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勉強のやる気が出ない君は、怠けているわけじゃない①
学校の課題をやらなきゃいけないのに、やる気が出ない。
受験のために頑張らなきゃいけないのは分かっているのに、頑張れない。
早く勉強に取りかかったほうがいいのに、いつまでも先延ばしにする。
あなたは、こういった悩みがありませんか?
あなたが勉強に取りかかれないのは、怠けているからではありません。
あなたがやる気が出ないのは、ちゃんと理由があります。
この記事では、
なぜやる気が出なくなるのか
やる気が出ない問題にどう対処すればよいのか
をお伝えします。
また、次回以降の記事では、
やる気を出す方法
やる気が出ないわれわれが進学校で生きのびる心得
をお伝えします。
(この記事は、2022年5月6日にはてなブログで公開した記事「やる気が出ない、頑張れない君へ(進学校の中高生向け)」を再編したものです。)
わたしの学校生活
わたしも、進学校に入ったのに、勉強を頑張りたくても全く勉強に手をつけられませんでした。
高1の1学期は、夜まで課題を先延ばしにして、夜中に課題をやって、ふらふらになりながら学校に行きました。
しかし、夏休みに入り、張りつめていた糸が切れてしまいました。逃げるようにゲームに熱中しました。夏休みの終わりになって、2、3日では終わらない大量の課題が残っていました。
わたしはそのとき、課題をやらないとまずいと分かっていても、課題をやるのが辛くてできませんでした。進学校に入ったのに、夏休みの宿題すらやらない自分が恥ずかしくて、9月からしばらく学校に行けなくなりました。
「皆さんの平日の平均勉強時間は3時間○○分、休日の平均勉強時間は5時間○○分です。皆さん、よく勉強を頑張っていますね!」
進路集会では平均勉強時間が発表されました。そして、「勉強を頑張っている生徒」に向けて、彼らを鼓舞することばが送られます。
わたしの平均勉強時間は30分未満だったので、わたしは恥を覚えていました。また、平均勉強時間を守っている生徒が進路集会で褒められるのを見ると、自分がいない存在として扱われているように感じました。
進路集会の最後には、こんなことばがつけくわえられました。
「勉強時間が足りないひとは、自分を見つめ直したほうがいいですよ」
まるでわたしが勉強できないのは、わたしの人格に問題があるみたいに言われるのがつらかった。
同級生に
「どうやって勉強のやる気を出してるの?」
と聞いたら、
「やる気がなくてもやってる」
と言われて途方に暮れました。
友達に
「わたし頑張って課題やったよ!」
と言ったら
「そんなの当たり前でしょ」
と言われて傷つきました。
当時の恋人は、悩むわたしにたいして
「きみは頑張れないんじゃなくて、頑張らないんだよ」
と言いました。
一番伝えたいこと:あなたは悪くない
「頑張りたいのに頑張れない」
あなたは怠けているのでしょうか?
それは絶対に違います。
あなたがやる気が出ないのは、あなたが悪いわけでも、あなたの生きかたや人格に問題があるわけでもありません。
・からだ全体に鉛がついているような感覚
・頭がぎゅっとしたり、頭にもやがかかったりしてはたらかない感覚
・まるで重すぎるダンベルを持ちあげようとするときのような感覚
・頭から出した命令をからだが聞いてくれない感覚
・建設的な作業はすべて、1分手をつけることさえ苦痛に感じる感覚
やる気が出ないとき、あなたはこんな感覚に襲われていませんか?
普通のひとはこの感覚がそれほど強くありません。
しかしなかには、こういった感覚が強いひとがいます。
これは心身の調子や体質によるものです。あなたが悪いわけじゃないんです。
むしろ、こんな感覚を常日頃感じながらやる気を出そうとしてきたご自身の頑張りを認めてあげてほしいです。どうか、自分を責めないであげてください。
頑張れない理由
頑張れないのが自分の意志の問題ではないとしたら、わたしたちはどうして頑張れないのでしょうか?
① うつ状態
あなたは、うつ病という病気を聞いたことがありますか?
