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【評価・感想】あの問題作に続く二作目『マンハント2(Manhunt 2)』レビュー

『Manhunt 2』は、2007年に発売された「Manhunt」シリーズの二作目です。
"2"ですが、前作『Manhunt』との直接的な繋がりはなく、ストーリーやキャラクターを一新して、新しい「Manhunt」の世界を描く作品です。

ストーリー:アメリカの都市"Cottonmouth"にある精神病院。病院内のシステムがダウンし、院内の全てのドアが解放される。殺人犯の主人公は相棒と共に、街へと逃げ出す。

※無料公開期間以降は有料になります


前作を発展させた二作目

パペット●ペット

基本的には、前作『Manhunt』を踏襲したゲームです。
ゆえに、前作のレビューを公開した後では、「改めて書くことがあまりない」というのが正直なところなのですが、全くないこともないので、前作のレビューと被る部分はそちらに任せて、ここでは"前作との違い"だけに絞って書いてみます。

QTEに成功すると敵にバレない

まず前作と比べると、ステルス周りが強化されています。
具体的には、今作では、人感センサーやサーチライト、暗闇を注意深く観察する敵(QTE成功でバレない)の登場によって、「ただ暗闇に隠れていれば良い」では通用しない状況が生まれており、ステルスプレイが少しだけ難しくなっています。
また、主人公が発する音を、周囲の音がかき消してくれる要素も加わり、そうした環境では、仮にステルス中であっても大胆に動くことが可能で、ステルスプレイ時における攻略の幅が少しだけ広がっています。
前作のステルスプレイは、”暗闇の中で音を立てて、ノコノコやってきた敵を倒すだけ”というかなりシンプルなものだったので、それと比べると、今作は、ステルスゲームとしてあるべき方向へ進んでいると言えます。

ちなみに、今作も銃撃戦が多いですが、かなり簡単になっています。前作のようなシビアはほとんどなく、雑に遊んでも何とかなるバランスです。

環境キル

もっとも重要な(!?)処刑は、パワーアップして帰って来ています。
刃物や鈍器を使うと言った前作でも可能だった方法以外にも、今作では銃を使ったもの、周囲の環境を使ったものなど、様々な方法が追加されており、敵を処刑する方法は多岐に渡ります。
加えて、前作の主人公とは異なり、今作の主人公は、少し素人っぽいところがあり、その一心不乱に敵を仕留めようとする姿が、「画」として見栄えが良いです。
前作よりも技が多彩で、豪快なので、処刑を目当てに遊ぶ場合は、前作からの進化が十分感じられるはずです。

と言いたいところなのですが、今作は肝心の処刑シーンにフィルターが掛かっており、前作と比べると、グロさは軽減されてしまっています。暴力的な表現を目玉にするゲームとしては、中途半端に表現規制が掛かっているのは痛いところです。まあ、PC版やPSP版は、ファイルを弄ることで表現規制を外すことができますが。

主人公が平凡な一般人なのが新鮮?

プレイ面以外に目を向けると、今作のストーリーやキャラクターの描き方が、前作とは対照的です。
前作は、必要最低限の演出と台詞でストーリーを語るゲームでしたが、今作は、それなりの量の演出と台詞があり、映画のようにストーリーを語るゲームになっています。主人公もよく喋るようになり、ストーリーに積極的に絡んで来ます。
ストーリーやキャラクターの描き方に関しては、無理やり「Grand Theft Auto」で例えれば、『Grand Theft Auto III』と『Grand Theft Auto Vice City』くらいの違いがあります。

全体的に、前作を肉付けしたようなゲームです。
前作は"処刑"に重きを置くゲームで、それ以外はかなりシンプルにまとまっていました。そうしたタイトな作りも、それはそれで良かったのですが、今作はそこにいくつかの変更を加えることで、"派手な味付けのManhunt"に仕上げており、その部分で前作と差別化したゲームになっています。

総評

今作は、ゲームとしては、前作『Manhunt』に”ちょい足し”した内容になるので、前作を超えたとは言いませんが、それを土台に新しいストーリーやキャラクターを描くことで、「Manhunt」世界を広げるゲームにはなっています。

個人的には、ストーリーを語る部分は最低限に抑えて、淡々と暴力を描いてた前作の方が自分好みではあったのですが、それ以外は、前作ファン的には、概ね満足できる一作でした。

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