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柚子の皮、菓子に成る

自分の事は、柑橘類の皮の様なものだと思っていた。
うざったらしく果肉を隠し、ティッシュに包まれて捨てられるだけの命。何にもならない命。

或る日、例えば天気に注目すれば晴れの日、例えば状況に注目すれば有難き休日、俗なパッケージに守られたそれは、コンビニの単調な蛍光灯を当たり前の様に跳ね返していた。
菓子だった。加工された柚子だった。それは。

「ゆず」

って、でかでかと書いてあった。

パッケージの裏には、

「皮がおいしい!」

って、自慢げに書いてあった。

な〜にが、

「皮がおいしい!」

、だ。

ナメんなよ、皮はカスなんだよ
果肉を守っているふりをして、軟弱なホモ・サピエンスの爪にさえ負ける、無価値な塊なんだよ。

な〜にが、

「皮がおいしい!」

、だ。

ナメんなよ、皮はカスなんだよ
果肉を守っているふりをして、軟弱なホモ・サピエンスの爪にさえ負ける、無価値な塊なんだよ。

な〜にが、

「皮がおいしい!」

、だ。



まぁ食べてやらない事もないけどな。










うまっ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!







うまっ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!





柚子の皮、美味かった。
柚子の皮、菓子に成るんだ。

うまっ。


あ、美味い。
手が止まらん。


美味い。




自分の事、柑橘類の皮みたいなものだと思ってたのに。
柑橘類の皮、加工すればこんなに美味しい菓子に成るんだって。


あ〜、



無価値な俺。



柑橘類の皮でさえ、美味しくなるポテンシャルは有るのに、僕は、何にも成れそうにない。
柚子の皮に負けている。

僕は、柚子の皮に負けている。


あ〜、


無価値な俺。

果たして、俺には、ティッシュに包まれて捨てられるだけの価値すらあるのかね。
そう言えば、紙切れ一枚を使って頂けるだけ、柑橘類の皮って、それなりの価値はあるのかもね。
俺の体は、焼けば骨だけになるし、
骨は、海に撒けば海の藻屑になる。

火と水があれば、俺の体、全部捨てられる。

基本中の基本、火と水。

何の工夫もいらない。

火と水で全部無くなる。

柑橘類の皮、ティッシュに包んで捨てる。

俺、究極、山火事に放り込んだ後残りを海に撒けば全部無くなる。

柑橘類の皮、ティッシュに包んで捨てる。

俺、自然現象だけでどうにかなる。

柑橘類の皮、ティッシュに包んで捨てるどころか、加工すれば美味しくなる。





あ〜、

無価値な俺。




な〜にが、

「まぁ食べてやらない事もないけどな。」

、だ。

食べさせて頂いてるんだろ、皮様を。

ナメんなよ、俺はカスなんだよ
人として生きているふりをして、軟弱なホモ・サピエンスの爪にさえ負ける、無価値な塊にすら負けるやつなんだよ。


うまっ。


俺の肉も、調理法次第で美味しくなればいいのに。








「皮がおいしい!」

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