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カケラジ#2 予防のための次世代のクリニック

この記事は、YouTubeチャンネル「カケルとミチル」で2020.12.30に配信した「カケミチラジオ#2」の内容を抜粋しまとめたものです。

今回は、児童精神科医のオカタク(oktk@筋トレ×児童精神科医)と、小児整形外科医の中川先生(中川将吾 産前産後のケアをやる整形外科医)の対談です。

ーー中川先生は予防の大切さを訴えてこられましたが、そのための新しいクリニックの構想があるそうですね?

中川先生
赤ちゃんが生まれたあとって、なぜかそこから『家庭ごとに自分たちで情報を集めて子育てをしなさい』っていうような環境に今なってると思うんですね。
赤ちゃんっていうのは知らないうちに育っていくものだって今まで思われてたんですけど、どうやら『周りの人との関わり合い』が発達を進めるうえで非常に重要だということが分かってきて、なかなかそれを知らない状況で子育てに立ち向かうのは難しいんじゃないかと思っているんですよ。

そういう状況なので、運動発達、精神発達をともに進めるために最適な環境っていうものをあらかじめ病院側が用意してあげるっていうのはどうかなと思って。
そうした場ができれば、もしかしたら、もっとみんな不安を持たないような子育てをできるんじゃないかなと思っています。
だから今、そんな新しいクリニックを計画して、その準備段階をnoteとかTwitterとかでいろいろ発信しているんですよね。

ーー具体的にはどういうクリニックなんでしょう?

今までは子供が生まれても病気にならない限りクリニックとか病院って行かなかったじゃないですか?
だけど今考えているのは、赤ちゃんが生まれてからの動き方だとか発達の仕方を定期的にみられるような検診ができる仕組み作りなんです。

ーー今も、何か月かごとに検診はあると思うんですが、それとは別ということですか?

そうですね、だいたい3~4か月検診、1歳半検診、3歳検診というものがメジャーな検診だと思うんですけど、それでは遅いんです。まず3~4か月検診の時点で、僕ら整形外科の間で問題となる股関節脱臼っていうのはかなり進んだ状態で見つかることが多いんですね。

そうなすると、結構そのあとの治療が大変になるので、僕は1か月から2か月あたりで見つける方が正しいんじゃないかなと思うんです。
ただ、なかなか今の保険制度だとか医療制度だと、そこに合わせるのが難しいので、違う方法で始めようと思っています。

オカタク
検診っていうのは異常があるかないかを確認するものなんですけど、中川先生が考えているのは、もうちょっと見守りながらというか、環境の中で見ていきたいという視点がすごくありますよね。

中川先生
やっぱり家庭の状況だとか親の関わりを見てみないと分からないところもありますからね。
一回ぽんと来ただけで、「この子異常ありますよ」って言われると親御さんもかなり不安になった状態で帰ることになると思うので、そうならない様にするために、なるべく地域や親子の生活に溶け込んだ形で検診っていうのを広められればと思っています。
ーーコミュニティスペースに近いイメージなんでしょうか?

そうですね、子育てサロンみたいなものが理想で、そういったところにオカタク先生のような心の方を診られる人も呼んで一緒にやっていくのが、正しいこれからの医療の形なんじゃないかなと思っています。

ーー配信中のコメントで「検診で様子を見ましょうって言われるけどどうやって様子みたらいいのか教えてほしい」と来てますよ

オカタク
どう様子見るかすごく大事なことですね。
僕、ある地域の療育センターにも非常勤で勤めているんですけど、そこに来る保護者の方も既に支援には繋がっていても、今後何に気をつけていけば良いかという視点はあまり聞いていなくて、誰かから教えてもらう機会もあまりないようです。

療育センターでは「日常生活における声かけに対する反応の見方」をアドバイスすることもありますし、視点(アイコンタクト)が合いにくい子どもであれば「子供の視野に入って関わる方法」について具体的にお伝えすることもあります。
声だけや言葉だけでコミュニケーションとろうと思わずに、視界に入ってあげたりとか、言葉に限らずどんなことをするとリアクションが返ってくる子なのかっていうのをちょっと見てみてくださいねとかアドバイスしていますね。
あと私が勤めている療育センターでは診察室に同席している看護師さんがお子さんと遊んでくれたりするんですよ。その遊ぶ様子を一緒に見ているお母さんに、「こういう風に遊んでみるとこういうことができる子だね」とか伝えていくことも大事だと思います。
関わり方のヒントが見つかるだけで変わるお母さんだってたくさんいるんですよ。

ーー中川先生がおっしゃってたみたいに、その場限りの検診でなく、親子を見守っていける場があるとよさそうですね

お医者さんもその場所で見守る人の中の一人ってことですよね。
昔は赤ひげ先生みたいなのが村の一部として存在して、お医者さんはコミュニティーの中の一部っていうのが強かったと思うんですが、だんだん専門が分化していくと、お医者さんのイメージも変わってきたのかもしれません。

ただ逆に、昔だったら小児整形と児童精神科医って分かれなかったとも思います。
専門の分化が進んだからこそ、今こうして僕と中川先生みたいにお互い違う分野の専門家として出会うことができたっていうのはすごく貴重だなとも思っています。

中川先生
僕のクリニックはまだまだ先の話なんですけど、いろいろなところと協力して前向きに話は進んでいます。

最終的な目標は、同じような考え方の人や、同じようなコンセプトのクリニックが増えていって、世の中に予防という医療の形が浸透していくことかなとは思っています。
そのためには、こういったラジオだとか、インターネットを通していろんな人に訴えかけていく必要があるかなと思っています。

カケミチラジオ(YouTubeチャンネル「カケルとミチル」)
「生きづらさ」「育てづらさ」などをテーマに、児童精神科医オカタク(oktk@筋トレ/児童精神科医)が様々なゲストを迎えて毎週水曜夜に配信中。
ゲスト:小児整形外科医 中川将吾先生
Twitter 「中川将吾 産前産後のケアをやる整形外科医
note  「ファミリハつくば

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