匹
釣果0の連続回数: 3回
シーバスが釣れる確率: 0/3 → 0%

釣り方:

  • シャローアサシンで橋脚ドリフト

  • サイレントアサシンで橋脚ドリフト

  • チャートなバイブレーション

特記したい出来事:

  • 常連の釣り人の、会話の輪が怖い

  • 手取川では飛距離での足切りがありそう

  • 何か分からない物体が流れてきたら、通り過ぎるまでキャストを待つ


3回目です

まだ、1回のアタリすらありません

ハゼ釣り、アジ釣りでは
2連続ボウズが起こる確率は、たぶん数%しかないし
セイゴだって、外道としてけっこう釣れる

やっぱり魚は、10倍サイズが大きいと
釣る難度も、10倍なのかもしれない

いや、個体数が1/10で、各個体のルアー見切りへの経験値も10倍みたいな
掛け算で、難度は100倍かもしれない

でも、難度は確率そのものではないのだから
釣り人側の経験値や工夫で、確率は上げられるはず

それに、経験上
釣れるための因子って、投げる場所(ポイント)と
時刻(魚が食欲あるか)で、80%は決まってると思ってる

これまで2回の試行は、どちらも夕マズメ~夜だったけど
場所としては、広い空間に投げてるだけだったし
試行回数が充分とは言えない


金沢って、釣りもスキーも
やろうと思ったら1時間で着ける
杜王町みたいに恵まれた場所なのだけど

釣りという趣味は、スキーと同じくらい
新規に始める際の、壁が高いと思う

スキーやスケートは、1回目ですべれる確率がたぶんゼロで
2回目から慣れてくる

そんな1回目は、半強制的に誘うような
友達でもいないと、行こうという発想すら浮かばない

2回目も、もうイヤだという人を
半強制的に連れていき、なっ!2回目でいきなりすべれたろ?
って流れが必要で、誘う側には相当なジャイアニズムが求められる


釣りも、未経験者を誘う際は
魚は簡単には釣れないものである、ということがバレてはいけない

なので、まず成功体験を持ってもらうために
ほぼ確実に釣れるタイプの釣りを、ただ竿を持ってればイイくらいまで
エスコートする

仮に、初挑戦から3連続でボウズだったら
釣りを趣味にしてくれないと思う

アタリすら皆無だったら
楽しさを感じることもないので、もっとキツイ

なので、もし初心者がシーバスから始めたら
釣りをキライになると思った


3回目として選んだのは
シーバスの釣果情報が多い、手取川河口

私はエサ釣り経験者だから、初めてのターゲットなんてこんなものだ
と、3回目も勝負する

でも、この3回目が
マイナス方向での初めての事態が多く
最もツラい釣りになった

内陸の国と異なり、日本にはたくさんの釣りブログがあり
釣れた記事も、釣れなかった記事も
週末のたびにアップロードされてる

釣れなかった動画も見たことあるけど
釣果を見せられなくても、ただ時間を浪費したと考えず
前向きになれる人は強い

今回、私が経験したキツイことは
それら過去に見た、すべてを記事の上回る
思い出しても、ドス黒い気持ちになることだった

あ……でも、釣り場でコケて骨を折った人よりはマシだわ


手取川は石川県で、最も大きな川

とゆーか、石川という県名は
石だらけの手取川が由来
(この釣り場の、すぐ横に県庁があったらしい)

東岸と西岸は離れており
別の釣り場として認識されてる

海側には防波堤があり
海に近い橋の下には砂浜もあり

その砂浜の横には、海に向かって消波ブロックが続いてる

釣り人が集まってるのは、東岸と西岸

金沢から向かうと、無意識に東岸を基本に考えてしまい
ハゼ釣りも東岸でしかやったことない

巨大な釣り場なので
西岸で釣れてるのに、東岸では釣れない
みたいな日もあるかもしれない

サケ釣りの大会もあるけど
西岸のほうが釣れるらしいので、シーバスも実は西岸なのかも?


