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「次があるかわからない」と言い聞かせて

今日は父の「サービス担当者会議」とやらに呼ばれて、2週間ぶりに帰省した。
帰ってみるとすでに茶色のトンボが飛び回っており、ほんのちょっぴり秋の気配が混ざっていた。

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退院後1ヶ月してようやく、父は「要介護2」と認定された。
退院直後ということと高次脳機能障害があることが決め手だったらしい。
母も足腰が弱っていることと認知症が進行しているため、再審査を受けて「要介護1」と認定された。

90歳「要介護2」と86歳「要介護1」のふたりが住み慣れた家で暮らし続けられるのは、ひとえに介護サービスを提供してくださる方々のおかげである。
少し前なら、過疎化の進んだ集落とはいえ互助が生きていたから、ここまで心配しなかったが、今は疫病コロナによる時代の変革期真っ只中。
極力、人と接することを控えると老人の楽しみと安全の半分以上が消えてしまう。
もう頼るのは介護サービスしかない。

さて話を戻して「サービス担当者会議」とは、

ケアマネージャーが作成したケアプランの内容を各サービスの担当者が集まって検討しあう会議です。
よりよいサービスを提供するための意見を出し合ったり、情報共有をします。
ケアプランを作成したケアマネージャー(介護支援専門員)が中心となり、会議を進めていきます。
多職種間での認識のズレをなくすための目線合わせの場であり、利用者とそのご家族にご理解・ご納得いただいたうえでサービスを提供するためにも必要な場となっています。

サービス担当者会議とは

医療職だったが、介護にはめっぽう疎く・・・。
こんな風に多職種連携して、ひとりひとりの利用者さんをサポートしてくれるしくみを直に体験すると感謝しか湧いてこない。
医療職だけが頑張っているわけじゃない。
むしろ今後は介護の方にもっともっと力を入れるべきだと強く思う。

家の中に入り込んでサービスを提供するのは、並大抵の苦労ではないだろうと推察される。
田舎には根深い、習慣やこだわりや閉鎖的な思想がありそうだし。
認知機能が落ちると、事実とは異なる言いがかり的な対応をされることもあるだろう。
よそよそしくても受け入れられないし、馴れ馴れしくても嫌がられる。
距離のとり方が難しいんだろうなぁ。

それでも、うちにきてくださる方々はケアマネージャーさんを中心にステキな方々ばかりで、本当に信じて頼り切っている(これを信頼っていうのね)。
距離の取り方が絶妙。見ていて感心する。
自分が看護師だったことを恥じるぐらいに。

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父は新しい義歯が入り、少しだけ元気になっていた。
「あのとき死んでいたら、初盆だなぁ。」とぼそっという。
こんなことを話すとき、いったいどういう心境なんだろうと思う。
もう背中のあたりまできているその瞬間を、うっすらと感じとっているのだろうか。
あまり悲観的には見えない。
ジタバタもしていない。
それが自然であるように、語る。

私も少しずつ、受け入れられている(気がする)。
こんな風に時間をもらえるのは、心からありがたい。
どこまでも、子孝行だと思う。

明日も仕事だから日帰りした。
玄関まで出てきて「気をつけて帰れよ。」という父は元気なときと同じ。
あー、いっぱい写真を撮ろうと思っていたのに、1枚も撮らなかった。
いつでも、「次があるかわからない」と言い聞かせているのに。



タイトル画像は”K.zaki”さんにお借りしました。
こんなのがいっぱい飛んでました。
暑いけど、トンボは待ちきれなかったんだな。


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