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『海のはじまり』全話感想まとめ

月9ドラマ『海のはじまり』が終わった。終わってしまった。これからもうみんなの姿を見れないと思うと寂しすぎる。でも、私の中でいなかったことにはならない。ちゃんと、みんな、いた。ということを希望にして、これから生きていきます。

ということで、この記事は私が毎日書いている日記の、『海のはじまり』の感想部分を少しだけ編集してまとめたものです。日記の中で感想を書き記していたのですが、別記事にしてまとめてみようということで、各話ごとにまとめています。先の展開を全く知らない当時の私の感想と、それを読み返して今どう思っているかの感想も軽く書いていきたいと思います。


○第1話

・最初流れた音楽が、『いちばんすきな花』でよく使われていたものにめちゃくちゃ似てて驚いた。これ思ったの私だけか?最初の三音か四音が全く同じだったと思う。

・あらすじとか何も見ないで見始めたけど、冒頭の海のシーンだけでなんとなくこのドラマが何を描いていくのかが分かる。これは、多分命の話だ。

・個人的に、海には生命のイメージが結構あるけど、「どこから始まりでどこが終わりか分からない」という視点で海を見たことは無かった。特に「終わり」の部分を海と掛け合わせているのは面白い。

・「うん」と「ううん」の合間の返事をするシーン、好き。このシーンみんな好きだろ。

・「"はい"か"いいえ"だけで答えれる質問ってあんまりないですよ」という水季に対して、夏が「はい」と答えるシーン、私はこういう言葉遊びっぽい会話が好きだから良かった。

・子どもと会話する時に、夏が一瞬だけ敬語になっていたの、めちゃくちゃイメージ通りだったから笑った。

・ドラマとか映画でもそうだけど、子役の演技って苦手なんだよな......。これは本当に私の問題なのでどうしようもないのだけど、どうしても言わされている感が出てしまうし、大人が書いているものだし、何か伝えたい、言わせたいばかりにどうしても台詞っぽくなってしまう。「お前、そんなん言わんやろ~」というメタ的な視点が働いてしまって、うまく入り込めなくなる。私の問題です。

・水季がなぜ夏に何も言わなかったのか、なぜ別れを切り出したのかについては全然分からなかった。おそらくはこれから明らかになっていくんだろうが、水季の気持ちが全然分からないから、そこのモヤモヤ感は結構あった。最後、なんとなくドラマが感動シーンっぽく終わるのだが、その気持ちの分からなさがあるから、あんまり波に乗れていないなという感覚はあった。「海、好き」「夏、好き」というシーンも、イマイチしっくりこなかった。ただ単に「水季が好きだと言ったものがたまたま名前と同じで、呼び掛けられているように錯覚した」という場面で良いんだろうか。なんか、「これ泣かせようとしてる?」と困惑してしまった。これを書いた後、他の人の感想を色々と読んでみようと思う。

・とりあえず三話まで見るというのは確定しているので、今後も楽しみに見ていこうと思う。この温度感でずっとやるには重いような気もするので、もうちょっとコメディー的な要素が出てきそう。

7月4日の日記

そもそも、『海のはじまり』は、『いちばんすきな花』というドラマで生方美久という脚本家を知り、それきっかけで見ようと思ったドラマだ。あらすじやキャストなど、前情報は何も見ていない段階で見始めたので、重い展開に少々困惑する部分があった。また、私は子役の演技を苦手としており、まだ世界に全然入り込めていない私の様子が分かる。

1話で水季が夏に向けて言った、「"はい"か"いいえ"だけで答えれる質問ってあんまりないですよ」という台詞、最終話では弥生が夏に向けて言っていた。素敵な台詞だと思ってたけど、1話で出てきていていたんだな。日記に書いてなかったら気付いていなかった。

○第2話

・子役の演技、かなり慣れてきた。2話はちゃんと入り込んで見ることができました。ここがこのドラマを楽しむ上で一番の不安材料だったから、本当に良かった。

・受動的に父親に「なってしまった」夏が、能動的に父親になっていく、いかにして海に関わっていくというのは大事なポイントだろうな。今のところ、「海が会いたいから」会っているような印象を受ける。じゃあ自分はどうしたいのかという部分についてはこれから描かれていく気がする。

・過去と未来の行き来、人物と人物の行き来を同じ言葉を使って繋げるような構成が見事。これは『いちばんすきな花』でもめちゃくちゃたくさんやっていた印象。

・夏と弥生が家で話し合うシーン。夏が自分の罪悪感を弥生に吐露するのだが、「それを弥生に言うのってどうなん?」みたいな言葉が結構あった。自分の罪悪感を弥生に言って、自分はちょっと楽になってさ。ほんと。弥生はまだずっと一人で抱え込んでいるというのに。

・その後の夏と弥生が電話するシーンも、もうちょっと言うことないのか、とは思った。あ、あと、夏と弥生のLINEがチラッと映る場面があったのだが、夏のLINEが素っ気なさすぎて笑ってしまった。なんかもうちょっと付け足す言葉とか絵文字とかないのか。