飛距離がない私は、橋脚ドリフト以外で釣れる気がしないので
まずは橋を観察していった

最も海側の橋は高速道路。大きな工事中で釣り禁止

この橋から右は、海になってる

対岸が海に向かう消波ブロック
乗ってる釣り人が見えることもあるけど
波が白く荒れた日には見たことない
(死ぬからいないのか、死んだからいないのかは知らない)

このあたりは柵があって
水面も遠いので、釣れてもネットなしでは取り込める気がしない

橋の下の暫定足場に、釣り禁止って書かれてる

ただ、夜は見えないのか
夜にここで釣ってるのを見たことある

その足場はオーバーヘッドキャストを刈り取る形をしてるので
双方に可哀想なことだと思う

橋桁が高くて影ができないし
橋脚が遠すぎて、私にはマッチしない場所

2番目の橋は一般道路。おそらく橋脚ドリフトで最大のポイント

1番目の橋から、この2番目の橋までの間が
最も釣り人が多い

このエリアは柵もなく、水面がたった数cm下なので
ネットなしでも取り込めそう

このエリアの最も左のポジションを確保できた1名だけが
この橋脚を下流側からドリフトできる

上流側は、小さな用水を超えないと着けないので
誰も立たない穴場のよう

こっちには葦も生えてるので、投げる時も巻く時もケアがいるけど
葦の切れ目はちゃんとある

シーバスは上流に向かって口を向けてる時間が長いはずだから
ここが最大のポイントだと思うけど、誰もいない

3番目の橋はJR北陸本線。下流側がシャローになってる

この橋より上流に、釣り人の姿はない

いたとしても、入漁券を買って
長い竿とウェーディングで鮎を釣ってる

橋脚は2番目の橋よりは遠いけど、ギリ届く

橋脚の下流側は
水中の中洲のように、シャローになってて
対策をしないと根掛かりするだけ

上流側は葦の茂みになってて、釣れる場所がない

なので、橋脚の上流側にルアーを落とすには
橋脚の真下からサイドスローするしかなさそう

橋桁はめっちゃ低く
道路と違って鉄骨でスカスカなので、下から線路が見える

釣り禁止とは書かれてないけど
ここにルアーを当ててしまったら
鉄骨をグルングルン回って終わると思う

そのせいか、いつも誰もいない

しかし、第2のポイントだと思う


これら3つの橋のうち
橋脚ドリフトに向いてそうなのは、2つ目と3つ目

釣り人は夕方から増えだして
東岸の1つ目と2つ目の橋の間だけで、10人くらいになる

釣り人が最も集まる場所

ハゼ釣りの時は
私もここで釣ることが多かったし、釣れた量も多かった

ただ、シーバスでは
この開けた場所が好きになれない

正確には、この日に
この場所……キライだ……って思った

訳が分からないことが多くて
釣りのペースを乱されっぱなしだったから


まず、この釣り場は
常連が多い

常連は3種類に分かれており
まず、エサ釣りのおじさんたち

麦わら帽子や普段着で、昔ながらの釣りの姿

待ちの釣りなので
待ってる間に、3人くらいで会話やタバコを吸う

その匂いがキツイ

先に着いて、橋脚ドリフトのポジションを確保してても
夕方から匂いで追い出される

向こうに悪意はないし、こっちも楽しみを奪いたくない

悪意のない昭和の洗礼が、精神的にキツかった


常連の2グループ目は、外国人の集団

この近くで働いてる
東南アジア系の真面目っぽい青年たちが、奥さんとかと
一緒に自転車でやってくる

スポーツフィッシングでなく
私と同じく、食べるための釣りに見えるから
その点では親近感がある

確率の高いエサ釣りでの、大物狙い志向っぽいけど
彼らが釣れてるのを見たことない

釣れない理由が、仲間同士で笑う大きな声な気がして
見てるとモニョる

ほぼ確実に釣れる、ハゼを釣れよ!
って言いたいけど、言葉がわからない……


常連3グループ目は
ライフジャケット、偏光グラス、タモを装備した
本格的なツアー釣り集団

これら3グループは、夕方に毎日いるけど
グループを超えての会話はないみたい

昭和の釣り用語の世代と
外国語と
カタカナ語の世代とで、分離してる気がする

誰もアタリすら来てないみたい……
って様子は、世代を超えて共通

ハゼなら、夕マズメには(ほぼ)確実に釣れるものだけど
シーバスだって確率は上がってるはずなのに
それでもアタリが発生する数値には至らない……って感じだと想像してる


