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【語り×浄瑠璃】琵琶法師耳無譚(みみなしほういちものがたり)

 2023年9月7日(木)、表参道にある銕仙会能楽研修所に、『琵琶法師耳無譚(みみなしほういちものがたり)』を聴きに行きました。
 9月30日(土)には大阪でも上演されるそうです。

■あらすじ・構成等

小泉八雲が江戸時代の怪談をもとに再話した「耳無し芳一」は、盲目の琵琶法師芳一が、平家の怨霊に招かれて夜ごと「平家物語」を語り、ついには耳をちぎりとられてしますお話です。

配布されたチラシ・鑑賞ガイドより

 今回は、この原作を下敷きにしています。
 文楽の豊竹芳穂太夫さんが原案・作詞、同じく文楽の鶴澤友之助さんが作曲、俳優の金子あいさんが、構成・演出・脚本となっていました。古典監修は野澤千佳子さんだそうです。
 舞台上では、芳穂太夫さんと金子さんが語り、友之助さんが時として琵琶のように(!)三味線をひかれました。

■印象に残った点
①友之助さんの三味線が琵琶のようでした。
 文楽では、三味線が色々な音色を出しますが、今回、まるで本当の「琵琶」のようでした。
 ポストトークでも話が出ていてましたが、琵琶駒というものを取りつけるようです。(あまり書いて誤りになってしまうとまずいので、これ以上は控えます^^;)

 他にも、様々な技術を駆使していたようで、文楽とはまた違った三味線の側面を見ることが出来たように思います。琵琶(ここでは三味線)にスポットライトが当たる「耳無し芳一」ならではの面白さと言えましょう。

 場面としては、墓場で鬼火に囲まれながら(もちろんセットはありません)琵琶を語る場面や、芳一が稽古を積む場面、最後に阿弥陀寺での平家の武将とのやり取りする場面など大変盛り上がりました。

②語りの役を固定しないところが良かったです。
 語りを、芳穂太夫さんと金子さんのお二人で担当されていましたが、役が固定されていませんでした。
 例えば芳一の声を、時には芳穂太夫さんが語り、時には金子さんが語ります。役を固定しないことによって、色々な登場人物が出て来て、それを演じ分ける世界が広がるように思いました。
 語りでは、平家の武将の語りが、個人的には一番良かったです。

■最後に
 国立劇場でチラシを見たときから、大変楽しみにしていた公演でした。
 私は素浄瑠璃でも時々眠ってしまうことがあるのですが、今回は上演時間1時間、かなり集中して観ることが出来ました。

 金子さんは、平家物語の語りなどもされているみたいで、他の作品も聴いてみたいなと思いました。『子午線の祀り』にも出演されているのですね。
 また、帰宅してから、『文楽名鑑』で芳穂太夫さんと友之助さんのページを見てみました。やはり、個別の演奏会を聞いたり、トークを聞いたりすると、より印象に残ります。

 今回は、三味線の素晴らしさや、語りの世界などなど、また視野が広がったような気がします。とても良い体験・経験が出来ました。
 「耳なし芳一」はオススメの演目です。

 本日は以上です。

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