・夏はあまり喋らない人間(夏の両親曰く、喋らないから何も考えていないというわけではないらしい)なので、つい「もっと言葉を尽くせよ!」と思ってしまうな。今後の夏の自主性に期待(通知表か?)。

・海が夏に抱きつくシーンで、水季の遺影が夏の隣、そして海の後ろに映っていて、海が間に挟まるような構図になっていた。泣いちゃう。

・多分このドラマだと弥生が一番好きなキャラクターになりそうなので、弥生の動向に期待。かなりしんどいポジションだと思うけど......。

・次回予告では、朱音さんが海の母親になろうとしている弥生に厳しい言葉を言うシーンが流れていた。子育てにおいて、一番大変(だとされている)な時期は終わっているわけで、夏も、あるいは弥生もその時期を直接知ることはできない。「大変な時期をすっとばして、簡単に親になろうとしている」という厳しい目線は向けられて自然だと思うし、朱音さんの持つ感情も凄く理解できるものだった。そのままとんとん拍子で「家族」にならないところは流石。「水季がいなくなっちゃうような気がする」という朱音さんの台詞もあったから、弥生と朱音さんの関わりについても今後注目していきたい。朱音さんの持つ役割が多すぎる。大変(そして重要)な役だな~。

・私は血の繋がりによる絆を信じていないどころか、血の繋がりによる安易な「家族性(?)」のようなものを嫌悪している節があるので、血の繋がっていない月岡兄弟や母親としての弥生(まだなると決まったわけではないけれど)の描かれ方については特に注目していきたい。でも、ドラマ内に月岡家という「血の繋がっていない家族」を入れている時点で、結構信頼できるドラマだという風に今のところ感じている。

7月10日の日記

2話にして子役の演技に慣れてきた私。1話ではそこまで高い熱量を見せてはいなかったが、徐々にハマりの片鱗を見せつつある。あと、最終話視聴後の一番好きな人は、津野となりました。弥生は惜しくも2番目。でも2人ともめっちゃ好きだな~。

○第3話

・「これ、写真撮ってほしいやつだ」という弥生が、どうしようもなく外野でしかないことを思い知らされる辛い回。私は、今のところ夏のことをあんまり理解できていないこともあって弥生目線で見ているのだが、今回はかなり辛い回だった。

・水季は海の前で夏の話を頻繁にしているようだが、この辺りの理由については描かれると信じたいところだ。自分から振って遠ざけておいて、その相手の話を子どもの前でするってかなりアレだし......。一応、理由らしきものは朱音さん経由で描かれていたけど、あんまり納得できるものでもなかったからね......。

・朱音さんが夏の母親を聞いて、「50代。若いなぁ」と呟いた後の沈黙が好きだった。夏が、「あ、この方は何歳なんだろう......?」と思った沈黙を朱音さんがキャッチする感じ。2話で、夏の家に海がいる時に、弥生が夏の方をじっと見る場面があって、それも沈黙のコミュニケーションという感じがして好きだった。

・「ランドセルの色が赤じゃないのが良いな~」と思って見ていたら、弥生が海にあげたイルカのぬいぐるみの色でちゃんと回収されたのでびっくりした。海が自分で選んだ色は黒(黒っぽい青?)色のランドセルで、弥生からイルカのぬいぐるみを貰った後、「ピンクのはじめて見た」と言う。弥生が、海に何をあげるか悩んでいるシーンで、「(海が何好きか)聞いてもらうかな~、お父さん(夏)に」みたいな場面があったけど、弥生は海の好きなものや色を確認したのだろうか。後のシーンで、貰ったぬいぐるみと同じ形のイルカのぬいぐるみ(青色)が隣に置かれていたけど、ちょっと不穏な感じがした。水季との思い出の(?)ぬいぐるみと同じものをプレゼントするというのは、ちょっと勇気がいるというか、私だったら避けると思う。これは、朱音さんの「水季がいなくなっちゃうような気がして悔しい」というセリフにも繋がるだろう。実際、この場面で朱音さんが複雑な表情をしているカットがあったし。

・こういう不穏さは後半の超辛いシーンにも繋がるけど、弥生ではなく夏である理由を細かいところでちゃんと説明しているのが本当に凄い。

・夏ってやっぱり普通じゃない。母親が亡くなった子どもに対して、「なんで元気なふりするの?」と問い詰めるようなことをするなんて、私にはできない。このシーンで、夏は海のことを全然子ども扱いしていなくて、それが気持ち悪くも凄いと思う。この「子ども扱いしない」みたいな部分が、海が夏を好きでいる理由になったりするのかな。逆に、朱音さんだったり弥生だったりは、海のことを完全に子ども扱いしているから、その差みたいなものは海も感じているのだろう。自分を子ども扱いしてるなという感覚は接せられている子どもが一番に分かったりする。