これらの常連の中で
隣にいたときに、最もキツイ……と思ったのは
本格的なルアー釣り集団だった

理由は、コンプレックスを刺激され続けるから

私が釣りを続けてこられたのは
1人で、会話も情報交換もせず、静かに釣ってきたからだと分かった

コンプレックスは3つに分けられる

  1. 釣りに対する価値観の異なる会話を聞きたくない

  2. 筋力や装備による、超えられない差を見たくない

  3. 試行錯誤で実験してる姿を、最適化の済んだ人達に見られたくない


1. 釣りに対する価値観の異なる会話を聞きたくない

隣の会話を聞かない権利
とゆーのは存在しないので、聞こえてしまう

常連の雰囲気って、独特な居心地の悪さがある

部活動みたいになってる

1人ずつ合流しては、会話が始まる

すでにいる釣り人をサッと眺めて、知ってる人を探して
常連以外には声を掛けない

常連と常連に挟まれて釣ってる私だけ
無言で観察された後、あ……この人への挨拶はイイや
って感じでスキップされる

頭の上を超えて会話されて
なんでこの人は、間で邪魔してるんだろう……
移動してくれれば隣同士で釣れるのに……なプレッシャーを掛けてくる


観察してわかったことは
彼らは会話をしたくてたまらない

最近買ったルアーの説明を、誰かに聞いてもらいたくてたまらない

動かし方を実演して、ここで前はバゴンって来たんだよ
って、YouTuberみたいな標準語で説明したいのに

私がいたら実演できないから、移動してほしい

常連でない人には挨拶しない
という行動は、静かに釣りたい人もいるだろうって
距離感を尊重してるとも言える

けど、ずっと尊重してくれるワケでもない

その点では、仲間と会話したいという欲に忠実で
カメラに説明しながら釣るYouTuberの釣り方が理想で

川を眺めて、釣り以外のことも考えながら、静かに釣りたい
という、私の価値観とはミスマッチ


常連に入りたくはない

なので、勧誘されたらもっとイヤだし
入りたければ、新規の人から常連に対して話しかける
という方向になってるのはイイと思う

常連になりたくないが、ここで釣り続けたいという人は
常連の3グループすべてから

いないものとして扱われる、外様なのだ
とゆーことを、この釣り場は痛いほどに教えてくれる

メジャーな釣り場だから
メジャー志向な人が来るワケで

来る回数が多いから、常連が強固になるわけで

逆に言えば
金沢周辺で、この手取川河口以外に
こーゆー不快な場所はなかった

2. 筋力や装備による、超えられない差を見たくない

不思議なのは
それら常連のグループ3つが
めっちゃシーバスを釣れてるってワケでもないこと

調査だけに行った時を含めて
エサ釣りグループ、外国人グループが釣った瞬間を見たことない

ルアー釣りグループは
アタリがあったという申告が1回聞こえたくらいで

結局、どの常連も
広い川の真ん中に、累計でスゴイ回数を投げ続けてるだけだった

複数回の夕マズメを含んで
それくらい低い確率でしか釣れてない

でも、じゃあなんで継続して来てるの?ってことになるので
見てない日に、ときどき釣れてるのかもしれない


この日
初めて東岸でシーバスが釣れるのを見た

真っ暗になった後だった

帽子を被ってて、本格的な黒い格好をした
単独の静かな釣り人だった

ほかの釣り場で釣れてた人も
みんな似た外見なので、釣れる人の属性は限られるのかもしれない

男で、30~50才くらいで
タモをちゃんと持ってきてて、単独で淡々と投げてるタイプ

取り込みも静かなので
少しの違和感しかなく、10m横で釣れたことに気づけない

きっと魚紳さんみたいなイケメンだ

フックを外す時のライトが点くまで気づけなかったので