うつ状態は、まだうつ病ではないけれども、うつ病のような症状が出ている状態です。
うつ状態になると、心身の調子をととのえる自律神経や神経伝達物質のはたらきが悪くなり、やる気が出なくなります。
うつ状態は脳の不調です。あなたが悪いわけでも、あなたの気合いが足りないわけでもありません。
うつ状態のかたに必要なのは、自責ではなく、休養とこころのケアです。
「うつ病って真面目で優しい頑張り屋のひとがなる重い病気でしょ? 私はうつ状態なんかじゃないよ」
そう思われるかたもいるかもしれません。
しかし、うつ状態はストレスがかかるとけっこう簡単になります。
性格はあまり関係ありません。
また、うつ状態にはさまざまな症状があり、症状には個人差があります。
「この症状がないからわたしはうつ状態じゃない」と断言はできません。
②ADHD(注意欠如・多動症)
ADHD(注意欠如・多動症)とは、不注意、落ち着きのなさ、衝動性などで生活に支障がでる障害です。発達障害の1つで、生まれつき脳の発達に偏りがあります。
ADHDのひとの中には、やる気が出にくいひとがいます。
ADHDにはひとによってさまざまな特性があるのですが、その1つに
「精神的努力の持続が必要な課題を避ける、いやいや行う」
というものがあります。
やる気や根気のいる、地道な作業や面倒な作業に取り組むのが苦手、ということですね。
ADHDのあるかたには、脳の報酬系と呼ばれる部分に偏りがあります。
報酬系に偏りがあると、ご褒美がもらえるのがすこし先であったり、未来に向かってコツコツ頑張る必要があったりするときに、やる気を出すのがひとの倍難しくなります。
これは本人の意欲や気合ではなく、脳の仕組みの問題なんです。
「ADHDって遅刻や忘れ物やミスをしたり片づけができなかったりするひとの障害でしょ? わたしはそういうのないけど」
そう思われたかたもいらっしゃるかもしれません。
ADHDの特性には個人差があります。
「この困りごとがないから自分はADHDじゃない」とは言えないのです。
わたしもADHDと診断されています。わたしは忘れ物もしないし、ミスもせず、友達が遅刻したのを待っているくらいです。
いきなり精神症状や障害の話が出て、びっくりしたかもしれませんね。
もしあなたに精神症状や障害があるなら、薬や周囲からのサポートによって楽になるかもしれません。
精神科や心療内科では、
気分を上げる薬
気分の波を安定させ落ちこみを減らす薬
やる気が出る薬
衝動性をおさえる薬
などを処方できます。
わたしも大学生になってからADHDの薬を飲みはじめましたが、
「高校時代に薬を飲めれば勉強が楽だったのに!」
と思っています。
また、カウンセリングを受けたり、周囲の大人に手伝ってもらって学校での学習環境を調整したりすれば、問題が改善されるかもしれません。
ひとに相談しよう
まずあなたはなにをしたほうがいいのか。
あなたの味方になってくれるひとを見つけましょう。
あなたのことを否定せず話を聴いてくれるひとを探してみましょう。
これからどうすればよいか一緒に考えてくれるかもしれません。
相談のいちばんのメリットは、あなたのしんどさをほかのひとと分かちあえることです。
つらい問題をひとりで抱えるより、誰かが話を聴いてくれたほうが、しんどさが軽くなります。
相談相手が見つかれば、そのひとはあなたの味方になってくれます。
勉強に手をつけられないと、よく周囲からサボっていると誤解されます。
味方がひとりでもいると、こころの支えになります。
また、援助が必要なときに、相談相手がほかの先生への説明を手伝ってくれることもあります。
自分ひとりでは言いにくいことも、相談相手がサポートしてくれれば心強いです。
学校の中でも外でもいいので、あなたを否定しないひと、あなたが信頼して話ができるひとを探してほしいです。
学校の中に話ができるひとがいない場合、お住まいの自治体に、子ども向けの相談機関があることがあるので、それを探してみるのもひとつの手です。
相談できるひとが見つかれば、自分はなにに困っているのか、どういう助けが必要なのかをそのひとと一緒にまとめるのをおすすめします。
これは、困りごとをほかのひとに伝えるさいに役立ちます。