・同じシーンで、弥生は、問い詰めるようにいう夏のフォローをするように海に優しい言葉を投げかけていた。その後、弥生が海にハンカチを差し出すのだが、海はそれを素通りし、夏に抱きついて泣く。このシーンは思わず「うわっ」と声が出てしまった。そこまでやるか。弥生が何したっていうんだよ。夏も泣いてるんじゃないよ。抱き締めてるんじゃないよ、弥生のフォローしてあげてよ!と思ってしまった。

・その後、朱音さんが海を迎えに来る場面で、夏は自分には本当のパパが二人いるという話をする。この場面、夏は海に向かってその話をするのだが、朱音さんに向かって話しているようにも見えた。話をする前に朱音さんの方をチラッと向くシーンが入っていたから、多分意図的。これは、自分には本当のパパが二人いると言うことによって、「水季がいなくなってはいない」ということを暗に朱音さんに伝えているのではないだろうか。海の産みの親は水季であるが、二人目の母親がいてもいいのではないか、本当のママが二人いてもいいのではないか、というメッセージを朱音さんにも伝えようとしたのではないか、みたいな推測をしている。いやまあ、果たしてそういうことが意図的にできるほど器用な人なのかという疑問はあるけど......。

・その後、海と水季がよく行っていた海辺に海と夏が行く(ややこしいな!)場面で、ここに弥生を誘わなかったのは、水季とよく行った場所に行くから、弥生が傷つかないようにするためなのかもしれないとちょっと考えた。より外野になってしまうのではないかと夏が気遣ったのではないかという説。まあ、それが気遣いだったとしても全部裏目に出ているというか、弥生にとってはさらに除け者にされているような感覚を与えてしまっているから辛いのだけど。

・「フィルムだから、すぐに見れない。今度会う時。」というセリフ、めっちゃいいな。

7月21日の日記

3話時点でもう感想もだいぶ長くなっていて、ちゃんとハマっている。3話の、海が弥生を素通りして夏に抱きつくシーン、その時の衝撃をいまだに覚えている。それをやるか!という。思えば、このシーンでこのドラマがひと味もふた味も違うということを認識したのかもしれない。この時点では、水季のことがまだあんまり描かれていないので、水季の行動に対する疑問は結構あった。

○第4話

・弥生と水季を重ねてくるのか。凄。弥生がしなかった(できなかった)選択を、水季はやって、そして、海という子どもが2人を繋げている。

・夏と弥生の仲ってどれくらい良いのかなぁーと思っていたけど、今回の話を見てると結構仲良さそうだし信頼し合ってそうで良かった。後半にはイチャイチャする夏と弥生が見れた。

・夏がちゃんと喋れるやつになってきていて、だんだんと好きになってきてしまいました。相変わらずいまいちつかめないキャラクターだ。見ている私が変わったからそう見えるだけなのか、キャラクターがぶれていてそうなってしまっている(もしくは意図的にそうしている)のか、海と出会ってから変わったのかははっきりしない。時間があれば1話を見返したいな。

・弥生の元カレ、最低なやつに変わりはないと思うのだけど、創作物として誇張した最低なやつじゃなくて、ある程度誠実に見える部分もちゃんと描かれていたから、リアリティーがあって、かえって最低なやつ感が増していた。最低なやつとして描きすぎないことによってより最低なやつに見えるという不思議な現象が起きている。

・コーヒーのおかわり描写、上手いなぁ〜!お腹にいる子どものために元々ノンカフェインコーヒーを頼んでいて、でも中絶すると思ってどうでも良くなって「普通の」(この「普通ので」という言葉も良かった)コーヒーを注文するのだが、結局飲まずに店を出るという。この場面は凄い好きだった。

・「みかん食べながらしちゃいけない話とかないでしょ」これ、笑っちゃったな。割とシリアスな話の中ではあったのだけど、ここはちょっと笑っちゃった。

・優しい両親に囲まれて、産む決心をした水季を描いた後に、1人で風呂掃除をしている弥生を描くの、厳しすぎる。弥生が何したっていうんだよ......!

・夏の「急に大人みたいなこと......」というセリフに対し、明らかに悲しそうな顔をする海。前回、「海が夏のことを好きなのは血の繋がった父親ということもあるが、子ども扱いしないところが好きなのではないか」ということを書いたが、今回の、夏が海のことを露骨に子ども扱いしたときの海の反応で、その説が強くなった。海は朱音さんのことも弥生のことも好きなんだろうけど、やっぱり夏のことは何か特別に思っている感じがする。

・主題歌良すぎる......!