タモの使い方は勉強できなかった


自分が釣りたい = ほかの人に釣れてほしくない
ではないし、情報を得たいので嬉しい

どんなルアーを使ったのか
どの距離でヒットしたのか
知りたかったけど、観察すれば分かることは
相手の時間を無駄にするようで訊けなかった

着水までの時間から想像すると、私の2倍から3倍の飛距離があり
それは対岸(中洲)との中央の、最も深いところ(流芯)に届いてる

もしそこまで飛ばせた直後の、カケアガリ以外には
夜だろうとシーバスがいないのなら
私は確率0の釣り方をしてたことになる

昼のうちにベイトを観察するのが大事とは知ってるけど
川の中心のベイトは、私の視力では見えなかった


手取川河口は、釣果の多い場所だとされてる

釣り人は橋脚ドリフトでなく
開けた場所で、正面向きに投げてる人が90%を超えて支配的
(アップでもダウンでもない、クロスの河川ドリフト……?)

隣同士でルアーを回収するタイミングがズレるから
アップクロス不可な環境なのかもしれない

それだけを投げ続けてる人が多いし
上手そうな格好の人も、それをしてる

やっぱりその釣り方が確率高い
ただし、流芯に届いた場合に限る、なのだと考えられる

ルアー釣りの人口は、男の人が中心で
筋力は当然クリア済みの世界だからか
「釣り場ごとの、最低限必要な飛距離」という概念が省略されてると感じる

手取川河口で、橋脚ドリフト以外でシーバスを釣ろうと思ったら
カケアガリまで届く飛距離が必要、という足切りがあるのでは……?


私の使ってるサイレントアサシンは
70m飛ぶらしいけど、私が投げても30mしか飛ばない

キャスティングの動画で、フォームを見直したけど変わらなかった

投げる動作自体は、エサ釣りで何百回もしてきたわけで
フォームは経験で最適化されてたっぽい

PEラインはもう使ってる

もうロッドとリールしか、変更の余地が残ってない

けど、1匹釣るまでは、この装備で釣りたい

この装備で手取川河口にいても無駄なのなら矛盾する

シーバスがカケアガリに多いとしても
それ以外をフラッと泳いでくる個体だっているかもしれないじゃん

と思って、たくさん試してたけど
そんなベストでない、ベターで妥協するような釣りは
しないほうがイイのだろう

3. 試行錯誤で実験してる姿を、最適化の済んだ人達に見られたくない

バイブレーション
フローティングミノー
シンペン
ワーム

いまは、それらを初めて使って
それぞれの飛距離、ブルブルの強さ、沈む速度(根掛かりのしやすさ)
などを、体感で覚えてる段階

たらしの長さ
構え時にリールを倒すか、倒さないか
ロッドを振るスピード
サミングするスプールの位置、タイミング

などを、あえてハズレと思う候補も
1度は試してみて、失敗して修正してる段階

真下にドボン!って着水して
大量にバックラッシュして、結び直したりもする

そーゆー姿を
他人に見られたくない


比較実験の基本は
パラメータを1つずつしか変えないこと

釣りは、比較実験の連続だと思うので
物理や化学での比較実験の、基礎知識が役立ってる

タックルを変える時も、1つずつ変える

アタリすらない時に
2つ以上のパラメータを変えてしまうと
アタリに近づいてるのか、遠くなってるのか、判断できない

その全通りの試行に掛かる時間を考えると
潮目、時間帯など条件が変わっちゃうまで(30分間くらい?)に
比較できるルアーは、せいぜい5つまで

それでチャンスを失うくらいなら、と
ルアーのサイズ、色、レンジ、引く速度など
複数のパラメータをいっぺんに変える賭けもありだけど

あくまで「確率の低そうな組み合わせを、見切って省略した」
という考え方でいたいと思う

RPGで定番装備を、プリセットから選ぶのと似た感じ?


