見出し画像

大陸ドラマは何故「ブロマンス」なのか? 二次創作活動とSNSでファンが気をつけること

中国大陸で同性愛はタブー

中国では長年、同性愛は流氓罪として扱われてきました。1997年に法改正されたものの、現在でも、同性愛は性的精神障害として差別する風潮があります
中国国内にも同性愛のコミュニティはあるのですが、自由恋愛は”一応”認められているというだけで、政治的問題として取り上げないことが絶対条件です。
同性愛の認知や人権獲得を訴えたり、中国社会(共産党)に影響を与えるであろう行動をすると制裁の懸念があるという現状です。


BLにまつわる実際に事件化した出来事

BL官能小説家の逮捕
BL官能小説家 天一氏は、違法出版物で多額の収入を得たとして、一審で懲役10年半を言い渡さています。同じく、氏の作品の表紙を手がけたデザイナーも懲役4年の判決が下されました。

俳優 シャオ・ジャン氏「227事件」
AO3(創作を支援する海外の非営利サイト)に、シャオ・ジャン氏を女性に見立てワン・イーボー氏との交際をテーマにした創作小説が投稿されたことで、これを見たシャオ・ジャン氏のファンが激怒しました。
彼彼女達が政府の監視機関にAO3を通報したことで、中国国内からサイトへのアクセス出来なくなりました。

画像2

ドラマ「陳情令」について
BL官能小説「魔道祖師」を実写化したドラマ作品。
中国国内の同性愛事情を考慮し、タイトルや設定をアレンジし、原作のBL表現をブロマンスへ改変している。原作では藍忘機と魏無羨の恋愛関係や肉体関係が表現されている為、主演俳優の恋愛関係を望むファンもいる。
W主演
魏無羨役:シャオ・ジャン氏
藍忘機役:ワン・イーボー氏

中国の俳優事情

ファンの行動=俳優の責任
中国国内では、芸能活動及びファン活動は政府・テレビ局により規制されています。例えば、民主主義を連想させる人気投票の禁止、共産党や国家から心が離れている芸能人の起用などです。
「227事件」後のシャオ・ジャン氏の事務所は、ファンのBL創作物について謝罪文を公表していますが、一時活動休止まで追い込まれてしまいました。
この活動休止についてもあらゆるメディアから存在を排除するなどの厳しい措置であり、事前に事態を察知した俳優の中にはメディアから消える準備をする方もいます。
また、俳優 チャン・ジャーハン氏の炎上については日本のメディアでも大きく取り上げられました。

キャンセルカルチャーによって廃業に追い込まれる
ブロマンスドラマ「山河令」で主演をつとめたチャン・ジャーハン氏は、「靖国神社」で写真撮影をした事で中国国内から厳しい批判を浴び、契約企業の打ち切り、中国公演業協会からボイコットの要求があり所属事務所の営業免許も剥奪されてしまいました。
「靖国神社」は国際的にも問題視されているところですが、中韓は特に繊細です。

画像2

まとめ

・同性愛は文化的にタブー、関係者が政治的措置で起訴されるケースもある
・芸能活動やファン活動には、政府テレビ局から規制がある
・ファン活動の責任は非公式であっても俳優が負う
・作家の逮捕、俳優の活動休止や廃業が身近にある

では、中国大陸のブロマンス作品を日本で楽しむ場合、私たちが気をつけなければいけないことはなんでしょうか?


二次創作活動・SNSでの発信について

日本では、営利目的でない二次創作活動(同人活動)を著作者・権利者が無視していることもあり、同人誌の頒布やSNSでの発信が盛んです。※認知・黙認されている訳ではありません。作品によっては創作活動を禁止しているものもあります。
しかし、中国では文化・政治的背景から一層注意が必要になります。

NG / 危険行為
非公式のBL二次創作物を不特定多数が閲覧できるインターネットに投稿する
何が起こるか・危険性を知る
レベル1. 俳優の活動休止
レベル2. 作品の非公開、購買規制
レベル3. 俳優や事務所の廃業
レベル4. 関係者の起訴や逮捕
OK
・純粋に作品を楽しむ
・俳優や関係者の中国国内での人権を意識し、節度を持って応援する
・親しい友人との個別チャット(クローズな環境)で感想や創作物を共有する

日本人のタレント相手にも言えることですが、軽い気持ちで始めたファン活動が俳優や関係者を廃業に追い込んでしまう可能性、自分はそのことに責任を負えないことは、常に意識しなければいけません。
異文化の作品であること・文化的背景を知ること・規制や制裁が厳しさを理解し受け入れることが重要です。
郷に入っては郷に従うのが最も正しいファン活動かと思います。


さいごに

ここまで簡単にまとめましたが、どの問題、どの事件も深刻な状況です。ファン活動をする中で知っておかなければならないことばかりだと思いました。是非、ご自身の目で確かめていただけると幸いです。
※これまでの記事は、私が独自にインターネットで調べたものであり、現地で関係者に取材をしたものではありません。NG行為についても非公式・私の見解になります。

魔道祖師、陳情令をきっかけに、この問題に興味を持ちました。中国における同性愛への差別的思考や、表現の規制については初めて知るところもあり、私自身がセクシャルマイノリティーであることから胸が痛くなりました。二次創作活動とは別に、中国国内で同性愛と表現の自由が認められることを祈ります。
閲覧いただき、ありがとうございました。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?