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生と死の境目で猫を愛でる

猫が好きだ。

どのくらい好きかというと、というのに続けて具体的なエピソードが出てくるわけではないがかなり好きだ。

そんな猫好きが4人集まった我が家では猫を飼っている。名はしまこと言う。何のひねりもない名前だがアレンジ(※)が効くので我々は大いに気に入っている。

※アレンジ…大臣、ゴンザレスなどと呼ぶこと。大体どう呼んでも反応する。

彼女(しまこはメスなのである)は我が家に来て以降、毎日誰かしらにもふもふされなでなでされ過ごしていたのでこの家の全てが自分の支配下にあると錯覚しているところがある。

実際我々は彼女に骨抜きにされており完全な支配下にあると言えるのでその認識は別に間違いではない。だが彼女が私の生活テリトリー(主にベッド)に入ってくると不都合があるのだ。

なぜなら私が猫アレルギーだからである。

猫の毛がどうやらダメらしく、彼女のもふもふとした毛に顔を埋めると目や肌がめちゃくちゃ痒くなる。あとくしゃみもすごく出る。

特に目の痒さは重症で目ん玉が飛び出そうになる。比喩とかではない。目の奥に塊があってそれのせいで眼球が押し出されかけている感じだ。


話は変わるが、北海道にはスギの木がない。北海道に移住する人の多い理由のひとつだ。もうひとつは梅雨がないことで、最後のひとつはゴキブリが出ないことである。

北海道ではスギ花粉症を発症することは稀だが、花粉症がないというわけではない。北の大地にもシラカバ花粉症という花粉症がある。

私はこのシラカバ花粉に悩まされている。毎年肌感覚で「あ、飛んでんな」と認識するのだが調べてみると4月中旬から5月に飛散するらしい。まさに今である。

この時期はいつもクシャミ鼻水目の痒みのオンパレード。顔の粘膜という粘膜全てやられるため毎年顔がグズグズになっている。


今日の午前中はほどほどに天気が良く、私の部屋では窓が開いていた。そんなことをすれば花粉が入ってきて顔面が大変なことになってしまうのだが、ゴミ屋敷寸前の部屋の空気を母は許せなかったらしく窓を開けられてしまった。

しばらくベッドの上で過ごしていると鼻がむずむずしだした。目も痒いし鼻水のせいで息がしにくくなる。そろそろ窓を閉めるかとベッドから降りた時、奴は突然やってきた。

しまこが私のベッドの上に乗った。

いつもは乗るか否か迷ってから慎重に飛び乗るくせに今日は何も躊躇せず綺麗に飛び込んできた。残像が放物線を描いていた。

そしてくつろぎはじめた。

丁寧に毛繕いをし出す。舞うわ舞うわ。彼女の茶色がかった毛が春の日差しを反射してキラキラと輝いていた。

爆裂くしゃみでも動かなかった彼女は、私のグズグズな顔面を見た母によってリビングに連行されていった。

おまけ しまこ

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