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先生辞めます③

2024年1月5日、私はついに退職願を提出した。



来年度の人事希望調査を提出した時点で校長先生から呼び出しがかかり、1時間ほど話をした。

校長先生の第一声は「退職に印が付いていて驚いたけど、相当の覚悟があると思うからあなたの意思を尊重したい。でも理由だけは聞かせて。」

主な理由は前回のnoteにまとめた通りだ。明確な理由があるというよりは、教師という職業に対する「違和感」のようなものが、少しずつ蓄積されていったと表現した方がいいのかもしれない。

校長先生は退職願を渡しながら「冬休み中にもう一度ゆっくり考えてみるように」と言った。退職願を書くときが1番迷うし、辛いときだと。

しかし私に迷いはなかった。スラスラとペンが進んだし、印鑑も綺麗に押せた。そして冬休みも終盤に差し掛かった1月5日、校長室のドアをノックした。

校長先生は笑顔で迎えてくれ、退職願を差し出す私に「ゆっくり考えた結果なんだね。悲しいけど先生の意思を尊重します。またいつか学校現場に戻ってきてくれるのを楽しみに待ってます。」と言った。

家では全く迷いはなかったし、むしろ早く辞めたかった。しかし退職願を提出した瞬間、とてつもなく大きな不安が押し寄せてきた。「本当にこれでいいのか?」と何度も自分に聞いた。もしかしたら校長先生が必死に止めるのを待っていたのかもしれない。

気付くと「この選択で本当によかったんでしょうか。正直自信がありません。」と泣きながら聞いていた。

すると校長先生は「正解かどうかは今はわからないけど、後で振り返った時に『正解だったんだ!』と思えるように、自分で道を切り開いていってね。間違えたらまた戻ってくればいいよ。」と優しく言った。子育ての後悔や、管理職になった時の不安なんかも話してくれた。

また「たくさん悩んだでしょう。悩まなかったら、今までの働きが嘘になるよ。本当によくやってくれてるのを知っているからね。」とも。

どれぐらい喋っていただろうか。ついに私は校長室を後にした。もう後悔はない。。。。つもりだったのに。自分の席に着くと、また不安と後悔が込み上げてきた。

守るべき家族がいるのに。教師という仕事が大っ嫌いになったわけじゃないのに。少し我慢すればあと数年は働けるんじゃないか。そんなことをグルグルと考えていた。

そしてスマホを手に取った。

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