そうやって飛距離について比較実験した結果
最も変えるべきなのは、ロッドっぽいってことは分かってきた

手取川の中心に届くには、あと20~30mは必要で
その飛距離って実質、海のようなものだけど

海のようにメタルジグで満たせても、水深2mくらいなので
ほぼ100%、最初のフォールで根掛かりするだけ

バイブレーションで届いたとしても
周りもスピンテールとか、アピール力の強いものを投げてて

流芯に届いてて、それで釣れてないのだから
同じことをやってもしょうがない
(周りのウデを信用してる)

手取川河口のシーバスでは
バイブレーションに引っかかるほどの入れ食い状態はない
と考えて、もう良さそう


なので、私はシンペンを基本に考えたい

シンペンは夜専用、と書かれてるのも読んだことがあるけど
手取川河口も、前回の犀川河口と同じく
24時間365日、濁りっぱなしなので、昼でも効くかもしれない

飛距離がないと釣れない
と、薄々分かってきたことは、ショックだったけど

長いロッドか
短くても反発の早いロッドに変えて

シンペンで流芯に届かせれば、ワンチャンあるかも
まで釣り方を絞れたのは、前進だと思った


開けた場所での釣りは、これくらいにして
本命である橋脚ドリフトの結果

誰も確保してない場所だけど
私は東岸で、この場所に可能性を感じる

1番狙う価値がありそうな場所

この場所には、邪魔になる葦がない

1つ目の橋脚に向かってキャストして
着水後にクラッチを開放したままにすれば、私の飛距離でも流し込める

シャローアサシンで水面を
サイレントアサシンで中層を
シンペンでボトム付近を

探って、アタリが無かったとしても
引いてくる途中に、用水との合流があり

ヨレどころか渦ができまくってるので
そこを通す時に、2回目のチャンスを楽しめる

用水からの水は透明なので
アタリがない回でも、ルアーの動きの確認はできて、損がない

沈むルアーを
根掛かりを怖がりながら、早めにリトリーブする釣り方より

ゆっくりドキドキしながら
引いてくる釣り方のほうが、私はやっぱり好きだわ


なぜこの場所で釣る人がいないのだろう……?

