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Let's Readの調理法その2~ジグソーリーディングの手法を添えて~

中学校の教科書にはLet's Readという長文の読み物教材があります。新しい文法はなく、既習の文法事項がふんだんに使われており、読むことを楽しむ教材になっています。自分はこのLet's Readを教えるのがとにかく苦手で避けてきました。単語だけやって教科書準拠のDVDを見せて終わったり、Q&Aをやったりしていましたが、読むことを楽しむといったレベルではなかったように思います。

最近はようやくLet's Readを楽しく学習することができるようになってきたかなあと思っています。

さて、今年度は中学2年生を教えていますが、初めてのLet's Readを教えることになりました。題名はHistory of Clocksです。300語弱と今まで経験したことがないような長さです。今回はこんな流れでやってみました。

1.Pre-Reading


やはり、生徒の背景知識を活性化させ、レディネスを高めておくことが大事ですので、Pre-Readingをちょっとでもいいからやったほうがいいです。

生徒に時計の写真を見せて、What is this?と質問して、It's a watch.やIt's a clock.と答えさせます。その後、Do you have a watch or clock?と聞いたりしますが、メインのQはWhat is the old clock like?です。生徒は「日時計じゃない?」なんてつぶやきますが、その後教科書の挿絵を見せます。地面に棒を指したものや、瓶に穴をあけ、その水の量で時間を計っている絵、ろうそくに目盛りがついて、それが時間を告げている絵などを見せ、古代の時計について紹介します。

ねらいはこれから読む長文に興味を持たせること、時計に関しても知識を活性化させることです。

2.First Reading


次に教科書を開かせ、本文を聞かせます。教師用のデジタル教科書にはpicture cardと字幕がありますので、それを大画面テレビに映しておきます。タスクとして、古代の時計の写真に年代を書かせる空欄があり、それに数字を書き込ませます。答え合わせでは、まずペアどうしで確認させますが、当然こんな話だったよね!といったやり取りがあります。読んだら、自分の理解があってるか確かめたくなりますよね。この「読みたい!」という気持ちにさせることも大事です。

ねらいは長文の大意をつかませることです。

3.Second Reading


次に個別で読みます。読むスピードの目安として、100語の長文を100秒で読めれば中2レベル(60words/m)、半分の50秒で読めれば中3レベル(120words/m)としてやっています。ネイティブは大人で300words/m, 14歳で250words/mと言われているそうです。高校入試の長文が1500語ぐらいあるので、120words/mあれば15分ぐらいで読める・・・。まあ妥当なところかなと思います。

5分の黙読時間を与えた後は、ペアで分かったことの確認です。

ねらいは、まず一人で読み切る経験を与えることと、大意をつかんだ後、もう少し詳しく読み込むことです。

ここらあたりで、この活動の最終目標について生徒に伝えます。最終目標は「History of Clocks」を読んで、今日こんな物語を読んだよということをALTに自分の言葉で伝える、です。

4.Jigsaw Reading


次に、一文一文の意味を詳しく理解します。この英文は8パラグラフで構成されています。4ページ構成で1ページに2パラグラフずつ掲載されています。もうJigsaw Readingやってね!という教科書会社の意図が見えます。

4人グループを作ります。そして、1,2パラグラフを担当する生徒、3,4パラグラフを担当する生徒、5,6パラグラフを担当する生徒、7,8パラグラフを担当する生徒を決めます。

次にそれぞれのパラグラフを担当する生徒が集まり、和訳します。生徒は自分の元のグループに戻ったら、自分の担当のパラグラフの和訳を説明しないといけない責任が生まれるので、必死です。

訳し終わったら、元のグループに戻り、それぞれのパラグラフの和訳を伝えます。

5.Drawing Pictures


History of Clocksがどういう話だったか伝えるためのメモづくりをします。パラグラフの内容を伝えるためのメモ用紙を渡しますが、そのメモに書ける(描ける)のは絵とページごとに3つの英単語までです。伝える文は教科書と同じでなくてもかまいません。内容が同じであればよいことを伝えます。

ここで評価基準を生徒に伝えます。1文につき1点です。ただし、1パラグラフにつき1文は最低言うこと。接続詞 if, becasue, whenを使った場合は2点とする。これだけです。生徒は何を伝えるべきか、何度もHistory of Clocksを読み返し、絵を書き、どの単語をメモするべきか試行錯誤します。

何度も読み返しなさいと言わなくても、生徒は何度も何度も長文を読み返します。

生徒のメモ例その1
生徒のメモ例その2

6.Retelling


生徒はメモをもとに、History of Clocksの内容を伝える練習をします。生徒にはタブレットがあり、デジタル教科書を使って、音読の練習をします。以前であれば、教師が範読をして、何度も練習して、分からないところを教えるといった学習が必要でしたが、デジタル教科書があれば好きな部分を何度も「遠慮なく」聞くことができます。内気な生徒は教師に質問することも難しい場合もあるので、デジタル教科書が非常に意味を持ちます。

そして、いよいよテストです。生徒は自分の声を録音します。そしてPadletに投稿します。制限時間を10分として、その間であれば何度トライしてもよいことにします。

評価はALTにお願いします。Padletのリンクを渡しておけば、学校に毎日いるわけでないALTも評価しやすいですね。

7.振り返ってみて


中学2年生にとって初めてのJigsaw ReadingやRetellingであり、新鮮な活動のようでした。しかし、動きがある活動が多かったので、暇にしている生徒や寝る生徒は皆無です。

生徒の振り返りは以下のようなものでした。

・何か話を人から聞いて、誰かに自分の言葉で伝えるということは、日常の生活や自分が海外に行けばあることなので、やりがいがある活動だった。
・自分の担当のところはグループに伝えないといけないので、やらなきゃ!と思った。

この活動をやった後の自分自身の振り返りの記事を書きましたので、よろしければ読んでみてください。


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