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ZINE初心者でもできるZINEの売り方



ZINE,作っていますか。

あるいはこれから作ろうとしていますか。


ZINEは自分の表現が一冊の形になって,楽しいですよね。



とはいえ,

「ZINEを作ってみたはいいものの,知人に配ったり自家通販で売ったりするだけで,ほとんど手に取ってもらう機会がない」

という方もいらっしゃるのではないでしょうか。



本記事では,そんな方に向けてZINEの売り方をお話しします。



(この記事は2022年11月24日にはてなブログで投稿した記事を加筆修正したものです。)






アート系か、それ以外か



ZINEを売る場を選ぶ指針として,
「自分のZINEがアート系かそれ以外か?」
という軸があります。



アート系のZINEとは,

  • アート,写真,イラストなどを扱う

  • デザインや装丁をオシャレに魅せたい
    (扱うコンテンツは必ずしもアートに限らず,文芸なども含まれる)

のいずれかに当てはまるZINEのことを指します。



それ以外のZINEとは,

  • デザインや装丁よりも,自分なりの表現を大切にしている

ZINEを指します。

(私の作っているZINEは「それ以外」に該当します)



ZINEのイベントやZINEを取り扱うお店では,

  • オシャレなZINEが集まるのか

  • それ以外のZINEも歓迎しているのか

という傾向があります。



自分のZINEがアート系とそれ以外のどちらに当てはまるかを考えることで,自分のZINEに合った場の選択がしやすくなります。



例えば,お店だとMOUNT ZINEさん,イベントだとTINY ZINEさんは,ハイセンスなデザインのZINEが集まる傾向にあります。


美的センスに自信がない人には,こういった場所でZINEを売るのはハードルが高いかもしれません。


また,こういった場所は装丁がしっかりしているZINEが多いので,コピー本を売りにくいなと感じます。


逆に,アート系のZINEを売りたい方にとっては,こういった場はうってつけだと思います。



ギャラリーが主催するZINEイベントにもアート系のZINEが集まりやすい傾向があります。


(もっとも、そういったイベントでコピー本やアート系以外のZINEが全く売れない、というわけでもありません)




一方で,あとで紹介するzineと,さんのイベント「zine zine zine」や高崎のREBEL BOOKSさんで開催される「ZINPHONY」では,幅広いZINEを扱っています。


zine zine zine2022さんの公式サイトの文言が本当に好きなのでご紹介します。



表現するって
そんなに大それたことなんだろうか

と常日頃から思っています。

技術を持っている人
センスがある人
芸術知識がある人
その道に詳しい人

作家、画家、編集者、デザイナー、何かの専門家、世の中に名が知られている人、たとえばそんなふうになにかに長けていなければ、表現活動はしちゃいけない?本は作っちゃいけない?

そんなことないよね。そんなことは、決してない。と思います。
どんな道も、最初の一歩は小さなところから始まると思っています。

zine zine zine 2022 開催のお知らせ - zineto ページ! (jimdofree.com)



つたなくてもいいのです。コピー用紙をホチキスで留めただけのもので全然いい。いっぽう、こだわりたい人はとことんこだわるのがいい。特殊な紙や印刷機を利用したり、和綴じにしてみたり。大きさも形も、好きなものでいいのです。どんな体裁でも、自分がZINEだと思って作ればそれは「ZINE」だと思います。

zine zine zine 2022 開催のお知らせ - zineto ページ! (jimdofree.com)



この文言が,ZINEの表現に対する熱意がこもっていていいんですよね...。



イベントやお店によって,取り扱うZINEの傾向が違います。

どんなZINEが取り扱われているかを見て,売る場を選びましょう。




イベントに参加しよう



ZINEを売る方法の1つとして,イベントで売る方法があります。



しかし,いきなり文学フリマやBOOK CULTURE CLUBさんのZINE FESTといった大型イベントに出店するのは抵抗がある人もいるのではないでしょうか。

これらの大型イベントは交通費・出店料・その他諸経費がかかるのに自分の作品が売れるか分からず,ハードルが高いですよね。



なので,ZINEを売る最初の一歩として,小規模イベントに参加することをおススメします。



私が参加した中でおススメのイベントを3つご紹介します。



zine zine zine


「zine zine zine」は,富山のZINEコミュニティzineと,さんが開催しています。幅広いZINEを歓迎されているイベントです。




そこの路地入ったとこ文庫


「そこの路地入ったとこ文庫」は,一次創作の本を取り扱うイベントです。京都の烏丸御池のCafe YoKoSoさんで開催されています。


そこの路地入ったとこ文庫では,折本・コピー本回が開催されることもあります。なので,コピー本でも出店しやすいです。


 