・次回予告では、夏が苦しむ回っぽい。やったぜ。これは嬉しいとかではなくて、描かれるべき部分だと思っていたから、ドラマへの信頼が上がったという点で嬉しいのです。

7月23日の日記

弥生のことをもっと好きになった回。

このドラマの悪役と言われたら、多分夏の(血の繋がっている)父親か、弥生の元カノをあげると思うけど、2人とも全然悪役ではないのが良い。嫌な感じの人ではあるのだけど、「いそう~」というリアルさを2人とも持っている。

「みかん食べながらしちゃいけない話とかないでしょ」→これ、このドラマの好きな台詞トップ3に入ります。

○第5話

・今回は笑える場面がかなり多かった。冒頭の夏と朱音さんのやりとりとかも面白かったし、途中の夏と弥生の会話とかも笑いながら見ていた。

・笑える場面が多かったと書いたけど、泣ける場面もめちゃくちゃたくさんあったな。物語的にはそこまで大きな展開もなく、大事な情報の開示とかもあんまりない、繋ぎの1話という感じがしたのだけど、私はかなり好きな回だった。重いシーンが少ない分、何回も繰り返し見たい回。

・夏と弥生って、1~3話までそこまで恋人っぽい関係性が描かれていなかったような印象があるのだけど、どんどんそういう部分も描かれるようになってきて、良きです。髪結ぶの練習しとく?のシーン好きだな~。

・朱音さんと海がグラウンドで白線沿いに歩くシーンも好きだった。「みんなで考えよう」「夏くんもみんな?」「うん、みんな。家族みんなで」というやりとりのあとに弥生を映すの、やってんね~!という感じがした。弥生は「みんな」、「家族」に入っているのかという問い。

・今回は特にだけど、本当に優しい家庭で温かい家族の形ばかりが描かれている。弥生の家族はそこまでうまくいっている感じではなかったっぽいから、温かい家族たちが描かれるたびに弥生のことを考えてしまってちょっと泣いちゃう。本当に弥生には幸せになって欲しい。

・水季と夏の母親も重ねてくるのか。ほんと凄すぎ。

・今回も水季と弥生の対比があった。美容院に行く時間とお金がなかなかできない水季と対比して、好きに美容院に行くことのできる弥生。

・津野というやつは本当になんでそういうことを言っちゃうかな。自分が必要ないとか言わないで~、と思っちゃう。

・「血でも法律でも繋がっていないですからね、弱いもんですよ。側にいただけの他人なんて」という津野の台詞が印象に残っている。悲しいしさみしいことだけど、それが現実なんだと思う。実際に海や夏みたいな人たちがいたら、津野なんてあっという間に海とは会わなくなってしまうだろうし、海の人生にはもう関わらなくなっていくだろう。このドラマは、そんな津野みたいな人を離さずにずっと描いてくれる。海にとっての主要人物じゃなくなりつつある人物を、ちゃんと描き続けてくれる。

・弥生が外側にいることはこのドラマでずっとうっすら描かれているけど(これからどうなるか......!)、津野はそのさらに外側に位置する人物で、これから津野と海がどのような関係性になっていくのかについては凄く興味がある。大人は何か役割がないと子どもと関わることがなかなかできないから、普通だったらこのままフェードアウトしていくんだろうけど、どうにかこうにか関わりが続いていくような気もしている。というか、続いて欲しい。

7月30日の日記

この回はかなり平穏で、日常回的な立ち位置だ。笑える場面もたくさんあって、かなり好きな回。

○第6話

・内部と外部の描き方、内野と外野の描き方が本当に上手い。ドラマ内では、夏は基本的にずっと内野にいる人物として描かれていたような気がするけど、今回は家で暮らす場面と、津野と喋る場面の二つで夏が外野にいるシーンが描かれていた。

・今話では、夏が海と朱音さんと翔平さんの暮らす家で生活する場面が描かれる。当たり前でもあるけど、海が普段どんな生活をしているのかを夏はまだ全然知らないわけで、3人の生活を見ている間は夏は外野にいる。

・夏が海の髪を結ぶときの、「できるよ」というセリフ、言い方といい表情といい、可愛すぎた。

・私はこのドラマをかなり弥生の目線で見ている節があるので、夏が水季との思い出を思い出したりするシーンはちょっと「うっ」となる。今回でいうと、海が靴紐を結ぶ時に、海と水季の姿が重なる場面とか。

・図書館で津野が大声を出すシーン、ああいうのを入れられると津野のことが好きになっちゃうな。

・「同じ人に一冊で二回会える」、めちゃくちゃ素敵な考え方。

・「今更南雲さんと向き合おうっていうのは綺麗事ですよね、死んだんだから」というのも凄いセリフだ。津野からしたら、「何で今更......」というのは絶対に消えないんだろうし、視聴者ですら忘れてしまいそうなことを、ふっと取り戻させてくれる。そういう意味でも津野の存在というのは本当に大事だ。このまま、夏と弥生と海が「家族」になって、3人で幸せに暮らすという、とんとん拍子で進んでいきそうな展開を、一歩踏みとどまらせてくれるし、ちゃんと考えさせてくれる。

・津野が夏の編んだ三つ編みをほどくシーンは本当に鳥肌が立った。凄すぎ。何話だったか忘れちゃったけど、海が弥生の差し出したハンカチを無視して夏のところに飛び込んでいくシーンにも似たものを感じた。内野だと思っていたものが、外野になる瞬間というか、その人に対しての勝てない領域みたいなものが現れる瞬間を、スローモーションで残酷に描く。本当にこのドラマは誰かを贔屓して描くことがない。

