見出し画像

【日記・釣り】武者んよか魚

(全555文字)
気配は感じる
そこにいるのは分かっている

でも食わない

ウキが控えめに
チョンチョン反応している
でも本命のアタリはこない

恐らく水中では
撒き餌をたらふく食ったアイツが
針についている刺し餌のオキアミを
フレンチキッスで
食うか食わないか迷ってる

くえ…
くえ……
食え………
そこだ食え…………

0.8号の極細ハリスを伝わって
殺気が水中まで響かないように
決して気取られてはいけない

30cm近い棒ウキが一瞬で姿を消す

クンっ…!

合わせは一瞬
ソフトにかつ小さく
手首を軽くひねる程度

それでも
鋭いチヌ針は
確実にアイツの上顎に突き刺さる

一気にラインが走る
レバーブレーキ付きの
シマノのリールに変えてから
釣りの次元が変わった

魚とのやりとりは
竿がほとんどやってくれるが
リールの性能が変わるだけで
こんなに釣りが面白くなるのか
数万円の価値を実感した瞬間

ファイトの末
上がってきた黒と銀色の魚体が
太陽の光を浴びて水中でキラリと光る

60cmオーバーの美しい黒鯛ちぬ

ここまで育つのに
どれだけの時間がかかったのだろう
海の生命に敬意を払い
新しい出会いを与えてくれたことに
心から感謝する

普段から色んな釣りをするけれど
極めて繊細で
神経をすり減らし
程よく肝が冷えるこの釣りは

最高にアートな釣りだと思う

今日も最後まで
釣りキチにお付き合いいただき
ありがとうございました

この記事が参加している募集

釣りを語ろう

よろしければサポート頂けると嬉しいです。頂いたサポートはクリエイター活動費として使わせて頂きます。