ZINPHONY


「ZINPHONY」は、高崎のREBEL BOOKSさんが開催しています。

こちらも幅広いZINEが歓迎されており、開催頻度も多いイベントです。




また、私はタイミングが合わず参加が叶いませんでしたが、本屋ウニとスカッシュさんが開催している「ウニマキZINE」も参加しやすいイベントだと思います。



小規模イベントは,費用が安く自宅からでも会場に委託して気軽に参加することができます。
なので,初めてZINEを売ってみたいという方におススメです。



お店に置いていただく上での心得



書店さんに自分のZINEを置いていただくのも,ZINEを売る方法の1つです。



しかし、気をつけなければならないことがあります。

書店さんに自分のZINEを置いていただくことを考える前に,まずはこちらの記事の文言に目を通していただきたいです。



 しかし困るのは、Titleがどういう店かを調べずに、「個人の自主製作の本も扱っているらしい」という理由だけで持って来られる場合です。「いや、絶対面白いから」と言われても、本屋のスペースは限られているうえに、店に合わない本を並べていると、売れる本まで売れなくなります(本当です)。だから店に並べるものは、自主製作のものも、出版社が出しているものと同様に、置きたいと思うものは限られます。

 これはその場に立ってみるとわかりますが、人の作ってきたものを、目の前で断ることは、精神的にとても疲れます。私の知り合いでも、「自分には断ることができないから、リトルプレスの扱いは嫌だ」という人を知っていますが、その気持ちはとてもよくわかります。

 お断りする場合は、できるだけその本を否定しないように、店と合わないということを説明する場合が殆どです。しかし、「お持ちになった本は、他の本と比べたときに、知り合いでない人が、お金を払って買うまでには達していないと思う」ということを率直にいう場合もあります。大抵は納得して聞いてくれますが、まさか断られると思わなかったのか、がっかりとして帰るときの姿を見ることは、何度経験してもそのたびに心が痛みます。

 店の看板を出すということは、そこに来るものから逃げることができないということです。すべてを受け容れることができれば心は痛まなくてすみますが、それだけでは店の運営はできません。

心では泣いています。|本屋の時間|辻山良雄 - 幻冬舎plus (gentosha.jp)



お店にとって,選書は生命線です。

自分のZINEをお店に置いていただくということは,店主さんの大切な店舗に無名の自主製作本をわざわざ置いていただくということです。


お店にZINEを置いていただくには,それ相応の入念な下調べと,マナーの遵守が必要になります。


(もっとも、ネットでお店のことを調べただけではお店の雰囲気は掴めないことも多いです。私も営業をかけようか気になっていたお店があり、実際に足を運んでみたら「ここで私の作品を置いてもらうのは難しそう……!」と考え直した経験がありました。)



これを読んで,もしかしたらあなたは
「自分のZINEは知り合いでない人がお金を払って買うに値しないかもしれない」
と尻込んでしまったかもしれません。


しかし,入念に調査をしてマナーを守った営業をかければ,ZINEを書店に置いていただくことは十分に可能です。


実際私も,執筆歴2年未満,全くの無名で7店舗にZINEを置いていただきました。



お店に置いていただけるかを知る目安



お店にZINEを置いてもらうことを考えたとき,
「自分のZINEはお店に置いてもらえるクオリティなのだろうか」
と不安になりますよね。



私も,自分の作ったZINEに自信が持てず,書店さんへの営業に踏み切れずにいました。



そんな私にも,書店さんに営業をかけてみよう!と思えるきっかけがありました。


出版経験のある作家さんに自分のZINEを読んでいただいて、
「このZINEなら書店さんに置いてもらえると思うよ」
と背中を押していただいたのです。



自分のZINEがお店に置いてもらえるに値するかを知る1つの目安となる方法として、
「この人に評価されれば作品に太鼓判を押せる」
という信頼できる筋の人に自分のZINEを読んでもらって意見を聞く方法があります。

ZINE文化に詳しい人だと,具体的なお店の名前なども聞けてなお良いです。



信頼できるツテがない場合は,ZINEを読む会や,そのZINEのジャンル(文芸なら文芸系)の意見交換会に参加して,たくさん良い評価を貰う方法もあります。

(ただの知人の評価だと甘めになりがちなのであまり参考にならないかもです)