・そして、今回の一番の衝撃的なシーン。水季と弥生の繋がりについても描かれた。これは全然予想してなかったな。このまま関係性が全くないまま進むのかと思っていたけど、まさかここで二人が繋がるとはね......。泣いちゃった。

8月6日の日記

「同じ人に一冊で二回会える」という台詞、3話で出てきた「フィルムだから、すぐに見れない。今度会う時」という台詞と、言ってることが結構似てる気がする。一回会った時から、二回目があることを確信できる関係性の良さ。あと、津野への愛がだんだんと高まりつつあって面白い。


○第7話

・なんか、今回の話が一番泣いたかもしれない。めっちゃ泣いた。ちゃんと泣いた。

・コロッケというチョイスが絶妙だな。本当に余裕のある人しか作らない料理だと思う。手間を考えると、家で作るよりもスーパーで買った方が絶対に得だ。あと、海の「スーパーみたい!」という感想も良かったな。大人だったら言わない感想も、子どもが言えばそれはそれで良いものとして響く。

・「骨になったら痛くない?」という海の台詞も良かった。この一言だけで、痛そうな水季を間近で、何回も見てきたということが分かる。実際に、この台詞の後で病気が分かった後の水季の姿が描かれていたし。

・「無理しないでね」→「無理です」の会話の流れも最高だった。こういう、人が何気なく、場合によっては優しさで言う言葉に対して、ひねくれにも近い目線で疑いを向けてくる。でも、本当の心配や優しさで言う「無理しないでね」と、ただの儀式みたいな、会話のラリーを続けるためだけの「無理しないでね」はやっぱり違うものなのだろう。

・今回はみかんとヨーグルトのくだりが一番好きでした。

・そもそも、プリンとゼリーのどちらが良いかという質問に対して、第三の選択肢でみかんのヨーグルトを頼む時点で最高だと思っていたのに、さらに「みかんのヨーグルトなくて......」→「みかんとヨーグルト買ってきたんですか」という会話の流れが本当に最高だった。

8月17日の日記

「みかんのヨーグルトなくて......」→「みかんとヨーグルト買ってきたんですか」とかもそうだけど、このドラマは本当に細かいところに、言葉遣いや言い回しへのこだわりを感じるんだよな。

○第8話

・前回からのテーマとして、「繋がりがあるからこそ言えることと、関係のない他者にしか言えないこと」がある気がする。あまり関係のない人物が登場することによって、夏の本音を聞ける回。

・夏に向かって手を振り続ける海、可愛すぎるな。何この子......。1話で思っていた感想も全然どっかいっちゃったな。完全にあの世界で生きている人になっている。

・今回は夏の血の繋がっている父親が出てくる回だった。なんか、もっと分かりやすく悪役っぽい感じの人が出てくるのかとも思っていたけど、かなりリアルな男という感じがした。

・最初の印象はそこまで悪くはないのだけど、でもやっぱり嫌な感じもある。なんなんだろうな、この感じは。しょうもないんだけど、その自分のしょうもなさも全部分かっていて、目をそらし続けている。しょうがない、なんて思っていそうなしょうもなさ。

・この夏の父親、絶妙にいそうなんだよな。責任感が無くて、可愛いがるだけ、面白がるだけ。でも、見ているとこういう親(特に父親)って本当にありふれているような気もしてくる。

・夏と夏の父親が喫茶店で別れた後、不器用な夏の父親像が示されるのだが、やっぱりこの夏の父親は嫌いだ。キモい不器用さ。でも、この嫌さというのが実は自己嫌悪に近い気もしている。

・夏の説明の下手さ、みたいな部分についても触れられていて、「ここで夏の説明不足、説明の下手さが出てくるのか~」と驚いた。悪役を夏の父親に押し付け過ぎず、"すれ違い"としても描く、優しい目線がある。

・今回も弥生がチクチク傷ついていて辛いんだよな......。次回はまた弥生にフォーカスされそうで楽しみ。

・津野と弥生が喋っている時が一番リラックスして見れる気がするな。

1話で感じていた海への厳しめの目線がもう完全に甘くなっていて、うみちゃんかわいい、になっている。
津野と弥生の絡みは最終話でも出てきたけど、やっぱりこの2人の空気感は凄く安心する。他人すぎて。

○特別編

・今回は物凄くリアリティーのある回だと思った。人間を物凄く正確に描いている。水季の考えていることが、本当に、胸が痛いほどよく分かった。もちろん、私が水季と同じような経験をしたわけではないし、共感したというわけでもないのだけど、凄くよく「分かる」。私は思ったことがないけれど、多くの人が胸に秘めているかもしれない感情が本当に精密に描かれているような気がした。

・見ながら、「子どもによって死んでいく母親」みたいなことを考えていた。子どもがいることによって、ある種「殺されて」いく水季の姿が、そこに色々な感情を含めながら静かに描かれている。子どもがいることによって諦めなければならないことや、子どもを大切に思えば思うほどに死んでいく自分が、言葉にしなくても詰まっている。それを、極端に不幸っぽく描くわけでもなくて、ただ、現実として、リアルとして描く。子どもがいることで幸せになっている自分もいれば、一方でそれによって殺されていく自分もいるということを、ただ、そこにある現象として描いている。