カウンセリングを活用しよう
あなたの抱える問題は、こころに関する専門的な知識が必要かもしれません。
専門家のカウンセリングを受けるのもひとつの対処法です。専門家というのは、「臨床心理士」や「公認心理師」という資格を持つひとです。
私はあなたに、できれば「安心してカウンセリングを受けてね」と言ってあげたいです。
しかし、安心できないカウンセラーも存在します。資格を持っていても、そういうひとはいます。
カウンセリングを受けてみて、自分が辛い、合わない、効果がないと思ったら、カウンセリングは中断してもかまいません。
それでも、自分に合うひと探しを諦めないでほしいです。
諦めなければ、必ず見つかります。
カウンセリングを受けるにあたり、お金の心配があるかたもいると思います。
自治体で無料でカウンセリングが受けられる機関(教育相談センターや、子どもを対象とした相談センターなど)がある場合があるので、そちらを活用してみてもいいかもしれません。
また、お金はかかりますが、大学の相談室だと比較的安くカウンセリングを受けられます。
こころの病院に行ってみよう
あなたが頑張れない理由は、脳の問題かもしれません。
うつ状態やADHDのような問題は、放っておくと症状が深刻になったり、うつ病などの気分障害に発展したりします。
私も大学2年生のとき、勉強もサークル活動も頑張れないのが原因でうつ病になりました。なにもできなくなり、毎日死にたい気持ちや憂鬱な気持ちで過ごしていました。大学も2年留年しました。
こんなことになる前に、早期に問題に対処する必要があります。
脳の問題について正確な自己理解やサポートを得るために、精神科や心療内科を受診したほうがよいかもしれません。
「精神科や心療内科って、なんか怖い……」
「自分が精神科や心療内科に行ってもいいのだろうか」
そう思われるかもしれません。
しかし、別に精神科や心療内科に行ったっておかしくありません。精神科や心療内科を受診するひとの大半は、治療が必要な困りごとがあること以外は、ごく普通のひとです。
また、精神科や心療内科は、別に健康でも行っていいところです。そんなに敷居が高い場所ではありません。
ただし、未成年だと受診に親の同行が必要になります。
自分ひとりでは親の説得が難しそうであれば、信頼できるひとかカウンセラーに手伝ってもらい、説明してもらうといいかもしれません。
また、病院を選ぶさいには、可能であれば養護の先生やカウンセラーなど、精神科や心療内科に詳しいひとに教えてもらうようにしましょう。
適当に選んだり、素人に探してもらったりするのはおすすめしません。
たとえ親でも、信頼できないなら病院を選ばせるのは避けましょう。
なぜなら、精神科や心療内科は場所によって実力がピンキリだからです。
病院で「問題なし」と言われた
病院に行ったけど、「特に問題ありません」と言われた。
やっぱり自分は怠けているだけなのだろうか?
実はそうとも限りません。
まず、大事な前提として、あなたが困っているのであれば、ほかのひとの助けが必要です。
そして、いくつかの原因があり、病院で問題が認められない場合があります。
まず、病院のほうに問題があり、誤診することがあります。
病院が間違えるなんて嘘みたいな話ですが、本当にあるんです。
私も高校生のときに心療内科を受診して、「あなたは健康です」と言われました。
その後2つの病院にかかり、どちらの病院でもADHDの診断がつきました。
最初の病院で診断がつかなかったとしても、ほかの病院を受診すれば正確な診断がつくかもしれません。
別の病院の受診は、「自分に都合のいい診断を得るためのズル」ではありません。自分にあった適切なケアを受けるために必要なことです。
次に、「グレーゾーン」の問題があります。
ADHDのような困りごとがあるにもかかわらず、病院で診断がつかないひとがいるのです。
このようなひとたちを「グレーゾーン」と呼びます。
グレーゾーンのひとにも、周囲からの適切なケアが必要です。
(②―やる気を出す方法編につづく)
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