たぶん、釣り場に10人いたとしても
10人が、各人の考え方で、完全に独立して動くわけじゃないから

付き合いで
1ヶ所での、1種類の釣り方に、集中しがちなのだと思う

常連には、常連同士の会話ができる距離から
離れられないという、心理的な拘束がある

だから、3人以上で並べる広い場所を確保したがり
そこに橋はないので、橋脚ドリフトを試しもしない

用水を超えて、1人だけ離れて釣る
という発想がないか、発想できても実行できない

FF14で、ゲームを楽しむためにFCやCWLSに入ったのに
そこのルールに縛られて、自由を失う人と似てるのかも


すでに7,000字を超えてるけど
この釣り場は巨大なので、まだ書くことがある

それは、夜の怖さ

橋の下の夜釣りを、ホラー加工してみた

夜釣りの人もたくさんいる

けど、橋の下に陣取る人はめったにいない

たぶん、男の人には
障害物のない場所で、力いっぱい遠くに投げたい本能があり
橋の下ではストレス解消できないのかも

橋の下はムチャクチャ怖い

上は車がいっぱいの道路
なのに、橋の下は孤独の世界

そのギャップは、この世にこんなギャップがあって許されるのか?
って法律を疑うくらいの違和感で

その恐怖と刺激と、水面のタプタプ音は
静かに哲学するのに適した空間を、橋の下に作ってる


しかし、私が持ってるのは
ベイトリールだけなので

夜には、橋の光と
着水までの予想時間だけを頼りにサミングするしかない

そして、いまは飛距離を伸ばす実験中なので
意識しすぎると、ヤムチャの足元のようにお留守になって
バックラッシュしてしまう

PEラインを切るしかないので
夜のベイトリールは、1回でも大きくバックラッシュしたら
そこで試合終了だよ……

暗闇で、音を頼りにベイトロッドで投げてるヤツ
というキャラ付けは好き


冒頭で書いた
過去に起きたことのない、ショックな出来事は
この橋の下で、日没時に発生した

子ダヌキの死骸を釣った

ちょうどすぐ川上に
葦の湿地帯のような、緑色の世界があり
岸の茂みと中洲の茂みに挟まれて、幅5mくらいの流れがあるのだけど

そこを黒いボールのような
マットな質感のものが流れてきた

それが通り過ぎるまで待てば良かったのだけど
偶然釣れたら、それはそれで面白いかも……
って、深層心理で考えた自覚はある


この足場は、水面からの高さがない

よって、橋脚を狙ってキャストし
引いてくる際のラインの角度がない

糸フケを取っても、水面から3cmくらいにラインが張った状態になり
そこにボールが流れてくると、ラインにさえぎられて止まる

ロッドを立てても角度はつかず
ボールがラインを突破することはない

その状態から、思考実験してみよう

もし引き続きリールを巻いたら?
ルアーはボールに刺さる

それを避けるためにリールを巻かなかったら?
川の流れによって、ルアーは下流へ
ボールはラインに沿って動いていき、ルアーの直上で止まる

ルアーは回収するしかないので、結局その時に刺さる

実際のボールは、ボールでなく
その水面下に、タヌキの胴体があった

ボールに見えたのは後頭部だった

なので、ラインが通せんぼした時点で
死骸を釣ることは確定してた


フックが刺さる瞬間
頭蓋骨に当たる、カン!って大きな音が響いた

流線型じゃないからか、すげー重かった

ラインを切ることも考えたけど
この偶然に、精神が耐えられる限界まで付き合ってみようと思った

腐臭はなくて
さっきその茂みで死んだばかりって感じだった

フックは抜けなかったので
釣り用ハサミで、皮膚を切開して取り出した

暗闇でのシルエットには
人間の子供と区別がつかない恐怖があった

最後まで顔は見ずに、そのまま水葬した


50cmのシーバスを釣った人は多いだろうけど
50cmの哺乳類の死骸を釣った人は、レアだと思う

私はこれより下流側で
1mくらいのサケの、ボロボロになった死骸を釣ったこともある

死骸に意味を感じてしまう

自然界から警告されるようなことはしてない

ただ、今日はとにかく
ウェーイな他人に疲れて
飛距離での足切りがあるのでは、とゆー不安に疲れて

ボールでもイイから何か釣りたい
と深層で思うくらい、何か限界だったのかもしれない

その結果が、シーバスでなく
タヌキの死骸

いまの私には、釣れるべくして釣れる
タヌキの死骸なのだろう


どんなウェーイでも
1匹はシーバスを釣ってそうな、余裕のオーラを感じる

常連へのイラツキは
シーバスを釣ってないことでのコンプレックスなのも自覚してる

イラツキは、釣りの大敵

イラツキたくないから
釣りたかった釣り場から移動する

移動によるイラツキは、移動後も残る

叫んで解消もできない

アイツラなんて釣れなければイイのに
って呪いたくもない

保留……
思い出してみると、気持ちや結論を保留したまま、橋の下にいた


もし完全に日没した後だったら、もっと恐怖だったはず

最悪でなかったことに
幸運を感じる

気持ちに嘘をついたまま釣るのは、もうやめよう
と決めるキッカケになった


今でも、夜の川が怖い

夜の海が怖いって思ってたけど
流れてくる川にも、別のヤバさがある

ちょっとでも違和感を感じたら
その物体が通り過ぎるまで、もう投げない

常連の会話を聞かずに済むように
これからは音楽を聞きながら釣る

何連続も誰もアタリがない開けた場所で
河川ドリフトさせて、トゥイッチやジャークを練習しても
何が良くて何が悪かったのか
魚からのフィードバックがないから楽しくない

手取川河口での釣りは
橋脚ドリフトの精度を高めるためのキャスト以外は
一切しなくてイイ気がする

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