ただし,何に価値を感じるかは人それぞれの好みによります。評価がいまいちでもへこたれないようにしましょう。評価されなかった数は数えず,評価された数を数えましょう。



お店の探し方



ここからは,ZINEを置いていただけるお店の探し方をお伝えします。



先の記事でも触れられていましたが,「ZINEを置いているお店だから」という理由だけでお店に営業をかけるのはNGです。

自分のZINEがお店に合っているかどうかを調べることが必要になります。


もっとも手っ取り早くお店を探す方法は,BASEでZINEを取り扱うお店を探すことです。





手順は次の通りです。

  1. BASEで「ZINE」と検索をかけます。

  2. 検索結果に出てきたZINEを取り扱っているお店のプロフィールをしらみつぶしに見ます。

  3. そのお店が取り扱っているZINEと書籍を見て,自分のZINEと雰囲気が合いそうかチェックします。



BASE以外の通販のあるお店を見つけたら,そのお店の通販も調べてみましょう。



営業のかけ方

ZINEを取り扱うお店の選書を見て,自分のZINEと雰囲気が合いそうなら,営業をかけてみましょう。


実際に店舗に足を運べるのが一番良いのですが,家から遠い店舗であれば,メールで営業をかけてもかまいません。


また,実際に店舗に足を運ぶ場合は,いきなり店舗で営業をかけるのではなく,メールでアポイントを取りましょう。


そして,必ず前もって店舗で本棚を見てから営業をかけましょう。


店主さんが忙しいときは声をかけず、手が空いてそうなときを見計らって声をかけましょう。



営業のメールを書く際は,この記事を読んだ方は絶対に,店主さんに失礼のないように文面に最大限気を配ってください。

お店にとって選書は生命線です。

無名の自主製作本を置いていただくわけですから,礼節を尽くしましょう。

お忙しい中営業のメールを読んでいただくのですから,店主さんへの気遣いを忘れずに。



また,先方に営業をかける際には,そのお店を選んだ理由を伝えられるとよいです。

  • 知人に紹介してもらったから

  • 選書に魅力を感じたから

など理由を伝えらえると,先方に
「闇雲に営業をかけたのではなく,考えてお店を選んだんだな」
ということが伝わります。



メールで営業をかける際は,試し読み、自家通販の商品ページ、ZINEの宣伝文など,自分のZINEの中身が分かるものを添付できるとよいですね。




お店で置いてもらえることになったら


 

ZINEの発送までに掛け率を決めよう



めでたくお店で置いてもらえることになったら,ZINEを発送する前に,掛け率を先方と決めておきましょう。

掛け率とは,売上の何割を作者がもらえるかの割合です。

大体6掛け(6割)~7掛け(7割)が一般的です。


ZINEが先方に届いてから「掛け率はいくつにしますか?」と先方に聞かせてしまうのはあまりスマートではありません。

先方とやり取りをする中で,先方から掛け率の話が出なければ,こちらから「掛け率はどういたしましょうか」と話題を振りましょう。



掛け率に加えて、委託か買い切りかもきいておけるとよいです。


委託は、お店に置いてもらえた商品のうち、お客さんが買った分だけの代金をこちらがもらえる方法です。


買い切りは、商品が売れるか売れないかにかかわらず、お店が仕入れる商品の代金を全額お店から支払ってもらえる方法です。




納品書と請求書を書いて発送時に同封しよう



ZINEを発送するときは,必ず納品書と請求書を書きましょう。


納品書や請求書のテンプレートは,インターネットで入手することができます。


納品書と請求書には,次のことを記載しておきましょう。

  • 商品価格

  • 冊数

  • 合計価格

  • 掛け率

  • 請求金額(計算式も書けるとよいです)

  • 送金先口座

  • 連絡先



ZINEを売る場と出会おう



初心者でも参加しやすいイベントと,お店への営業のかけ方をご紹介いたしました。



自分の作ったものを誰かに買ってもらえる、お店に置いてもらえるというのは、本当に貴重な経験です。



紹介した方法を活用して,ぜひZINEを売る場と出会うために挑戦してみてください!




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ZINE「Domanda」では,ADHDうつ病と診断され,様々な挫折と試行錯誤を繰り返してきた私が,自身の苦労の中で感じたことのエッセイや,生活の中で編み出したハウツーを綴っています。

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