Retellingらしいものをやって気づいたこと
中学生に英語を教えている公立中学校教師です。キャリアとしては20年以上になります。ここ最近はretellingを授業に取り入れることが多いです。retellingとは英文を聞いたり読んだりした後、 キーワードや絵をヒントに、英文を再構成して「自分の言葉」で話す活動です。
自分で行ったretellingらしい活動は以下のようなものがありました。
このほかにもretellingらしい活動をやってみていますが、「らしい」と付け加えたのは、いまだに自分はretellingをしっかりやっているという自覚はなく、中学生に合わせたretellingらしい活動をやっているに過ぎないなという自覚があるからです。
そのうえで、retellingらしい活動をやってみて気づいたことを覚書として、列挙します。上記のリンクの「Let's Readの調理法その2~ジグソーリーディングの手法を添えて~」を読んだ後に、以下の話を読んでいただければありがたいです。
1.recalling と変わらない活動になってしまう
これは課題点です。
retellingは読んだり聞いたりしたことを「自分の言葉で」伝える活動です。読んだり聞いたりしたことをそのまま、あるいは、ある程度省略した形で伝えるのはrecallingです。
つまり、retellingは
聞いたこと読んだこと→絵やキーワードで表す→自分の言葉で表現する
recallingは
聞いたこと読んだこと→絵やキーワードをきっかけとして、本文を思い出す。
自分がやっていた活動はどちらかといえば、本文を思い出すために、絵やキーワードを書かせており、(もちろん本文と内容が同じであれば、違う文で表現してもいいよとは伝えているものの)生徒はできるだけ、教科書本文を再現しようとしているようでした。
実際の言語使用を考えれば、自分が見聞きしたものを概念化し、それを内在化した文法を使って、誰かに伝えるために表現するということが頻繁に行われるため、このretellingという活動は非常に効果的です。しかし、自分は読んだり聞いたりした英文を「そのまま」生徒に再現させることにとどまっていることが問題です。
大学で第2言語としての英語(ESL)を教えている嫁にこの話をしたところ、やはり同じことを指摘され、生徒が発話しているものがrecallingの域にとどまっていることが気になるということでした。解決方法としては、一週間ぐらいして英文を忘れたころに、定期的にretelling活動をやることじゃないかなというありがたいアドバイス。たしかにもともとの英文は忘れているけど、話の内容などは絵やキーワードを通して覚えているので、「自分の言葉」で表現する練習になると思います。これを通して、教科書本文が「自分の言葉」になれば、しめたものです。
また、評価の観点として「オリジナリティ」などの項目を挙げれば、生徒は「自分の言葉」で表現しようとするかもしれません。
2.生徒のレベルに合わせやすい
これは良い点です。自分はretellingを2年生の夏休み明けに初めて行いましたが、生徒にとって初めてのretellingであり、単なる暗記ではないところが大変チャレンジングであり、難しいと感じた生徒が多かったようです。
しかし、英語が苦手な生徒でも1文言えていたし、英語が得意な生徒は3分近くしゃべり続けていました。内容を聞くと、言い換えがあったり、間違った文法を自分で言い直すなどの行動が見られ、これも実際の言語使用に近い行動だと思います。
3.ICTとの相性がとてもよい
これも良い点です。retellingの練習をするとき、本文の音読活動は欠かせませんが、生徒は生徒用のデジタル教科書を用いて音読練習をします。自分が聞きたいところを何度でも聞くことができ、しかもスピードも調節できます。生徒のretellingを聞くと、リンキングができている生徒が非常に多く、何度も教科書本文を聞くことができたメリットだと思います。
また、retellingの提出はpadletで行いました。ICTがなければ、一人ずつ聞かねばならず、膨大な時間がかかります。padletで音声データを提出させれば、テストは10分ぐらいで終わります。あとはALTに採点をお願いすれば一件落着。
このようにretellingはICTと相性がよい活動であると感じました。
4.生徒が寝ない&集中する
もともと私の英語の授業では寝る生徒は皆無ですが、特にこの活動はジグソーリーディングを含めて、寝る生徒はいません。また、自分のレベルに合わせて活動できるので、非常に集中した様子でした。もちろん生徒にとって初めての活動だったので、それも関係しているかもしれませんが・・・。
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