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【著作権の基本4】著作者人格権と著作権

著作権は、著作者が著作物を創作したときに自動的に発生します。権利を得るためにどんな手続きも必要ありません(無方式主義)。また、著作権は財産権と決められていて、譲渡することができます。

他方で、「創作物」に認められる権利という性質上、作った人(創作者)には固有のインセンティブを与えることにしました。
これが著作者人格権です。

著作者人格権

ということで、著作者人格権は、創作者にのみ認められる権利です。
「公表権」「氏名表示権」「同一性保持権」の3つの内容からなっています。それぞれの権利について触れてみましょう。

(公表権)
第十八条 著作者は、その著作物でまだ公表されていないもの(その同意を得ないで公表された著作物を含む。以下この条において同じ。)を公衆に提供し、又は提示する権利を有する。当該著作物を原著作物とする二次的著作物についても、同様とする。

まずは公表権。創作したものをいつどこでどのように発表するかを決める権利を、創作者のみの権限としたものです。
発表しないと決めるのも創作者のみの権利です。勝手に公表するのはダメということです。

リリースのタイミングについて、創作者と充分に打ち合わせをしておく必要がありますし、何らかの合意を取り付けておかなくてはいけないということです。

(氏名表示権)
第十九条 著作者は、その著作物の原作品に、又はその著作物の公衆への提供若しくは提示に際し、その実名若しくは変名を著作者名として表示し、又は著作者名を表示しないこととする権利を有する。その著作物を原著作物とする二次的著作物の公衆への提供又は提示に際しての原著作物の著作者名の表示についても、同様とする。
2  著作物を利用する者は、その著作者の別段の意思表示がない限り、その著作物につきすでに著作者が表示しているところに従つて著作者名を表示することができる。
3  著作者名の表示は、著作物の利用の目的及び態様に照らし著作者が創作者であることを主張する利益を害するおそれがないと認められるときは、公正な慣行に反しない限り、省略することができる。

次に氏名表示権です。これは、著作物の原作品にどんな氏名を表示するのか、また氏名を表示しないのかを決定する権利を創作者のみの権限としたというものです。

クレジットという言葉は聞いたことがあるでしょうか。また、「Ⓒ」という表示の後に名前が書いてあることもあろうかと思います。これは「Copyright」の略で、著作権が属する先、あるいは創作者が誰かを記したものです。
こうしたものの記載はこの氏名表示権に基づくものです。

(同一性保持権)
第二十条 著作者は、その著作物及びその題号の同一性を保持する権利を有
     し、その意に反してこれらの変更、切除その他の改変を受けない
     ものとする。
2 前項の規定は、次の各号のいずれかに該当する改変については、適用し
  ない。
  一  第三十三条第一項(同条第四項において準用する場合を含む。)、
     第三十三条の二第一項、第三十三条の三第一項又は第三十四条第一
     項の規定により著作物を利用する場合における用字又は用語の変更
     その他の改変で、学校教育の目的上やむを得ないと認められるもの
  二  建築物の増築、改築、修繕又は模様替えによる改変
  三  特定の電子計算機においては実行し得ないプログラムの著作物を当
     該電子計算機において実行し得るようにするため、又はプログラム 
     の著作物を電子計算機においてより効果的に実行し得るようにする
     ために必要な改変
  四  前三号に掲げるもののほか、著作物の性質並びにその利用の目的及
     び態様に照らしやむを得ないと認められる改変

最後に同一性保持権です。これは、「創作者の意に反する改変を認めない」としたものです。
勝手に変えたらダメということです。

いったん納品してもらった著作物についても、何から何まですべて自由に使っていいというわけではありません。創作物に与えられる権利ですから、使用範囲についても創作者と充分に打ち合わせをしておく必要がありますし、いろいろな利用形態が考えられるのであれば、あらかじめ何らかの合意を取り付けておかなくてはいけないということです。

▼出典
『駆け出しクリエイターのための著作権Q&A』
(川上大雅・玄光社)
キャラクターデザイン=山内庸資


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