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友枝會(能)の鑑賞

2022年11月6日(日)、国立能楽堂で、能楽の友枝會の公演を鑑賞してきました。いつもは、国立能楽堂主催の公演を観ることがほとんどなのですが、『翁』という観てみたい演目があり、参加しました。以下、番組の順番に、メモと感想を少し記載したいと思います。

■能『翁・白式』
『翁』は「能にして能にあらず」と言われます。別名『式三番』とも呼ばれ、日本舞踊で式三番叟を観たのが初めてだったのですが、能で観てみたいと思い、鑑賞しました。

当日配布されていたパンフレットに、金子直樹先生の解説が載っていて、すごく分かりやすかったです。少しだけ引用します。
・小鼓が三人登場することも『翁』の特徴
・喜多流の「白色」は、翁の装束(着付、狩衣、指貫)が白色となり、位の高い清浄さが強調される。また、揚幕も通常のものではなく、白色の揚幕を用いる。
・露払いとしての千歳の舞
・(翁の)天下泰平・国土安穏を祈る祝言の謡と、三節に分かれた荘重な祝の舞(天地人の舞)
・(三番叟の)「揉ノ段」は面を掛けず、掛け声を発しながら勢いよく足拍子を踏む。両足を揃えて飛び上がる鳥跳びの型などもあり、リズミックで躍動感あふれた舞。
・(三番叟の「鈴ノ段」は)徐々に速度が上がり、足拍子や種蒔きの型なども入れ、生命の躍動を思わせる鈴の音が特徴。
(引用ここまで。多くなってしまいました。すみません。)

今後、何回『翁』を観られるかわかりませんが、詞章を追い、舞の解説などを意識して、観てみたいと思います。

■半能『絵馬・女体』
能のストーリーを調べると、個人的に面白そうなストーリーだな、と思いました。半能ということで、今回は後場だけでした。可能ならば、いつか前場も観てみたいです。本(天野『能楽手帖』)で調べた前場と後場を少しだけメモしておきます。

<前場>
老翁夫婦が、新たな年の天候を占う絵馬を掛けるにあたって、白黒いずれの絵馬を掛けるかで意見が合わないが、結局、万民のために二つの絵馬を掛けることになる。

<後場>
天岩戸神話。天照大神、天鈿女命(あめのうずめのみこと)、手力雄命(たぢからおのみこと)。

■狂言『八句連歌』
何某(シテ、野村萬さん)と貸主(アド、野村万蔵さん)が行う連歌のやり取りの裏に、借金の返済をめぐる攻防が隠されています。連歌を細かく聞き取れなかったのですが、またまた金子先生の本から引用させて頂きます。『狂言鑑賞 二百一番』より。現代語訳は省略します。こうした歌が織り交ぜられた狂言は、私は好きです。

何某「花盛り御免あれかし松の風」
貸主「桜になせや雨の浮雲」
何某「幾たびも霞に侘びん月の暮」
貸主「恋責めかくる入相の鐘」
何某「鶏もせめて別れは延べて鳴け」
貸主「人目もらすな恋の関守」
何某「名の立つに使いな付けそ忍び妻」
(「付けそ」は「告げそ」と弁解)
貸主「あまり慕えば文をこそやれ」

■能『猩々乱』(しょうじょうみだれ)
「猩々(しょうじょう)」とは、伝説上の動物のようです。
高風という親孝行な若者が、潯陽の江のほとりで、猩々と酒を酌み交わすことになります。「乱」という小書がついているときは、猩々が通常の中ノ舞に替わり、特殊な舞である乱を舞うそうです。
今回、初めて乱をみましたが、そろりそろりと足を運んでいるような印象を受けました。お酒を飲んでいる設定からくるのでしょうか。

長くなりましたので、今回はここまでにします。
以上です。

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