・特に、「津野と結ばれて、津野との子どもが欲しいと思った時に、海のことを邪魔だと思うようになってしまうかもしれないのが怖い」という水季の独白は凄かった。現実だと言葉に出さないようにすることで、必死に気持ちを消すようにする酷い(でも確かに存在すると思う)感覚を、水季を通して言葉にして外に出す。水季がこれを語ることによって、救われる人もいるんじゃないかと思うほど、大切な言葉だと思った。これはフィクションにしか為し得ることができない。

・そして、そんな水季の姿が描かれた後に、弥生を誘う夏の姿も描かれる。女性にしか子どもを産むことはできず、だからこそ父親は母親に比べて子育ての負担が少なく、親としての当事者意識を持ちにくい。出産や子育てにおける男女の比重の違いを描きつつ、夏を批判しているわけではない。夏は何も知らない。知らされていないから、どうすることもできない。ただどちらかを批判したいというよりは、男女の比重の違いをただ明らかにしたいだけなのだという感じがする。これはこのドラマにずっと通底しているテーマだ。

8月27日の日記

個人的には1位の回。本当に凄すぎる回だ。これ、特別編で本来は放送されない予定だったから、私が見ていない可能性もあったと考えると恐ろしい。素晴らしい回だ。そして、津野への愛が完全に爆発する回でもあります。

○第9話

・服屋で、弥生が「お母さん」と間違われるシーン、その前のシーンで、弥生が迷子の子に「ママは?」と聞いて「パパ」と言われるのを挟むことによって、社会のありふれている偏見を暴くとともに、弥生もその中で、その目線をもって生きているということを描いていて、凄い。弥生だけが被害者のように描くのではなくて、弥生が持つ目線によって弥生が傷ついている(でも、自業自得とかそういう話ではない)という、凄く対等な描かれ方をしていた。このバランス感覚は凄く意識しているんだろうなという気がする。本当に、神経質なまでに誰かを偏って描くことがない。

・津野が出てきた瞬間、一気に安心するな......。「お友達......では、ない......」と笑いながら言う津野、良すぎる。その後の水季とのシーンでも感じたけど、ちょっと津野のこと好きすぎるかも。特別編を通して一気に好きになった。初登場時にはこんなに好きになれるとは思っていなかった。

・その後、夏と弥生が出会った時のリフレインをするような会話をする。親しい人たちがわざと敬語で話すの、めちゃくちゃ好きなので、このシーンはたまらなかった。

・そして最後の切ないシーン。切ないけれど、弥生のためを思ったら別れた方がいいのでは、と私は思っていたから、ハッピーエンドに向かう一瞬の苦しい場面という見方をしていた。

・弥生が電車の中に入って、夏に背を向けて座るカットで、ここは弥生の決意の固さを示しているのかなと思っていたけど、その後、泣いている弥生のカットがアップで映し出されて、これは夏に涙が見えないようにするため、自分の決意を揺るがなくするためなのではないかと思い直した。多分、弥生が泣いているのを見たら、夏はより引き留めようとしたり、そのままズルズルといってしまう場合もあるだろう。実際、ホームでの2人にはその雰囲気がうっすらあった。けれど、弥生は賢いから、それでは駄目だということが頭で理解できている。だからこそ、自分の決意を揺るがないようにするためにも、夏の方を見ないようにしたのだ。良い場面!

・なんだかんだ言って弥生と夏と海の3人で生活していくのかと思っていたけれど、ちゃんと結論を提示されると、そうあるべきだったというか、それが自然のように思えてくる。ちゃんと説得力があるし、結論ありきで物語が組み立てられている感じがなく、本当に「弥生という人格が自分で考えた結果出された結論」という感じがした。

・次回はいよいよ夏と海の2人の関係性にグッとフォーカスされそうな気配がしてきた。

・これまで、海はずっと大人の理想的な姿として描かれてきた。わがままはあまり言わないし、大人のとって欲しいリアクションをする。分かりやすく「良い子」だ。でも、実際の子ども(人間)というのはそんなものではない。大抵の場合、子どもの方がわがままで、もっとぐちゃぐちゃとして言語化できない、そして自分でもよく分からない感情をたくさん持っている。私の中で、まだ海はフィクションの中にいる。海だけがフィクションの中にいる。だから、フィクションの壁を越えて、もっとリアリティーの中に私を連れていって欲しい。もっとあの世界の中に私を連れていって欲しい。このドラマでは、もしかしたらそれができるのではないかと願っている。

9月4日の日記

神回!1話で予想していた展開とは真逆とも言える展開になったのだけど、でも、ちゃんと納得感があったんだよな。2人の別れは、2人にとっても、見ている人にとっても辛くて悲しいものだったけど、必要なものだったような気がしている。
最後のところ、今読み返すとかなり熱いことを書いてるな。

