絵が上手いおんなのこ

小学校の時、わたしは絵を描くのが好きだったけれど、クラスの中には他に絵が上手いと評判の女の子がいた。

絵を描くことと言えばその子、というくらいだった。

その子はいつも得意げに絵を描いていて楽しそうだった。

ところがある日、事件が起きた。

町内の学校の絵のコンクールで、わたしが賞を取ったのだ。
その子は賞を取れなかったのだ。

それでその子は凄く、落ち込んでいるというか怒っていたというか、とにかくわたしのことが嫌いになったみたいだった。

わたしは賞を取れて嬉しかったし、絵が上手いって評判な子よりも認められて、自分の描き方は決して間違ってなかったんだ、自分も絵を描いていいんだって安心したし、最高に自己肯定感を得られた瞬間だったと思う。

でも、その子にとっては真逆だっただろうな。

誰かが何かのひとつの分野において、優秀だと認められる時、近くにいる同じ分野の誰かが落ち込んでいることは多いかもしれない。

でも、もう少しその分野を細かく分けると逆転することもあるんだよって思う。

なぜなら、
わたしが賞を取ったのは「風景画」だった。
その子が得意だったのは「人物画」だった。
コンクールの課題は風景画だったから、わたしが賞を取ったのであって、人物だったらその子が取ったのかもしれないね。

「絵」とか「音楽」とかって凄く広い範囲で、その中にはもっと細かく分野がある。
もっとよく探して、その自分よりも凄いって思う人はどんな分野でなのか?
自分とすっかり同じ分野じゃなければ別に落ち込む必要は無いなと思った。
なかなかすっかりおんなじって言うのはレアなんじゃないかな。

その子は、「絵」が上手だよね〜って周りからたくさん言われてて、「絵」が得意だと思っていたから落ち込んで怒ってわたしのことを嫌いになったんだと思う。
直接聞いてないからわかんないけどね。

そんなわたしは今、自己肯定感が低くて落ち込んでいました。
ふと、思い出した思い出。

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