アウトプット

【1日1冊】主観世界の分断をつなぐ力 / 分断を生むエジソン(著)北野唯我

こんにちは。

本日は、「分断を生むエジソン(著)北野唯我」を読みました。北野唯我氏の「天才を殺す凡人」で登場していた「天才女性起業家アンナ」の続編ということで購入しました。「天才を殺す凡人」同様に、物語として読みやすく、そして、一度読んだだけでは整理しきれないものがある本でした。



世界は分断されている

本書は、前作「天才を殺す凡人」で自ら起業した会社を去った後の「アンナ」がメインの主人公として物語が進みます。アンナは、再度起業をしようと決意しますが、また同じ失敗を繰り返さないために、「影響力の地図 / 4つの国」について学びます。

「4つの国」とは、個人の役割の違いによる区別です。役割が異なる人びとは、「自分たち」と「他の人」を認識として分断します。その役割が4つにわけられており、それらを分かりやすく「4つの国」として整理しています。

・西の国:技術と変化(比率は1)
・中部:法律と公益(全体利益)(比率は2)
・東の国:経済と雇用(比率は10)
・南部:娯楽と生活(比率は100)

分断を煽るのか、国をつなぐのか

これは社会だけでなく、一つの起業などでも当てはまります。西の国というのは、新規事業や既存のシステムに対して変革を求める人たちです。東の国とは、既存事業での収益の最大化を目指す人たちです。中部とは、コーポレート機能であり、南部は、オペレーションを支える人たちです。

それぞれの4つの国の関係性があるのですが、「西の国」と「東の国」は対立関係にあるといいます。これは「イノベーションのジレンマ」や「両利きの経営」などでも取り上げられているような、既存のゲームシステムで戦っている人たちと、そのゲームを破壊しようとしている人たちでわかりあえないという話と同じかと思います。

そして、リーダーは、4つの国のどこかでリーダーとなり、他の国にも影響を与えるようになるとあり、リーダーは、「自分の国」の主張を通すことで4つの国を分断するリーダーと、4つの国をつなぐ偉大なリーダーとが存在するとあります。偉大なリーダーとは、まさに両利きの経営のようなイノベーションを成功させてきた経営者のことを指していると思います。

事業、社会として継続していくためには、この4つの国をつなぎ、適切なバランスを保つことが必要になります。

言い換えれば、どの会社にも『新しいものを作る人たち』と『いまの事業を守る人たち』がいるように、東の国・西の国・中部・南部はどこにでも共存している。なぜなら、この4つとは、一つの有機体が安定して生き続けるために必要な役割そのものだからだ。

引用:北野唯我. 分断を生むエジソン (Japanese Edition) (Kindle の位置No.369-371). Kindle 版.

人は、もう一度「凱旋門」を生み出せるのか?

もうひとつ、話の中に、「これから先、人類が『凱旋門』を生み出すことはあるのか?」という問いがあります。この話は色々考えさせられたので、ぜひ語り合いたいので読んでみてください(笑)

凱旋門以外にも、エジプトのピラミッドや、日本の日光東照宮でも良いと思いますが、どうすれば、このような何年も、多大なリソースを払う必要があるが、わかりやすいメリットのあるものを作れるかというのは考えてみるのもおもしろいです。これが、「世界一の高層ビル」なら作ることはできると思います。

それは許容できる範囲の期間であり、経済的合理性があう部分を発見できれば可能になります。

凱旋門やピラミッドは経済的合理性はないように感じます。しかし、凱旋門は建設されてから200年近くなっても人をひきつけており、人々に価値として感じさせることができています。ピラミッドは約4500年も経過しています。この間に人々に価値を与え続けたと考えるとどれくらの意味があったのだろうと考えてしまいます。

実現するには、ひとつは独裁的な支配体制が必要かもしれません。しかし、リーダーが長期的な視点と、先に話のあがった4つの国の分断を理解し、それぞれの国をつなげる力があれば、もしかしたら実現可能かもしれないなと感じました。

「その場所も、そして、その思想を持った人もいないからです。空間への投資は、本来、経営者が最も行うべきことです。なぜなら、効果が見えづらく、それでいて価値があるからです。つまり、長い目でしか作れない。それはある意味で、独裁者である人物しか作れないと思うのです。でも、いまは、政治も経済も、全て、短いスパンで判断されます。そして独裁も許されにくい」
引用:北野唯我. 分断を生むエジソン (Japanese Edition) (Kindle の位置No.882-886). Kindle 版.

本日の1枚まとめ

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本日のメモ

色々感じる部分もあり、おもしろく読めました。モノゴトをシンプルに考えようとすると、視野が狭くなってしまいがちだなと思います。これは危険であり、視座を高く、視野を広くもつために考えさせられる本でした。

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