○第10話

・ようやく夏が「シングルパパ」について検索する場面や、子どもにかかるお金について検索する場面が描かれる。ここでそれがわざわざ描かれるということは、これまではしていなかったということで、ようやく親になるという自覚が芽生えた(遅い......。弥生を見習って欲しい)ということがサラッと描かれる。

・ここにきて、夏の会社の上司がしっかりした人に見えるというのも面白い。ちゃんと現実的に物事を考えられていて、夏が"父親"になったからこそ、別角度から見えてくるものがあるんだろうな。

・これまで、夏と海の物理的な距離について、あまり意識したことはなかった。ドラマでは、カットが変わるたびに2人は当たり前のように一瞬で出会っていた。けれど、一緒に暮らすとなるとそういうわけにもいかない。

・ちょっと津野が一番好きかもな......。

・津野といい、弥生といい、海にとっていい大人たちはいるのだけど、親という存在がいない。その事実、その現実の重たい空気がドラマの中を包み込んでいて、ずっとしんどい。前回もそうだったけど、本当に現実を描いているから、ここまできて離脱してしまう人もいそうな気がする。いや、ここまで見たからこそ、もう見れないよ......となっちゃいそう。私は見ます。ここからもっと辛くなっていきそうだけど......。

・色々なことを色々な人が言うから、夏も辛いよな......。夏は、自分のこうしたい!という気持ちがそんなに強くない人だから、色々なことを言われるとその分悩んじゃうタイプな気がする。もしかしたら、みんなが敵に見えてきてしまう可能性もある。

・という前提があって「誰も悪くないんだから、ちゃんと大丈夫なところに流れつくよ」という弥生のセリフ。このセリフ本当に好きだったな。

・夏は海の意思を凄く尊重していて、色々な判断を海にある種委ねている。子どもに選ばせないのも残酷だけど、子どもに選ばせるのもすごく残酷で、夏ー弥生の関係性もそうだったけど、どっちを選んでも辛さはつきまとってきて、全てを手に入れるウルトラCの選択肢はない。何かを選べば何かは失われて、そして、正解というものも存在しない。そういう"現実"がちゃんと描かれている。

・学校は、海と水季を繋ぎとめているものでもあった。夏にとって想像することしかできないものを、海は記憶として確実に所有していて、海はそれを大事にしている。その差が、縮まることは今後もうない。津野にキツイことを言われている次回予告を見て、それだけで泣いちゃった。

・夏が思った以上に「一人で!子育てをしていくんだ!」と思っていそうで心配だった。自分たちの家族や、南雲家、さらに、弥生や津野までいるんだから、そんなに気負う必要なんてなくて、所々周りに頼っていきながら海の幸せを考えていけばいいんだよ......。

・でもこれ、弥生や津野が海の「家族」にならなかったことで、「子どもを社会全体で守っていく」というテーマになっていきそうな気がするな。親にだけ押し付けられてきた負担を、うまく周りの大人たちが分担して、みんなで子育てをしていくという結末に落ち着きそうだ。

9月11日の日記

「親にだけ押し付けられてきた負担を、うまく周りの大人たちが分担して、みんなで子育てをしていくという結末に落ち着きそうだ」→本当にその通りになっている。夏がうまく甘えることができたからこそ、"外部"の人間になってしまった津野も弥生も、大好きな海ちゃんと会い続けることができる。親にしかできない領域はもちろん現実的にあると思うのだけど、でも、それって私たちが考えているよりももっと狭いものなのではないだろうか。

○第11話

・「誰も悪くないんだから、ちゃんと大丈夫なところに流れつくよ」という弥生の台詞が、逆説的な伏線として機能している。誰も悪くないのに、全員が傷ついていて凄い。「家族」から逃れた津野と弥生だけがあんまり傷ついていなくて、もっと凄い。

・水季と海にしか持ち得ない記憶、思い出が徐々に開示されている。これらはその中のほんの一部で、海の中には、もっと無数の、水季との記憶が眠っているはずだ。

・「困ったことがあったらなんでも言ってね」という大和の言葉に「大丈夫!」と返す夏。そこは「ありがとう。助かる」だろーが、だろーがよ!という気持ちになった。前回から夏に対して微妙なズレというか、もっと上手くできるのに......というもどかしさを感じている。

・母親の不在を何度も確認する海、それを何回も聞かされる夏、消費期限が切れることが確定しているオレンジジュース、それを見てうんざりする朱音さん。数分の日常の中に、少しゾクッとするような要素が散りばめられていて面白い。緊張感が漂っている。

・自分の生活の中に誰かがいて、そしてその誰かがいなくなっていく。海にとっては水季で、朱音さん、翔平さんにとっては海(水季も)で。寂しそうな朱音さんと翔平さんを見ているのは辛かった。リビングで泣く朱音さんとか、もう、見ていられない。気がつけば朱音さんのこともめっちゃ好きになってる。

・やっぱり、海や夏にとっては、弥生が側にいた方が良い。ということを、別れてから何度も見せてくる......!憎いぜ。

・「海ね、夏くんいなくて寂しかったことないの」→この台詞、凄すぎ。海が生まれた時には、もうすでに夏はおらず、水季と2人で暮らすという生活が当たり前だった。海は父の不在と母の不在を両方経験しているが、元々いなかった父と、いなくなった母では、その重みは全然違う。

