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【1日1冊】イノベーションのトレンド/世界をつくった6つの革命の物語 新・人類進化史(著)スティーブ・ジョンソン

こんにちは。

本日は、「世界をつくった6つの革命の物語 新・人類進化史(著)スティーブ・ジョンソン」を読みました。2016年に日本で出版されている本なので、少し前の本になりますね。

連鎖するイノベーション

この本は、今一緒に働いている仲間 に紹介してもらった本になります。タイトルにあるように「6つの革命」で構成されますが、「ガラス」「冷たさ」「音」「清潔」「時間」「光」に関する発明・イノベーションと、それがどのように多様な変化を起こしているかを大きな「進化史」として書かれています。

読了直後の感想ですが、「イノベーション」をベースにしながら、話が広がっていくケースはあまり読んだことがないので、頭には入りにくかったです(笑)

本書では、「ハチドリ効果」と呼ばれているのですが、ある「イノベーション」が、まったく違う領域に影響を及ぼし、新しいイノベーションにつながっているというのは、かなり高い視座に気づかせてくれるものだと思いました。

アイデアとイノベーションの歴史も同じように展開している。ヨハネス・グーテンベルクの印刷機は、眼鏡需要の急増を引き起こした。読書という新しい習慣のせいで、大陸中のヨーロッパ人が突然、自分は遠視だったと気づいたからである。眼鏡の市場需要に刺激されて、レンズを生産したり、レンズを使って実験したりする人の数が増え、それが顕微鏡の発明につながり、それからまもなく私たちは、自分の体がごく小さな細胞でできていることを知ることができた。私たちの視界が細胞レベルにまで広がったことと、印刷技術が関係あるとは思えないだろう。花粉の進化がハチドリの羽のデザインを変えると思えなかったのと同じだ。しかし変化とはそういうふうに起こるものである

引用:スティーブン・ジョンソン. 世界をつくった6つの革命の物語 新・人類進化史 (Japanese Edition) (Kindle の位置No.111-117). Kindle 版.

ガラスの誕生〜写真撮影・SNSへのアップロード・配信まで

ガラスの誕生が、現在の写真撮影やネットワーク技術に繋がるストーリを聞くと、ひとつのイノベーションがあるからこそ、次のイノベーションに繋がっていくかがわかります。一見、つながりがないものが、実は繋がっていることがわかります。

ガラスの進化

- 1万年前:リビア砂漠でガラスのかけらを発見する
- 1291年:ヴェネチアの首長が、ガラス職人を追放(ムラーノ島がガラスの島になる)
- 12〜13世紀:修道院で世界初のメガネ(目のための円盤)ができる
- 1440年代:グーテンベルグが印刷機を発明し、識字率があがり、眼鏡市場が拡大する
- 1590年:顕微鏡が発明される(眼鏡レンズを縦に並べた)
- 1608年:望遠鏡が発明される
- 1610年:ガリレオが木星の周囲に衛生が回っているのを観察し、天動説を異論を唱える
- 19世紀:カメラ用レンズの発展 / 世界初の映画用カメラが作られる
- 20世紀:ガラス繊維をよりあわせたグラスファイバーがつくられる
- 1940年:テレビ映像が作られる
- 1970年:光ファイバーができる
- 1991年:グラスファイバーを使いWWWがサービスを開始
- Now〜:スマートフォンで写真を撮影、SNSにアップ、配信という工程がすべてガラスに支えられている

上記の「ガラスの進化」は、ガラスはのかけらは、1万年以上前から存在していたにも関わらず、イノベーションが連続で起きているのは、1000年前ごろからです。これはガラスの素となっている二酸化ケイ素を加工することのできる「溶鉱炉」というイノベーションが生まれたことにより、今までにない高温で扱うことができるようになったため、ガラスの活用ができるようになりました。

ガラスは、きれいな製品として使うだけでなく、光の屈折により眼鏡や顕微鏡、望遠鏡といった人間の視覚を補助するためにも使われるようになります。そして、ガラス繊維にすることにより、グラスファイバー、光ファイバーを生み出し、デジタルデータをやりとりできるようになります。

