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【読書】ビジネスの未来 エコノミーにヒューマニティを取り戻す(著)山口周

・ ビジネスはその歴史的使命を終えつつある
・ 経済成長しない「高原社会」の受容
・ 高原社会を成立させるためのアクション

上記は、「ビジネスの未来 エコのミニーにヒューマニティを取り戻す(著)山口周」に記載されている内容です。山口氏は、「ニュータイプの時代」で、社会変化のトレンドから、個人に求められる思考・行動様式について、「オールドタイプ」「ニュータイプ」としてまとめていました。本書では、社会変化のトレンドから、ビジネスや資本主義のこれからを描かれています。まだすべてが腹落ちできているわけではありませんが、著者のメッセージは、これから事業を生み出そうと考えている人、会社員として働くビジネスパーソンに刺さる内容になっています。


ビジネスはその歴史的使命を終えつつある

まず本書のメッセージで、大前提となっているトレンドとして、「物質的不満の解消」があります。これは、「ニュータイプの時代」では、「メガトレンド1:飽和するモノと枯渇する意味」と説明されていました。

現代の日本においては、日常生活を快適に過ごすために必要なモノの供給は、ほぼ完了した状態になっています。「物質的不満の解消」の状態として、著者は、NHK放送文化研究所が1973年以降、5年ごとに実施している「日本人の意識調査」の「生活満足度」に関する回答を1973年と2018年で比較し、物質的満足度が高まっていることを上げています。

第2問 あなたは、いまの自分の生活の「物の豊かさ」について、どのように感じていますか。(○は1つ)

1. 十分すぎる ……… 29.5 %
2. ちょうどよい ……… 58.0 %
3. 不十分だ ……… 12.1 %
4. 無回答 ……… 0.4 %

引用:2018年「社会と生活に関する意識」調査 単純集計結果https://www.nhk.or.jp/bunken/research/yoron/pdf/20181026_1.pdf

おそらく、上記アンケート結果の数値だと思いますが、「物の豊かさ」について、「十分すぎる」「ちょうどよい」という回答をしている人々は、87.5%も存在しています。また実感として、生活において、「物の豊かさ」は、十分であると感じます。(完全に一致する結果は探せませんでしたが、物質的な不満が少ないのは間違いありません)

昨今でも「モノ消費からコト消費」などの言葉もあるように、私たちは、「生活に必要なモノ」は、ほぼ所有してしまっています。昭和で言われていた三種の神器の、テレビ、冷蔵庫、洗濯機という家電は、一般家庭でほぼ所有しているか、所有しなくても代替商品・サービスが存在するため不要となっています。

これは、生活社 / 消費者としては歓迎すべき状態といえますが、買うものがない状態は、「市場における需要の縮小」につながり、GDPや市場規模、売上など拡大し続けるという社会からの期待に答えられなくなっています。

著者は、ビジネスの歴史的使命を、パナソニック創業者の松下幸之助氏の「水道哲学」のマニュフェストを引用し、物質的に満足してしまった日本では、すでにビジネスの使命が終えていると指摘しています。

「生産者の使命」は「生活物資を無尽蔵に提供して貧を除くことだ」と宣言しています。ということは、8~9割の人々が物質的に満足してしまっている現在の日本において、パナソニックはその社会的使命を達成し終えた、ということになります

引用:山口 周. ビジネスの未来エコノミーにヒューマニティを取り戻す (Japanese Edition) (Kindle の位置No.387-389). Kindle 版.

経済成長しない「高原社会」の受容

著者は、この物質的不満が解消された、「低成長」「停滞」「衰退」と呼ばれる社会状況を「祝祭の高原社会」として表現しています。いまの状況は、過去100年間の目覚ましい進歩によって達成することができたことであり、成熟した社会を喜ぶ出来ではないかということです。

本書では、経済成長と価値観調査における日本の幸福度の推移から、「経済成長」と「幸福」には大きな関連はないと指摘しています。しかし、一般的に、バブル崩壊後の経済が停滞する状況から、失われた◯年という表現をされ、GDPが中国に抜かれ、他国に追いつかれと、多くの情報は、経済成長しないことに対して卑下しています。

著者は、経済の低成長、停滞、衰退が問題ではなく、経済成長以外の何を成長させればよいのか分からないという社会構想力の貧しさであり、経済成長しない状態を豊かに生きることができない自分たち自身の心の貧しさだと指摘しています。

個人的に、とても実感がありますが、自分自身の収入が増えること、所属する組織の売上が増加することが、生きるための大きな指標になっています。しかし、今までの話を見ていく限り、そもそも物質的に満ちている自分たちは、生活のために新たに買うものもなければ、そのための仕事も必要ありません。

本来、私たちが目指すのは、収入や売上といった物質的な生産活動以外で、豊かに生きるための方法にもかかわらず、以前として経済成長という変化に囚われ続けてしまっています。

「高原社会」を成立させるためのアクション

では、経済成長が難しくなった高原社会を成立させるためのアクションとして、①真にやりたいコトを見つけ、取り組む、②真に応援したいモノ・コトにお金を払う、③(1と2を実現するための)ユニバーサル・ベーシック・インカムの導入 とあります。

①真にやりたいコトを見つけ、取り組む

これは、私たちがいま携わっている仕事を功利的・手段的なものから、自己充足的・自己完結的なコンサマトリーなものへと転換することが求められているとあります。

ここでの自己充足的・自己完結的なものへの転換とは、一部のアーティストと呼ばれる芸術作品を生み出す人になるということではなく、そういった人たちのように、自らの内面からあふれる衝動に突き動かされるように社会の課題発見や解決への転換を提案しています。

著者は、このやりたいコトという、内面からあふれる衝動によって行動することで経済的に解決することができなかった課題を解決することができるとあります。

今後、さらに、物質的不満の解消を実感していき、同時に世界全体で経済成長が停滞する状況になっていきます。そうなったときに、この高原社会を豊かに過ごすには、「仕事」ではなく、「仕事」と「遊び」の境界が曖昧で、自分自身の内面から行動することで社会を豊かにすることに直結するものでなければ、成立しなくなるのではないでしょうか。

まとめ

本書は、とても学びが多い本でした。ひとつは、自分自身が成長し続けなければならないという宗教にとらわれていたことに気づけました。またこれからのビジネスの未来について考えることができました。そして、普段使わない「言葉」が多くでてきました。

本書は、色んな面から視点を広げてもらえる良書だと思います。自分自身がこれからのビジネスの未来をどうしていけばよいか言語化できていないため、繰り返し読み返したいと思います。



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