・「なんで大人は死んじゃうことを"なくなる"って言うの?」→これも凄すぎる。ほんとすいませんって感じになっちゃった。私もよく使うから。いなくなったからといって、いなかったことにはならない。これは、多分希望だけど、でも、今回の海に対する夏の対応は、それがないがしろになっていたような気がした。夏は海に対して、水季の代わりをやろうとしているように感じる。でも、代わりは不可能だ。

・海の選択を尊重したからこそ、海がこんなに傷ついている気がするんだよな。子どもの選択を尊重するということは子どもに責任も押し付けるということで、ここが物凄く難しいところだなと思う。だから全部大人たちが決めていいとはならないけど、今回は海が選んだことによって傷ついている。それが正しいみたいな見方もできますが......。

9月18日の日記

今思うと、最終話に繋がる完璧な1話だったな。弥生との関係が清算されて、次は夏と海、そして水季の方にグッとピントがあっていく。夏が仕事を変えるのか、海が転校するのか、そのまま海が祖父母の家で暮らすのか、色々と選択肢がある中で、当たり前だけど正解はないし、提示されもしない。でも、ドラマ内でみんなの意見が提示されて、場に揃った中で選ばれたから、ドラマとしてすごくフェアだなという気がした。何かの選択肢を、都合よく見ないフリをしていない。

○第12話

・冒頭からやばすぎる。水季と海の2人の暮らしを最初に描くのは、このドラマでも結構やっていた印象があるけど、最終回にして3人の暮らしをIfとして描くのか......!

・この場面があったからかもしれないけど、今回は特に水季の不在を強く感じた。水季は、ドラマの中では過去の場面として出てきていて、ずっといたから、私の中であんまりいなくなった人ではないような気がしていたけど、今回、ようやく水季が死んだということを実感した。そして、これまで以上にかなしくなった。水季がいないということは、こんなにも寂しいことなのか......。

・あ、おにぎりをラップで包んでたのか。「え、床に置いた......?」と一瞬思っちゃったな。

・南雲家、月岡家、弥生宅での生活を、それぞれ独立した形で描く。本当に締めくくりとも言えるシーンの連続で、終わってしまうのがすごくさみしかった。

・夏の、「一緒にいた人がいなくなるのと、最初からいないのは違うから」という台詞、ちょうど先週の感想で私も同じことを書いていたから、勝手にテンションが上がっちゃった。

・夏の家に津野が来るという、視聴者としても一番理想の展開になった。夏と弥生の別れもそうだけど、視聴者の「そうなれば嬉しい」を絶対叶えてくれるドラマではないから、期待していた展開が来たときの嬉しさったらない。

・津野のこと、本当に好きだな。

・やっぱり、周りの親ではない人たちの助けによって子どもが育っていく環境の素晴らしさというか、そういうものをヒシヒシと感じた。地域というくくりが希薄になって、子育ての比重が親だけに傾いている、というようなことはよく言われているけれど、このドラマを見ていると、津野や弥生のような素敵な大人たちと気軽に会える機会というのは、子どもにとってとても大切なものになると感じた。

・朱音さんが夏に向けて言うはじめてのこと。親よりも先に子どもが死んでしまうことの辛さ。子どもも遺影を選ばなければならない苦しみ。それらは、これまで夏に語ることの無かった言葉で、それをこのタイミングで言うということは、夏を海の親だと、海のことを安心して任せられると思ったからではないだろうか。この辺りのシーンも本当に良くて、ずっと泣いちゃってた。

・数話前に比べて、夏がちゃんと父親に見えたし、海は大人になったように見えた。

・さっき、水季の不在について書いたけど、もしかしたら、夏がちゃんと父親に見えたから、母親の不在を強く感じるようになったのかも、と、書きながら思った。

・私の考える良い物語の一つの要素として、「主人公以外の人も主人公に見える」というのがあるのだけど、このドラマはまさにそれだった。津野も、弥生も、朱音も、どうやっても主人公に見えるんだよな。逆に、夏の主人公性をあまり感じなかったまである。

・最後はやっぱり海で終わる。完璧すぎるぜ。

9月24日の日記

冒頭の場面は本当に鳥肌がたった。これまで描かれることがなかった(理想の?)生活を、水季がいない中で見せてくる残酷さ、命の、どうしようもない儚さ。
夏の家にみんなが集まってくる展開は、『いちばんすきな花』でもあった。最終話特有の、登場人物が全員大集合するワクワク感が好き。でも、唯一特徴的なのが、夏がこの場に参加していないということだ。


○最後に

長々と書いた感想を読んでくれたみなさん、ありがとうございます。そして『海のはじまり』を作ってくださった方たちも、本当にありがとうございます。毎話毎話たくさん語って、言うことがないと思うくらい完璧な回でも、たくさん語って、私にとってとても大切なドラマになりました。

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