つまり、人間は制御された環境で極端な高温を生み出す方法を突きとめたことで、二酸化ケイ素分子の潜在能力を解き放ったのであり、それがほどなく世界の見え方を変え、さらに自分自身の見方を変えたのである
引用:スティーブン・ジョンソン. 世界をつくった6つの革命の物語 新・人類進化史 (Japanese Edition) (Kindle の位置No.599-601). Kindle 版.
ケイ素の電子をちょいとつまめば、過去一〇〇〇年から窓、眼鏡、レンズ、試験管、電球を消し去ることになる(高品質の鏡は、ほかの反射する金属を使って別に発明されたかもしれないが、もう二、三世紀長くかかった可能性がある)。ガラスのない世界には、大聖堂のステンドグラス窓も、現代の都市景観のつややかに光る壁面もなくて、文明の体系が変わるだけではない。ガラスのない世界では、近代的発展の根本、すなわち、細胞やウイルスや細菌の理解によって延びた寿命、何が私たちを人間たらしめているかに関する遺伝子の情報、宇宙における地球についての天文学者の知識、すべてが打ち砕かれる。このような画期的概念にとって、ガラスほど重要だった物質は地球上にほかにない
引用:スティーブン・ジョンソン. 世界をつくった6つの革命の物語 新・人類進化史 (Japanese Edition) (Kindle の位置No.563-569). Kindle 版.

イノベーションはつながっている

ガラスの事例から見えることは、イノベーションは、隣接可能領域のイノベーションが起きることになっています。つまり当たり前ですが、「ガラスの加工」ができないのに「眼鏡」はできない。「ガラス繊維」ができないのに「光ファイバー(インターネット)」はできなかったということです。

「顕微鏡・望遠鏡」の発見は、「グーテンベルグの印刷機」が登場しなければ、発見されることはなかったと思います。しかし、それでも「眼鏡」がなければ、印刷機が登場したとしても「顕微鏡・望遠鏡」は発見されなかったはずです。

これらは、イノベーションは、順を追って隣接可能領域に広がっていること。それはイノベーションが、次のイノベーションにつながるような、トレンドが存在しているといえると思います。

新規事業や新しい技術革新が起こる領域は、こういった今イノベーションが起きている領域ということを理解しておくことが必要だと思いました。

トレンド上に存在しない未来のアイデア

本書のなかで、「タイムトラベラー」という章があり、そのなかで、発想の飛躍というべきアイデアが存在することがあります。

本書のなかで書かれているのですが、現代の重要なイノベーションは、一人の個人が単独で発見するものではなく、多くの人がそのイノベーションの解決方法を同時期に発見しています。これは、エジソンの「電球」も他にも同じようなものを開発していたという事例や冷蔵庫などにもいえます。これは次のイノベーションに必要なテクノロジーの断片や新しい概念が発生しているため多くの人たちが同時期に新しいアイデアを発見するにいたっているということでした。

しかし「タイムトラベラー」と呼ばれる「レオナルド・ダ・ビンチ」や「エイダ・ラヴレース」は、当時の技術では想像することも難しいアイデアとして発見しています。

ダ・ヴィンチは、15世紀にヘリコプターを想像し、エイダは、19世紀にコンピューターがな時代に、コンピューターの概念を理解し、それがただの計算機ではなく言語や芸術を表現できるようになると書いています。

このトレンドを超えてしまう人たちの共通点として、表向きの専門分野余白、あるいはまったくの異なる領域で仕事をしているということがあります。これは複数の知識が繋がり合うことで、まったく新しいアイデアが発見される可能性があることを示しています。

タイムトラベラーというレベルでのアイデアはなかなか難しいかもしれまえんが、新規事業を考える際には、常に新しい知識を組み合わせ柔軟にすることで得られることがあるという可能性を示唆してくれていると思いました。

本日の1枚まとめ

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本日のメモ

なかなか読むのが難しかったですが、読み切ると色々学びがありました。定期的に高い視座を得るために大きな本を読むのも大切だなと思いました。

支援は、コミュニティ研究の取材、サービス開発などに費用にあてさせて頂きます。