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焼肉は誰が焼く?嫌われたくない先輩たちの葛藤

このnoteは、2024年2月14日にカケハシスカイソリューションズのメールマガジンで配信されたコラムをもとに作成しています。
コラムは、教育研修部 執行役員の岡里が執筆しました。

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“あいつ「焼肉」焼かないんですよ!”

私が講師を務めた研修の1コマで、28歳OJTトレーナーがクラスを沸かせた発言です。
“あいつ”とは、そのOJTトレーナーが面倒を見ているトレーニー(新入社員)のことで、仕事後に2人で一緒に行った焼肉店での出来事をお話しされていました。

続けて、“そういう時ってどうしたらいいですかね?”と、質問をいただいたことをきっかけに、20代から50代という幅広い年齢層の受講者(OJTトレーナー)たちで、これを題材として全体討議してみることにしました。

驚いたことに、大多数が「うーん」と考え込み、
「その場では指摘しない」
「1回目は様子を見る」
「後日、折りを見て指摘する」という回答が8割でした。

その場で指摘せず、後日その話を蒸し返すことなどできるのだろうか?と疑問に思いながら、それぞれの答えの理由を聞いていましたが、

1,嫌われたくない、関係を壊したくない、という指摘することへのハードル
2,ハラスメントと捉えられるのではないかというハードル

この2つの大きな心理的ハードルがあるように思いました。

指摘に関しては、業務の指摘はしやすいのですが、スタンスへの指摘はしにくいそうです。
スタンスとは、取り組む姿勢(主体性、自律等)や、業務以外の行動や考え方(責任感、相手への配慮、時間等)を指し、今までの習慣や個人の価値観に紐づくことなので、指摘が難しいということなのかもしれません。

習慣や価値観の修正というのは、信頼関係が築かれていることが前提で、よかれと思うことも相手の価値観や捉え方によっては嫌われたり、ハラスメントになったりするのではないかという怖さもあります。

それを超えて、相手により深く関わろうとする思いと愛情があるかどうかが、育成とマネジメントで大切なポイントになりますが、人手不足で業務過多の中、働き方や価値観の多様化にあわせて個々に対応し、その上で適切な指導や距離感でいることが求められる育成やマネジメントの現場は、難易度や負担が増しています。

そのため、個人の考えや力量に任せるのではなく、自信を持って指導や指摘ができる「育成指針」と「判断軸」を仕組みとして会社側が持たせることが必要です。

例にあげた会社の「焼肉の場面」で導き出した最終的な結論は、「社会人として上席や顧客との会食の所作、配慮という意味でも率先して焼くことは必要であり、また気遣いができる仲間と働いた方が、互いに気持ちよくパフォーマンスが出せるため、心理的ハードルを超えて、その場で指摘をしていこう」ということになりました。
あわせて指摘の仕方も考えました。

育成指針とはこのくらい具体的な育成判断軸を考えることなのです。
最近では、会社ごとに判断軸が多様化しており、新卒入社だけでなく中途入社も増えているため、その会社の判断軸を知ることは、日々のあらゆる場面で、自らが考え自信を持って指導するためにも重要です。

育成指針を作り定着させていくことは労力もかかりますが、その積み重ねが、自社らしい育成文化や働きやすい職場づくりにつながります。
そして結果的には、育成力の向上やマネジメント工数の削減、定着率向上にもつながっていくのです。

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